コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

抗血小板療法の併用療法は急性期の消化管出血のリスクを上げる。

脳梗塞またはTIAで抗血小板療法を施行した6つのRCTの患者を対象にa post hoc analysisを施行して、出血について評価。

合計45195人を対象。

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患者のベースライン

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⇒平均65歳 89%が脳梗塞 11%がTIA

 

出血は以下の期間で層別化して解析。

30日以内、31〜90日(参照期間)、91〜180日、181〜365日、および365日超

大出血は、致死的、頭蓋内、重大な障害をもたらす出血、入院を必要とする出血と定義。

 

結果

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〇最初の30日間の大出血のリスク

aspirin+dipyridamol(RR1.94、絶対リスク100人年当たり4.9)

aspirin+clopidogrel(RR1.98、絶対リスク100人年当たり5.8)

⇒抗血小板併用で有意に高い

 

 

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⇒大出血は消化管出血とパラレルに推移。 脳出血は抗血小板療法の併用でも増加傾向はない。

 

 

〇感想

抗血小板併用(DAPT)はやはり消化管出血は増やす。ただ頭蓋内出血は思ったより増やさない印象。

脳梗塞の急性期は普通にアスピリン200㎎-300㎎で良いのではという感想。

DAPTは、アスピリンを内服しても発症した非心原性脳梗塞に絞るという普段のストラテジーを裏付ける論文かもしれない。