コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

妊娠高血圧症について

 

妊娠高血圧症の説明は、以下の資料から。

http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=6

 

・妊娠中に血圧が140/90mmHgを超える患者は全て妊娠高血圧症候群 Hypertensive Disorders of Pregnancy (HDP)
・重症はあっても「軽症」のHDPはない。
・尿蛋白がなくても、他臓器の障害または血小板15万以下への減少や胎児発育不全があればがあれば妊娠高血圧腎症Preeclampsia(PE)
・尿蛋白があれば臓器障害つまりPEといえ、実質的に全て重症。

  

つまり、SBP140mmHg,DBP90mmHgを超えればその時点で妊娠高血圧になる。

さらに、SBP160mmHg,DBP110mmHgを超えた地点で重症の妊娠高血圧症

またSBP180mm Hgを超えると最重症で超緊急の状態

また尿蛋白が陽性ならその地点で重要と言うことになるので、妊婦の高血圧では尿定性を行うことが極めて重要

 

以下、Up to Dateより

Stage 1 (systolic 130 to 139 mmHg or diastolic 80 to 89 mmHg)

Stage 2 (systolic at least 140 mmHg or diastolic at least 90 mmHg)

Severe hypertension (≥160/110 mmHg).

SBP130を超えてもStage1に該当するとのことです。妊婦の高血圧は相当に慎重に考えたほうがよいということかと。

 

〇対応

・妊婦でSBP140を超える場合は産婦人科コンサルトする

・特に重症例(SBP160以上)は緊急帝王切開になる可能性があるため、速やかにコンサルトする!!

 

〇治療 

以下妊娠高血圧の治療の分かりやすい図を下記のページから。

https://port-medical.jp/media/articles/32

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以下のリンクの資料は分かりやすいので必見です。 

http://jsog.umin.ac.jp/70/jsog70/3-1_Dr.Naruse.pdf

 

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内服薬

・メチルドバ

ヒドララジン

・ラベタロール

 ・ニフェジピン(妊娠20週未満は禁忌)

 

とはいえ急激な降圧は、胎児機能不全・常位胎盤早期剥離のリスクになるので、産婦人科にコンサルトするのが無難ですね。。

 

なお関西若手医師フェデレーションの企画で、産婦人科の柴田先生に教えて頂いた妊婦のレッドフラグは以下の4つ。

1つでも当てはまれば、緊急産婦人科コンサルトが必要!

①子宮収縮(お腹の張り、生理痛のような痛み)

②破水

③性器出血

④胎動減少(赤ちゃんの動きが減っているか)

 

①でレッドフラグということは、妊婦の腹痛は基本的には産婦人科コンサルトというぐらいでも良いのだと思います。

 

柴田先生の著書は以下で、詳細は以下の本をお読みください。