コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

癌性胸水に対して外来で留置胸腔カテーテルを用いて行うタルク投与

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1716883

P 癌性胸水で予後2か月以上が見込める、Eastern Cooperative Oncology
Group performance-status score が2以下 

除外基準:18歳以下、広い範囲で肺のエントラップメントを認める

I 外来で留置胸腔カテーテルを介して 4 g のタルク懸濁液を投与する群(UKのガイドラインで推奨されている量)

C 外来で留置胸腔カテーテルを介して 生食を投与する群

O primary outcome: 35日後の胸膜癒着の割合

 

英国の18の多施設で行われたRCT

タルクを投与する医療チームのみ知っている。患者本人と、胸水量を記録する看護師は知らない⇒single blind

154人必要⇒数は足りている

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⇒ITT解析で行っている。ただ除外している郡は解析できてない

 

コンピューターを用いて1:1に割付している

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20180410081700p:plain低分子ヘパリンはプラセボ郡で多いが、他は同等。

 

 

結果

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◎35 日の時点での胸膜癒着

タルク群の 69 例中 30 例(43%)、プラセボ群では 70 例中 16 例(23%)

(ハザード比 2.20,95%信頼区間 1.23~3.92,P=0.008)

 

 

◎有害事象⇒両郡で有意な違いなし

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胸水の量と複雑性、入院日数,死亡率も群間で有意差は認められなかった.

 

 

◎感想

ただ、比較的予後が良くPSが優れた郡に限定しているので注意が必要。

また副作用がタルクでないとこのstudyのみで言えない印象。

とはいえ、タルクを使った胸膜癒着術は改めて有効と考えられる。

日本でも、タルクをもっと使えるようになればよいのに。