コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

肝硬変の人にアセトアミノフェンは使用できるか?

肝硬変の人にアセトアミノフェンを使用できるか?

以下のレビューをみました

Pain Management with Acetaminophen in Patients with Liver Diseases: A Review Article | Shiraz E-Medical Journal | Full Text

 

○急性肝炎

使用は推奨しない

 

○肝硬変患者

肝硬変(積極的に飲酒していない)の患者では、アセトアミノフェンは、2〜3g /日の用量で14日以上、短期または1回の用量で3〜4gの期間でも安全に処方することが可能

肝硬変でない慢性肝障害では通常の患者と同じ量で使用可能。

肝硬変患者における鎮痛薬の治療的使用に関する文献レビューは、2〜3g / 日のアセトアミノフェンが長期間でも安全であると結論付けた。

 

⇒個人的な実感

おそらく1200mg/日程度であれば肝硬変であっても慎重に定時使用可能

肝硬変であってもアセリオ1000mgは単回投与であれば使用可能 気になるならアセリオ500mgに減量すればまず問題なく使用できる

ただアルコール性肝硬変で現在飲酒している場合は使用を避けたほうが無難かも

 

 

○アルコール性肝硬変

定期的にアルコールを飲む肝硬変の患者でさえアセトアミノフェン4 g / dを短期間または単回投与が可能

量飲酒をしていない患者では、アセトアミノフェンは短期的には1日あたり4 gまで安全

既存の肝疾患の患者における薬物誘発性肝障害のリスクを調査した研究は、アセトアミノフェンがアルコール誘発性肝疾患の患者の肝障害のリスクを高める可能性がある

⇒アルコールを大量に内服する肝硬変患者ではやはり、避けたほうが無難だが、少量で短期間の投与であれば可能。ただアセトアミノフェンを使用するなら禁酒が原則か。

 

○慢性肝炎

慢性肝炎ではアセトアミノフェン使用で肝不全が悪化するリスクが有る

⇒短期間の少量投与なら大丈夫かもだが。避けれるのなら避けたほうが無難かも。定時内服は避ける

 

非アルコール性脂肪性肝疾患

 使用可能だが低用量で

⇒1200mg/day程度ならば慢性的にも使用可能か ただ慢性的に使用するならフォローが必要

 

 

○まとめ

肝硬変があるからアセトアミノフェンが使用できないわけではない。

短期間の鎮痛で慎重に使用するには問題ないか。

ただ、添付文章には、本剤により重篤な肝障害が発現するおそれがあることに注意し、1日総量1500mgを超す高用量で長期投与する場合には、定期的に肝機能等を確認するなど慎重に投与することとある。

⇒肝硬変患者で1500mgを超す量はやはり使いにくい。1200mg/day程度が無難

 

また重篤な肝障害のある患者は禁忌[重篤転帰をとるおそれがある。]

 

使えなくはないが、肝障害が重篤ならば使わないほうが無難

また急性肝炎では使わないほうがよいだろう。

 

使うとしても添付文章を参照に、慎重に使用する