徳田先生カンファ@城東病院 2017228 1300-
【症例】高齢の女性
地域研修初期研修医振り返り
今日は新潟から1ヶ月短期研修に来てくれた初期研修医のS先生の振り返りでした。
城東病院総合内科で1ヶ月経験した症例についてまとめてくださりました。
S先生ありがとうございました!
JCHO群馬中央病院総合内科立ち上げ責任者募集
同じJCHOの群馬中央病院で総合内科の立ち上げを行うことになり、立ち上げ責任者の募集を開始しました!!
城東病院総合内科と群馬中央病院で連携して、内科プログラムを作成し申請を行いました。
さらに、群馬の家庭医療の雄である群馬家庭医療学センターとの連携も開始しています。
群馬で総合内科を立ち上げたいという心意気のある先生をお待ちしています。
下記の動画からも群馬中央病院の雰囲気の良さが伝わってきます。
以下、JCHO群馬中央病院副院長の内藤先生の募集文になります。
○JCHO群馬中央病院総合内科立ち上げ責任者募集
はじめまして、JCHO群馬中央病院の内藤と申します。この度当院では、総合内科の創設をめざし、立ち上げ責任者を募集することとなりました。
群馬中央病院は、群馬県の県庁所在地である前橋市にある、333床の地域医療支援病院です。JCHO(独立行政法人地域医療機能推進機構)の一員として、地域包括ケアの推進と地域の求められる医療を提供することを使命としています。
産婦人科、小児科、整形外科、消化器センター等は、地域で求められる専門性の高い医療を提供しており、地域の基幹病院としての役割を果たしています。また、予防医学にも力を入れており、健康管理センターは県内有数の健診施設です。
一方、地域包括ケアの推進に関しては、地域医療連携センターに24人の職員を配置して地域連携(医療、介護、福祉)を進めるなど、病院をあげて取り組んでいます。また、地域包括ケア病棟、老健施設も持っており、地域医療の要としての機能を担っています。
当院が今後さらに地域医療、地域包括ケアの推進に貢献するためには、幅広い領域の診療が可能で、地域の医療、介護機関との連携ができる総合診療医の存在が不可欠で、また逆に、総合診療医の能力を十分に発揮できる環境だと思います。
もちろん、病院として、先生方の活躍を全面的にバックアップいたします。
群馬県内では家庭医療後期研修プログラムとして、群馬家庭医療学センター(G-CHAN)が稼働しています。同プログラムと密接に連携をはかりつつ、独自の総合診療医育成のプログラムを展開していくことも可能です。さらに、JCHO東京城東病院総合内科と連携して新専門医制度における内科の基幹病院の申請をしました。ジェネラリストマインドを持った内科医の育成にも関わることが出来ます。またJCHOではJCHO版病院総合医(Hospitalist)育成プログラムも開始しています。JCHO全57病院でのネットワークを最大限に利用することが出来ます。
群馬で、総合診療・総合内科の立ち上げを希望される先生を募集いたします。
ご興味のある先生、是非ご連絡ください。
副院長兼地域医療連携センター長 内藤 浩
〒371-0025 群馬県前橋市紅雲町1-7-14 JCHO群馬中央病院
TEL 027-221-8165
e-mail main@gunma.jcho.go.jp
ピモベンダンの効果 (EPOCH Study)
P
20-85歳の心不全患者
臨床的に安定 NYHAⅡ or Ⅲ 慢性心不全の治療にも関わらず症状がある
EF<45%
除外基準:重篤な不整脈、高度AV block、閉塞性or感染性の心疾患、最近のAMI、重篤な脳血管疾患、呼吸器疾患、肝疾患、腎疾患、血液疾患、予後が短い
I ピモベンダン1.25mg or 2.5 mg を1日2回
C プラセボ
O
primary endpoint: adverse cardiac event(death from heart failure, sudden/arrhythmic cardiac death, and hospitalization for worsening heart failure.)
心不全による死亡、突然死・不整脈による死亡、心不全増悪による入院の複合エンドポイント
RCTでdouble blindとのことだが、多施設研究かどうかなど具体的な方法不明
blindの方法は不明
random化はブロック法で行われ、EF,NYHA、施設、心疾患で層別化
検出力80%と計算し、各郡130人が必要⇒足りている
○結果
左の図は良さそうに見えるがprimary endpointとsecondory endpointを合算? 何故?
右の図がprimary endpoint ピメベンタン群: 10.1% プラセボ: 15.3%
NNT:19
QOLは上がっている。。
短期的な副作用はなさそう。
○コメント
一見良さそうな結果に見える。ただ、outcomeが複合エンドポイントなので注意が必要。さらに心不全による入院も複合エンドポイントに入っているので医師の主観が入る可能性もある。
さらにACE-Iが4割程度しか使われていないため、そこが影響を与えている可能性も。
さらに長期間の使用することによる副作用は未知数。
また、PDE阻害薬はコクランレビューでは死亡率が上る可能性も指摘されている。
一般内科が使う薬ではないと思われる。
ただ、medicationを行っても心不全を繰り返す or QOLに支障をきたす場合の最終手段としてはありかもしれない。 下記のような報告もある。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shinzo1969/31/11/31_777/_article/-char/ja/
あくまでエキスパートオピニオンだが、心原性ショックにおけるカテコラミン離脱にも使われているが。。効果は不明。
重症心身障害者の肺炎
元小児科の後期研修医によるレクチャーでした
重度の肢体不自由と銃との知的障害が重複した状態が重症心身障害
NICUとの関連も
在宅の重症心身障害児(18歳未満):4.3万人
神経小児科医が一手に引き受けているが。。 現場の疲弊は大きい
重症心身障害児では中枢神経障害を背景とした身体機能異常による感染症を繰り返しやすいため、抗菌薬の反復投与により耐性菌を起こしやすい
例えば
小児 全前脳胞症 大島分類1 尿崩症 胃瘻造設 喉頭気管分離 人工呼吸管理
膿性痰+右肺浸潤影で入院
抗菌薬で腸蠕動低下⇒腹部膨満⇒イレウス
抗菌薬中止でイレウス改善 肺炎は排痰頑張り改善
軽症肺炎を肺理学療法のみで改善することも。
CiNii 論文 - 重症心身障害児(者)の呼吸障害に対する肺内パーカッションベンチレータとインエクスサフレータの使用経験
中枢神経障害が背景にあるため難しい。
免疫不全、誤嚥、排痰低下、胃食道逆流など。。
脳性麻痺患者の常在菌の47%が抗菌薬耐性があるという報告も
今後、総合診療領域でこのような患者を扱うことも増えてくるかもしれません。。
巨大な肝細胞癌について
本日は城東病院総合内科で第2回CPCを行いました。
高齢者
肝臓に最大10cmの巨大腫瘤性病変。半年の経過で急激に増大し、結果的にはHCCだった症例。
慢性肝炎の所見はあるが軽度。肝硬変ではない。
B型肝炎ならこのような急激な経過で、肝硬変を介さずにHCCが発生して急激にしてもよいが、C型肝炎は通常ゆっくりとした経過でくるという点が話題になりました。
Giant hepatocellular carcinomaで検索してみました。
下記はケースレポート 60歳のアルコール多飲者
凄い大きさですね。病理学的にHCCと診断。
Rev Esp Enferm Dig. 2012 May;104(5):264-5
では巨大だと予後は悪いのか?
HPB (Oxford). 2015 Nov;17(11):988-93. doi: 10.1111/hpb.12479. Epub 2015 Sep 3.
10cm以上を巨大と定義して、巨大なHCC(G-HCC)とそれ以下の小さなHCC(S-HCC)で切除後の予後がどうなるかを検討した後ろ向きのstudy
86人のうち23人がpatients with G-HCC (26.7%) 、 63人が S-HCC (73.3%)
予後がどうなるかというとS-HCCとG-HCCで有意差なし(ただG-HCCのほうが予後悪いようにも見える)
ちなみにG-HCCのほうがmajorな肝切除は多く行っている
significantly more major hepatectomies were performed in the G-HCC group
(82.6% versus 31.7%; P < 0.001).
では予後に影響を与える因子は??
下記の表のように腫瘍の大きさよりも、rupture,転移、微小血管浸潤、周術期の輸血、AFP>400ng/mlが不良な予後を予測する因子
輸血に関してはそれ自体が悪化している可能性もあるが、むしろ全身状態が悪い患者に輸血する傾向があるからかもしれない。
血管やリンパ浸潤はG-HCCのほうが多い傾向
興味深いことにG-HCCは明らかに肝硬変が少ない(50.8% VS 13.0%)
なぜG-HCCに肝硬変が少ないか。
そもそも今回のstudyは「切除したHCC」を対象に解析している。
肝硬変を有する患者はしばしば定期的な検査をするため、HCCが小さい時に見つかる影響があるかもしれない。
さらに重篤な肝硬変を有する患者でかつ 10cmを超えるHCCがある患者は、残存肝機能が乏しいので、切除するのは難しいというバイアスがありそう。
肝機能に余力がないと、肝切除が出来ない。
予後不良因子である血管浸潤がG-HCCで多く、そもそもベースラインの肝機能がよい群が多いということならば、やはりG-HCCのほうがS-HCCに比べ予後は悪いのかもしれない。