コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

メタアナリシス atraumaticな腰椎穿刺針は、腰椎穿刺後の頭痛予防に有用か? 

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(17)32451-0/supplemental

 

P 腰椎先生が必要になった患者
I atraumatic
C 通常の針
O 腰椎穿刺後の頭痛

 

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データの収集

網羅的に収集している

:For this systematic review and meta-analysis, we
searched 13 databases, including MEDLINE, Embase,
and Web of Science from inception to Aug 15, 2017,
using a combination of relevant keywords and medical
subject heading terms.

20241のトライアルを101のトライアルまで絞った

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●結果

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腰椎穿刺後頭痛は明らかにatraumatic針で少ない傾向 あらゆる頭痛も同様

異質性は40%-50%前後と中等度の異質性

 

サブグループ解析でも基本的にatraumatic針で良い傾向

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主にランダム効果モデルを使用

We pooled population-level data from
included studies and calculated relative risks (RRs) with
corresponding 95% CIs. The DerSimonian and Laird
random-effects model18 was used for our meta-analysis.

 

出版バイアスはファンネルプロットで検討

Visual inspection of funnel plots and quantitative
assessments revealed no evidence of publication bias for
the examined outcomes (appendix pp 123–34).

 

 

●結論

atraumatic の腰椎穿刺針は、腰椎穿刺後頭痛の改善に有用である可能性が高い。

 

 

日本リハビリテーション学会 報告 嚥下造影など

嚥下造影の教育講演も聞くことが出来ました!

嚥下造影、もっとやらねば!

 

 

嚥下摂食リハの手順
1 口腔ケア・咽頭ケア
2 栄養 医学的安定性の確保
3 基礎訓練
4 直接訓練
5 段階的摂食練習
6 道具・器機の導入
7 外科治療の検討
 
 
〇口腔ケア・咽頭ケア
・口腔ケアは摂食嚥下リハのみならず医療現場における地位は確立された
 誤嚥性肺炎を予防し、早期退院を促す
 
・重度の摂食嚥下障害は口腔ケアのみでは不十分なことがある
 ⇒咽頭ケアが重要
嚥下内視鏡をしながら、直視下で痰を吸い出すことが重要
 
 
歯科と協働することが重要!!
 
 
 
PAP 舌接触補助床も有用
 
 
 
低栄養状態でのリハビリは禁忌
経鼻経管栄養:8-10Frのチューブを併用すれば直接訓練を併用
栄養管理をしてからリハビリをする
 
 
日本嚥下リハビリ学会
間歇的口腔食道経管栄養法の標準的手順
 
 
 
 
誤嚥性肺炎予防の内服
ACE-I 、アマンタジン、シロスタゾール、半夏厚朴湯など。
降圧薬はACE-Iを優先。
 
向精神病薬など 嚥下機能を低下するものは可能な限り避ける
 
 
 
関節訓練が重要
エビデンスがあるもの:シャキア訓練 
 
 
 
 
〇直接訓練の開始
嚥下造影で評価する!
常に同じ行圏で嚥下造影をすることが重要!
嚥下造影は、暗闇の松明に相当する!
 
 
摂食・嚥下リハに大切なこと
・安全な危険環境を作る  ギリギリの課題を提供する
・簡単に諦めない   
 
 
摂食・嚥下リハの原理
〇超急性期
・自然回復を待つ 促す
現疾患の回復、低栄養予防、口腔・咽頭ケア 、廃用の予防
 
〇回復期
代償法・環境調整で嚥下の難易度を下げる
 
 
ギャッチアップ、頸部屈曲、頸部回旋、supraglottci swallowなど姿勢法や代償法に熟知する。
前提として、嚥下造影を行うことが重要。 
さらに、有利と考えれば道具や機材を使うことも重要
 
 
6か月以上、リハビリを継続してもだめなら外科治療も考慮だが、口腔機能が保たれていることが重要
 
 
 
 

日本リハビリテーション学会 6月30日記録 ロコモティブシンドローム

本日は、おとなしく講演を聞いていました。

 

ロコモティブシンドロームについて、一通り知識の整理をしました。

 

ロコモティブシンドローム定義:以下より引用

日本整形外科学会では、運動器の障害による移動機能の低下した状態を表す新しい言葉として「ロコモティブシンドローム(以下「ロコモ」)(locomotive syndrome)」を提唱し、和文は「運動器症候群」としました。
Locomotive(ロコモティブ)は「運動の」の意味で、機関車という意味もあり、能動的な意味合いを持つ言葉です。運動器は広く人の健康の根幹であるという考えを背景として、年をとることに否定的なニュアンスを持ち込まないことが大事であると考え、この言葉を選びました。
 
 
ロコモの評価方法は下記の3つ
・立ち上がりテスト
・2ステップテスト
・ロコモ25
 
立ち上がりテスト
å³1ï¼ä¸¡è¶³ã®ç«ã¡ä¸ãããã¹ãã®æ¹æ³ã示ããå³
 
2ステップテスト
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ロコモ25

å³4ï¼ã­ã³ã¢25ã示ãå³ãç´è¿1ãæã®ããã ã®çã¿ã«ã¤ãã¦ï¼ã¤ã®è³ªåã¨ç´è¿1ãæã®ãµã ãã®çæ´»ã«ã¤ãã¦ã®21åã®è³ªåããããæ¥å¸¸çæ´»ã®å°é£åº¦ããã§ãã¯ãã

ロコモ25のカットオフ:16 点以上がロコモと判定する

なおロコモ25の簡略版であるロコモ5もあるようです

http://www.jsmr.org/documents/locomo_5.pdf

ロコモ5のカットオフ: 6 点以上がロコモと判定するカットオフ値

 

 

 

 

 
ロコモ度1の定義
 

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ロコモ度2の定義

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ロコモトレーニングは以下の2つ

①開眼片足立ち   

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②スクワット
 
なお、ロコモティブシンドロームは高齢者だけではなく、働き盛りにも有用とのこと。
当然、高齢者では特に、大切で、要支援患者や要支援になる前の患者に、いかに介入するかが大切かということでした。
地域を巻き込んだ取り組みが大切かもしれませんね。
 

日本リハビリテーション学会 6月29日記録②

若手シンポジウムが終わった後は、亀田総合病院の桂井先生と相田先生のご案内でリハ学会プチツアーを開催しました!

リハビリ学会は、装具やリハビリ用の器材などの出展が、すさまじく圧倒されました。

はじめてみる機械がたくさんあり、童心に戻ったようでした

 

 

ト〇タがリハビリ界に進出しているのは初耳でした。

歩行アシストロボットの実物を見ましたが、非常に考えられた設計で、安全に歩行を行い、さらにアシストの調整、フィードバックも充実と、すごい機械だなと感じました。

 

さらに、バランス感覚のロボットはニン〇ンドーのゲームと同じような感じで、体験しましたが、とても楽しかったです。

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また下垂足に対して、電気刺激を行うことで足の背屈を促す電気機器も体験しました。

最初は、電気で痛かったのですが、慣れてくると自然に足の背屈が出来るようになりました。

 

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さらに、義肢の進化もすさまじく、いろいろと工夫がこらされているなーと感心しました。

知識としてこのような装具や機械について知っておくことは、有益だなーと改めて感じました。

 

 

ツアーが終わった後は、会場のカフェそしてその後の飲み会と リハビリと総合診療についてみんなで語り合いました!

やはり、共通の思考体系、課題を持っている人たちとの会話はとても楽しく、あっという間に時間が過ぎました。

嚥下についても見識が深まりましたねー

個人的には、リハビリ認定医をとってもよいかなとか、総合診療医の為のリハビリフェローシップを佐藤先生の取り組みを参考に作りたいなーと夢が広がりました!

とても、楽しくあっという間の1日でしたねー

 

日本リハビリテーション学会 6月29日記録①

日本リハビリテーション学会に参加してきました!

朝は、若手企画に招聘していただきました。

私は、回復期病棟での発熱のミカタについて講演。内容は以下を参考に

若手リハビリ医に捧げる 回復期病棟の発熱のミカタ - コミュニティホスピタリスト@東京城東

 

全くリハビリと関係ない内容でしたが、存外ニーズがあるのではと感じました。

分かりやすくするために、限りなくシンプルな内容を心掛けました。

個人的には血培を可能であればとプレゼンしましたが、こちらは回復期病棟では難しかったかもなーと反省。

 

 

その後、佐藤健太先生の講演も拝聴しました。

佐藤先生の資料は下記から見ることが可能です。

日本リハ医学会での「若手リハ医のための総合診療」教育講演のプレゼン資料公開 : 病院家庭医を目指して ~野望達成への道~

 

一人の患者さんの症例を通して、ICFを総合診療医の視点で深めようという講演。

ライフイベント

首尾一貫感覚

患者中心の医療

家族志向のプライマリケア

地域志向のプライマリケア

ライフサイクル

という6つの視点をそれぞれICFと関連付けながらご講演されました。

総合診療とリハビリは非常に近しい存在であることを再認識できました。

 

 

次にJCHO佐賀中部病院の南里 悠介先生の御講演。

T-PAや血管内治療が発達した今だからこそ、市民も含めて適切に早期に脳梗塞を発見し、高度急性期治療につなげることが極めて重要という内容でした。

 

脳卒中早期発見のポイントは、顔、腕、言葉ですぐ受診!!

急性期脳卒中リハのポイントは、誤嚥性肺炎予防、端坐位を早期に目指し、計画性、共感と敬意が大切。

AIにはできない人間ならではのチーム医療が大切である。

なお、T-PAに速やかに繋げるために、地域の病院では顔、腕、言葉のどれかでひっかかれば、頭部CTも取らずに大学病院や急性期にすぐに送るようにしてほしいとのことでした。

確かに頭部CTを撮る時間がもったいないなというのは納得です。

 

 

 

そして、最後に亀田総合病院リハビリ科の宮越 浩一先生の御講演でした

 

運動器リハビリでは、ゴール設定が大切。
発症前のADLに戻すために、早期のリハビリが必要である。
ただし、あまりにも早期にすると合併症が起こるため、注意が必要。

・整形外科的合併症
偽関節
創部感染など

 

・大腿骨近位部骨折のリハビリテーション

術後翌日から座位。 早期に起立歩行が大切

股関節を片脚立位をする際には股関節に体重の3倍の荷重がかかる
転移型の大腿骨近位部骨折では4-40%で偽関節になる!
骨折部の安定性に応じて、術後の免荷を考える。
ラグスクリューの位置が適正かが重要
インプラント破損のポイント 仮骨形成が良好かどうか 

刺激性仮骨(でっぱりが大きい仮骨が、でっぱったままで橋渡しをしてない)では、インプラント破損のリスクが高い

 

 

圧迫骨折では、骨の癒合を考えれば、3か月は固定したい
しかし、高齢者では、コルセットで筋萎縮をきたすため悩ましい
若い方は、装具を3か月付けたいところ。
高齢者はコルセットで、起き上がりが出来なくなりADLが下がる場合は、コルセットの装着期間を短くする。
偽関節のリスクが高い場合は、コルセットを長期につける。
多発骨折では亀背が被るのでコルセットでADLが低下するリスクが高い。

 

適切なリハビリテーション診断が重要であり、画像所見の解釈が重要。

 

 

など、非常に勉強になる内容でした。

最後に、4人のシンポジストで質疑応答を。

活発な質問があり、とても勉強になりました。

 

最後に、このような機会をくださった 相田 万実子先生に感謝します。

とても、勉強になりました1

 

 

 

 

 

 

 

 

若手リハビリ医に捧げる 回復期病棟の発熱のミカタ

 

日本リハビリテーション学術大会でお話しさせていただきました。

管理人の独断と偏見も混じっていますので、ご容赦ください

 

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*補足 肝胆道系感染症

jyoutoubyouinsougounaika.hatenablog.com

 

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これが総合診療流!患者中心のリハビリテーション 感想

Gãã¼ãå¢åï¼ãããç·å診çæµï¼æ£è中å¿ã®ãªãããªãã¼ã·ã§ã³ãå¨è·ç¨®ã®è½åãå¼ãåºããæ£èããã®QOLãæ¹åããï¼

福岡で開催されている日本リハビリテーション学会 学術大会に参加します!

飛行機のなかで、総論を中心に改めて読んでみましたが、やはり名著ですね。

ICFフレームワークは、BPSやPCCMなどの家庭医療学やCGAとも親和性があるなと改めて実感。

佐藤先生の、BPS×CGA±ICFというフレームワークの組み合わせは、地域包括ケア病棟では親和性が高いです。

さらにBPSだけではなくICF×PCCM,ICF×家族志向のケアというマッチングも、ベストマッチであると改めて納得できました。

その意味でICFは総合診療医にも親和性が高いフレームワークだなとさらに気づきを深めることが出来ました。

 

ICFについて下記より引用

特別支援教育におけるICF及びICF-CY活用に関するよくある質問と答え(FAQ): 独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所

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ICFは機能、活動、参加の3要素が基本であるというのは以前から分かっていましたが、ここの図の環境因子や個人因子をどう捉えるかは少し曖昧でしたが、PCCMの流れで考えると分かりやすいと思いました。

 

ãPCCMãæ£è中å¿ãã®ç»åæ¤ç´¢çµæ

 

当院に、いらっしゃった、鵜飼先生も同じことをおっしゃっていましたね。

うかい先生 レクチャー - コミュニティホスピタリスト@東京城東

 

簡易フィジカル評価や、DEATHという総合診療医になじみなADLの5つの要素を3段階で評価する、ちょいFIMなど実践的な内容も豊富でした。

リハ処方に関しても、脳血管リハビリの点数が高いことを、今更ながら実感。

 

ということで、やはりお勧めの本ですので、リハビリに興味がある人は是非。

明日から、学会頑張ります!