Case 21-2016: A 32-Year-Old Man in an Unresponsive State
32歳男性。
刑務所で嘔吐⇒意識障害。
嘔吐してからアセトアミノフェン内服
アルコール多飲歴、肝硬変、肝性脳症の既往もある。
肝性脳症で受診時は、HCV抗体陰性、HBs抗体陽性、HBs抗原陰性
ミオクローヌスあり。腹水も少し。
L/DではAST優位の肝障害著明でアンモニアも高値。
PT-INRも著明に延長。
頭部MRIではcytotoxic edemanのみ
診断は比較的簡単。
急性肝炎だろう。
ただ何が原因かを考える過程は勉強になりました。
薬・中毒は刑務所にいるので否定的。
Willson病を疑う所見もない。
血圧は安定しており、shock liverでもなさそう。
アセトアミノフェンは内服しているが量は少ないし、そもそも嘔吐してから内服している。
C型肝炎はもっとゆっくりくる。
A型肝炎は否定しきれないがもっと発熱があっても良い。本症例では熱ない。
E型肝炎は妊娠女性や食歴があるが、当てはまらない。
ということでB型肝炎が最も考えやすい。なお重症のB型肝炎ならD型肝炎も合併することが多い。
HBs抗体陽性、HBs抗原陰性は中和抗体のみ存在するパターンだが、それでもキャリアはあり得る。
*ちなみにHBs抗原は肝硬変が進行すると陰性になりうるため、HBc抗体も測定すべきだったと思われる。
結局、やはり劇症のB型肝炎。
脳浮腫もあるため、マンニトール・高張液使用。
ラクツロースは劇症肝炎⇒肝性脳症では脱水を助長するだけで良くないと。
肝移植の適応ではなく残念な経過を
なおreactivationは免疫不全では有名だが、今回のように特発性に起こっても良い。