コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

血液ガス 基本

 
・血液ガスを診る時
バイタルが崩れた時
呼吸状態が悪くなった時
急変した時
 
・血液ガスで診る項目
pO2、PCO2,pH,HCO3- ,AG
 
 
 
pH=6.1+log [HCO3/(0.03×PCO2)]
ヘンダーソン・ハッセンバルヒの意味を考える
 
呼吸性アシドーシス CO2増加 ⇒換気量低下  
・中枢性呼吸抑制
・呼吸筋筋力低下
・物理的狭窄・閉塞
 
呼吸性アルカローシス CO2飛んでいる ⇒過換気などで換気量増加
 
代謝性アシドーシス HCO3-減少⇒酸を中和するために使われる 腎臓から過剰に排泄される
 
代謝性アルカローシス HCO3-増加⇒腎臓から過剰に再吸収される
 
 
Step2: primaryはどっち??
・CO2とHCO3-は同じ方向に動く
・どちらか増加あるいは減少すると、もう一方もそれに伴い変化(pHを一定に保つため)
⇒二次性変化で代償しようとする
⇒どっちも値は動いてしまうので、どちらがprimaryかを考えるのが大切
 
例 代謝性アシドーシスでHCO3-がヘウrと、呼吸回数を増やしてCO2を飛ばす
 
 
 
 
 
Anion gap
・体内の陽イオンと陰イオンの電荷は等しい
陽イオンのメインはNa+
・陰イオンのメインはCl-、HCO3-
 
測定出来る陽イオン-測定出来ない陰イオン=AG
AG≒測定出来ない変な陰イオン
 
 
AG 正常のアシドーシス⇒重炭酸イオンの消失、尿細管性アシドーシス
AG 増加のアシドーシス⇒内因性(ケトアシドーシス、乳酸アシドーシス、尿毒症)、外因性(サリチル酸など)
 
 
変な酸の蓄積がなければHCO3-はこの量だったはず=補正HCO3-
 
補正HCO3-=(測定したAG-12)+実測HCO3-
 
補正HCO3-が24を超えていれば代謝性アルカローシスを合併
 
 
 
 

胸部CTの基礎

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胸部CTの基礎についてのレクチャー

気管・動脈・リンパ管は並走し、気管と動脈は小葉の中心へ。

リンパ管は小葉間隔壁へ。

小葉間隔壁は、リンパ管・静脈・間質が存在

 

小葉中心性⇒気管 or 動脈の問題。

偏りがある分布で気管の支配と一致⇒気管(肺結核、誤嚥性気管支炎、マイコプラズマ

ランダムな分布で動脈の支配と一致⇒動脈(粟粒結核、septic emboli)

 

気管支血管束の肥厚と小葉間隔壁の肥厚⇒リンパ管の問題(癌性リンパ管症、サルコイドーシス)

肺うっ血でも、小葉間隔壁の肥厚を認める為、鑑別必要

癌性リンパ管症では、肺うっ血に比べて不均一な分布である傾向あり

 

【総合診療 超集中講義~極める~】

【総合診療 超集中講義のご案内】
京城東病院総合内科の森川と申します。
京城東病院は来年度より開始予定の総合診療プログラムの基幹病院として申請をしています。
その名も「コミュニティホスピタリスト育成プログラム」
特徴は以下のとおりです。

1. 総合内科的な能力と家庭医療的な能力を併せ持ったコミュニティホスピタリストを育成する!
2. オンオフをはっきりさせ、QOLと教育の両立を目指す!
3. 救急、小児科だけではなく、緩和ケアと集中治療など選択研修も充実!

京城東病院の総合診療プログラム説明会を行うと同時に、【総合診療超集中講義】を行うこととしました!

あの徳田安春先生の診断エラー学のレクチャーを聞ける、またとない機会になります。
さらに、東京城東病院総合内科の指導医によるレクチャー3本立ても同時に行います。

明日からの診療に役立つエッセンスが詰まった勉強会になります。

参加費は無料です。
皆様と会えるのを楽しみにしています!

 

参加希望の方は以下よりお申し込みください!
http://toukon1022.peatix.com/

 

城東病院総合診療プログラムの詳細は以下
http://jyoutoubyouinsougounaika.hatenablog.com/…/…/25/203850

 

【対象】
初期研修医優先だが、それ以外も可 

【日時・場所】
日程:2017年10月22日
場所:東京城東病院 3階 第1会議室

【プログラム】
12:30-13:00 開場・受付
13:00-13:50 東京城東病院 総合診療専門研修プログラム説明会
14:00-15:00 極・診断エラー学 徳田安春(群星沖縄プロジェクト)
15:05-15:45 極・糖尿病外来 松本真一(東京城東病院総合内科指導医/家庭医療指導医)
15:50-16:30 極・低ナトリウム 本橋伊織(東京城東病院総合内科指導医/元洛和会音羽病院)
16:35-17:15 極・めまいのFramework 森川 暢(東京城東病院総合内科チーフ/元洛和会丸太町病院/関東若手医師フェデレーション創設者)
17:15-17:30 Round-up

※18:00ごろより懇親会有り(別途 1,000円前後)

【問合せ先】
jotosec@gmail.com京城東病院総合内科秘書 小山

*コミュニティホスピタルは頴田病院の本田院長が提唱された言葉です。頴田病院のプログラムは以下の通りです。
https://aih-net.com/resident/senior/rotate/family.html

 

中西先生レクチャー

レジデントの中西先生が半年の院外研修に行くので、さよならレクチャーをしてくれました!

 

 

23歳男性 咳が止まらない。。

感染後咳嗽?

亜急性咳嗽の原因の半数は感染後咳嗽という報告も

http://journal.chestnet.org/article/S0012-3692(15)52842-0/fulltext

アトロベント(SAMA)も感染後咳嗽に効くかもしれない。

 

Chronic persistent cough: use of ipratropium bromide in undiagnosed cases following upper respiratory tract infection. - PubMed - NCBI

⇒1992年の小規模なRCTのみ 本当に効くのか??

使っている量も添付文章より多い。

自分がpost infectious coughになった時に使ってみたら良くなった!

 

 

感染後〇〇

⇒感染後過敏性腸症候群???

サルモネラ、キャンピロバクタで多い?

とはいえ、自然に改善すると言われている。

対応は機能性腸疾患と同様

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2721231/

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CDIも感染後過敏性腸症候群を起こす? しかしCDI再発との鑑別が難しい。。

 

なお整腸剤のエビデンスのまとめは以下

Probiotics for Gastrointestinal Conditions: A Summary of the Evidence. - PubMed - NCBI

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◯特発性縦隔気腫

肺胞から漏れた空気が縦隔に広がる。

破れる方向が違う? 胸郭側に破れると気胸 縦隔側に破れると縦隔気腫

縦隔、首、後腹膜もつながっている。。

圧がかかったりするときに発症。

今回の症例はバーベルをした若い男性の頚部痛/胸痛

皮下気腫は特異的 

症状を認めるところを、しっかりと触り確認するのが大切

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http://www.hawaii.edu/medicine/pediatrics/pedtext/s14c07.html

 

 

 

 

◯グルメレクチャー

はらまさ

https://tabelog.com/tokyo/A1309/A130903/13151542/

トリフご飯が最高

 

468

https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131102/13035662/

 

ラスフォリーナ 

https://tabelog.com/tokyo/A1306/A130603/13157731/

イタリア的なコスパも良い

 

イバイア

https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13159072/

肉が良い

 

ライラ

https://tabelog.com/tokyo/A1308/A130801/13156381/

独創的なフレンチ

 

中華といえば

https://tabelog.com/tokyo/A1312/A131201/13007985/

 

西大島のソバ

https://tabelog.com/tokyo/A1312/A131202/13019925/

 

焼きそば

https://tabelog.com/tokyo/A1310/A131003/13163715/

 

海鮮丼!

https://tabelog.com/tokyo/A1302/A130202/13146590/

 

朝食

https://tabelog.com/tokyo/A1305/A130501/13207721/

潜在性甲状腺機能低下症の高齢者への甲状腺ホルモンの補給について

N Engl J Med. 2017 Apr 3. doi: 10.1056/NEJMoa1603825.

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1603825#t=article

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P 65歳以上で潜在性甲状腺機能低下症の患者(遊離サイロイドホルモンは正常で、TSHが4.60~19.99mIU/L
 
◯除外基準
レボチロキシンを過去に使用
甲状腺薬、アミオダロン、またはリチウムを使用。
甲状腺手術または放射性ヨウ素の使用
重大な病気で過去12ヶ月以内に入院
過去4週間以内の手術
急性冠動脈症候群
終末期
 

I 甲状腺ホルモン投与(TSHで投与量調整)

*50μgで開始 50kg以下・冠動脈疾患がある場合は25μgで開始

C プラセボ

O 

primary outcome:甲状腺機能低症に関する症状のスコア、甲状腺に関連した質問表における疲労度のスコア

 

*なお元々はhard outcomeを予定していたがサンプルサイズが大きくなりすぎたので断念している

 

double-blind  RCT 

ブロック法で割り付けしている

施設、性別、甲状腺ホルモンの開始量で層別化

数もおおむね足りていそう。
modified intention to treat解析。 脱落はそれなりにある。

 

 

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平均年齢は75歳前後

ベースラインは両群で変わりなし

なおTSHの平均値は6.3-6.4前後

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 TSHのレベルは当然補給したら低下。

しかし臨床的なアウトカムは両群で差はない結果に

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有害事象に関しても明らかな差はない

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◯では実際どうするのか?

潜在性甲状腺機能低下症の治療基準としては(妊娠、挙児希望除く)

Up to dateによると。

TSH>10m U/L ⇒治療

有症状の時はTSHの値と年齢によって治療となっている。

 

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⇒TSHが6.9以下ならば高齢者なら治療を推奨しないとなっている。

 

なおTSH>10で治療するのは有意に心血管リスクが増えるから(下記論文)

JAMA. 2010 Sep 22;304(12):1365-74. doi: 10.1001/jama.2010.1361 

 

 

 

この論文はまさに、平均年齢は75歳前後でTSHの平均値は6.3-6.4前後なので、上記のUp to Dateの推奨では治療をしない群にあたる。

このような患者群では基本的に治療は必要ないかもしれない。

ただ、TSHの平均がもう少し高いと、本論文は適応出来ないかもしれない。
またアウトカムがhard outcomeではない(hard outcomeだとサンプルサイズが大きくなりすぎる)
結局65-70歳以上の高齢者でTSH 7-10前後に関しては基本的には治療はしなくてもよさそうだが、最終的には症状を考慮して個別に決めるしかなさそう。

食欲不振に対するコルチコステロイド ジャーナルクラブ

 
 
 

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■がん患者の食欲不振に対するコルチコステロイドについて調べた古典的な論文
 
【要約】
目的:コルチコステロイドはしばしば限定的なエビデンスだが癌性疼痛のマネージメントに使用することがある。本研究ではプラセボと比較しコルチコステロイドの鎮痛効果を検証する。
 
患者・方法:オピオイド内服している担癌の成人患者で24時間以内のNRS4以上の患者。患者は7日間、メチルプレドニゾロン(MP)16mg1日2回内服またはプラセボ(PL)内服にランダムに振り分けた。プライマリーアウトカムは7日時点の平均NRS(0 to 10)とした。セカンダリーアウトカムは鎮痛薬の使用(経口モルヒネに相当するもの)、倦怠感、食欲不振(European Organisation for Research and Treatment of Cancer–Quality of Life Questionnaire C30, 0 to 100)、患者満足度(NRS, 0 to 10)とした。
 
結果:計592人の患者が選ばれた。50人を振り分け、47人を解析した。ベースラインのオピオイド使用はメチルプレドニゾロン群で269.9mg、プラセボ群で160.4mgであった。7日時点の評価で両群においてNRS(MP:3.6 vs PL:3.68, P=0.88)、鎮痛薬使用(MP:1.19 vs PL:1.20, P=0.95)も差はなかった。臨床的、統計的に有意差を認めたのは、倦怠感(-17 vs 3 points, P=0.003)、食欲不振(-24 vs 2 points, P=0.003)、患者満足度(5.4 vs 2.0 points, P=0.001)であった。有害事象に差はなかった。
 
結論:メチルプレドニゾロン32mg/日はオピオイド内服の担癌患者に付加的な鎮痛効果をもたらさない。しかし、倦怠感、食欲不振、患者満足度の改善をもたらす。短期間の有効性以上の臨床的有効性を将来の研究で調べる必要がある。
 
 
A この試験の結果は信頼できるか
① その試験は焦点が明確な課題設定がされているか
 
P:18歳以上の担癌患者、最後24時間のNRS4以上、予想される生存が4週を超える、中等度から重度の癌性疼痛でオピオイドを使用
 
除外基準:最後24時間のNRS8以上、4週間以内にコルチコステロイドの使用、糖尿病、潰瘍疾患、NSAIDsの併用、試験のエントリー前4週間に放射線治療や全身癌治療を開始または開始する予定、脊髄圧迫または手術が必要、重度の認知機能低下
 
I:mPSL16mg 1日2回 7日間
 
C:プラセボ 1日2回 7日間
 
O:プライマリーエンドポイントDay7の平均の痛みの強度(NRS)(Brief Pain Inventoryで測定)、セカンダリーアウトカムは日々の安静時痛の強度(NRS)(Edmonton Symptom Assessment Systemで測定)、ベースラインからDay7までの倦怠感、食欲不振の変化(European Organisation for Research and Treatment of Cancer-Quality of Life Questionnaire C30で測定)、Day7の介入による全体の満足度(NRSで測定)、日々の鎮痛薬の使用(経口モルヒネに換算して記録)
 
 
A② その試験は設定された課題に答えるための研究方法がとられているか?
 
・ランダム化、プラセボコントロール、二重盲検
・多施設
・担癌患者の疼痛に対する経口コルチコステロイドの第三相臨床試験
 
 
A③ 患者はそれぞれの治療群にどのように割り付けられたか?
 
・コンピューターでランダムに割り付け
・施設毎、骨転移による痛みで層別化している
・Table1・2:ベースラインのオピオイドの量、突出痛、ガバペンチンorプレガバリンの使用、軟部組織の痛み、肝転移、他部位への転移では差があった

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A④ 研究対象者、現場担当者、研究解析者は目隠しされている?
 
・データが集まるまで全てのパートでブラインドしている
 
 
A⑤ 研究にエントリーした対象者が適切に評価されたか?
 
・ITT解析で行っている
・数は少ないが各群で1人ずつ脱落(serious adverse effect)があるが、解析には含まれていない
・COIはない

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A⑥ 研究対象となった介入以外は両方のグループで同じような治療がされていたか?
 
・Table1・2:ベースラインのオピオイドの量、ガバペンチンorプレガバリンの使用については差がみられた
 
 
A⑦ その研究のための対象患者数は偶然の影響を小さくとどめるのに十分な数か?
 
・sample sizeは各群22人、脱落も含めて計50人が必要としているが、本研究で割り当てられたのも50人である
 
 
B結果は何か?
B⑧a 結果はどのように示されたか?
 
・Fig1:592人から最終的に50人が選ばれた。除外理由はコルチコステロイド使用、全身癌治療など。
・本研究では3人が脱落したが、それぞれ、同意を撤回、病気の進行による死亡、腸管閉塞のため。
・コルチコステロイド群25人、プラセボ群22人が解析された
 
・Day7時点の平均の痛みの強度に有意差はなかった(P=0.88)
・Fig2:ベースラインからの痛みの変化という点でも有意差はなかった(P=0.50)
 
・両群でオピオイドの使用に差はなかった
・Table3・Fig3:両群とも同様にオピオイドの量は増加した(P=0.95)
 
・Table3:日々の安静時痛の強度は両群で同様であった
 
・Day7時点の倦怠感、食欲不振はコルチコステロイド群で有意に改善を認めた
・ベースラインからの倦怠感の変化は、コルチコステロイド群で-17points改善、プラセボ群では+3pointsであった(P=0.003)
・食欲不振についてもコルチコステロイド群で-24points改善、プラセボ群で+2pointsであった(P=0.003)
 
・Table3・Fig2:介入への満足度はコルチコステロイド群で有意に高かった(P=0.001)

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B⑧b 最も重要な結果は?
 
・本研究ではオピオイドを使用している進行がん患者における7日間のmPSL32mg/day治療の鎮痛効果はみられなかった
・ただコルチコステロイド治療で倦怠感、食欲不振、満足度の改善がみられた
 
 
B⑧c  副作用はどうか?
 
・Table4:副作用の数については差はなかった(P=0.28)
・頻度の高い副作用は、口腔の症状、落ち着かなさ、不眠
・後者2つはコルチコステロイド群でより頻度が高かった(落ち着かなさ:6 vs 3、不眠:4 vs 3)
・重大な副作用は3つあり、プラセボ群でDay4に病気の進行による死亡、コルチコステロイド群で腸管閉塞によりDay5に脱落、臨床的に脊髄圧迫が疑われDay5で脱落であった
・これらは研究の介入によるものとは考えられなかった

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B⑨ その結果はどの程度正確か
 
・それぞれのP値は上記に記載
 
C その結果はあなたの現場で役に立つか?
 
・コルチコステロイドの鎮痛効果としては以下のものはリミテーションとして記載
・大規模かつ長期間の研究が必要
・サンプルサイズが少ない、選択バイアスがある
・追加の研究は必要とは思われるが、鎮痛効果を期待してのコルチコステロイドは臨床では使う根拠は乏しいかと
 
・割り付けられた両群でmPSL群の方が経口モルヒネ量が多く、Day0-7の経過中の使用量が多いため、ベースラインの痛みが強く、mPSLが効かなかった可能性はある
 
・一方で食欲不振、倦怠感、満足度への有効性が期待できる
・これまでのいつくかのRCTで短期間の食欲不振への効果が示されている
・ただコルチコステロイドの副作用は、蓄積量、使用期間に関連し、長期間の使用は倦怠感、食欲不振の改善効果を中和させてしまう
・時間経過とともに食欲増進の効果は減弱する
・その点には注意が必要
・また今回の研究ではセカンダリーアウトカムであり、プライマリーアウトカムとしての研究は必要
 
 
(コメント)
・気になる食欲不振がセカンダリーアウトカム
・Nが少ないため、ばらつきがでる
・鎮痛効果を期待して、現場で使えるかというか微妙
・除外基準にステロイド使用が多い
・これをみてアクションは変わらない
・コクランでもステロイドは痛みに少しいいかもとのこと
・鎮痛はおまけくらいの意味合いだろう
・mPSLの量32mg/dayではデキサメタゾンに換算すると8mg/day。日本では4mg/dayまでであることが多く、そのまま適応は出来ないかも?