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意図しない 体重減少 高齢者 レビュー

Unintentional Weight Loss in Older Adults - American Family Physician

上記レビューを読みました。 

 

〇はじめに

65歳以上の高齢者における意図しない体重減少の定義としては、6~12か月以内に5%以上の体重減少が起こることとされる。15-20%の高齢者で起こり、死亡率や病気との関連がある。

さらに、ADLの低下入院の増加、頸部骨折の増加とも関連がある。

感染症、褥瘡にも関連があり、薬の効きが悪い。

 

 

〇病因

tumor necrosis factor α、インターロイキン1βなどのサイトカインとの関連も示唆されている。

体重のピークは通常60歳で、70歳以降は年間0.1-0.2kg程度しか減少しない。

明らかな体重の変化は正常とはいえないことに注意。

原因としては、悪性腫瘍が最も多い(19-36%)、次に胃腸疾患(9-19%)と認知症or 鬱などの精神疾患(9-24%) 否悪性疾患は合わせると悪性疾患より頻度は高い。

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薬剤性の体重減少は多く、機序も多岐に渡る

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ポリファーマシーは味覚を阻害し、食欲不振を起こしうる。

 

薬剤による体重減少

・味覚・嗅覚障害

アロプリノール、ACE阻害薬、抗菌薬、抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、カルシウム拮抗薬、レボドパ、プロプラノロール、セレギリン、スピロノラクトン

・食欲不振

アマンタジン、抗菌薬、抗けいれん薬、抗精神薬、ベンゾジアゼピンン、ジゴキシン、レボドパ、メトフォルミン、オピオイドSSRI、テオフィリン

・口腔乾燥

抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、クロニジン、ループ利尿薬

・嚥下障害

ビスホスホネート、ドキシサイクリン、金製剤、鉄材、NSAIDS、カリウム

・悪心嘔吐

アマンタジン、抗菌薬、ビスホスホネート、ジゴキシンドーパミンアゴニスト、メトフォルミン、SSRI、スタチン、三環系抗うつ薬

 

 

さらに、社会的な要因も体重減少をきたしうる。

貧困、アルコール、借金、独居、食事入手の困難さ。

 

16-28%では意図しない体重減少の原因が特定できない。

 

原因の覚え方

Meals on Wheels

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他の覚え方 9D

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〇病歴・身体診察

まずは病歴が大切

認知機能に問題がある場合は家族からの病歴聴取が重要

病歴では、実際に何kg体重が減ったか、いつから減ったかに焦点を当てる

 

ベースラインの体重が分からないときは衣服のサイズの変化や、他人から見た変化で判断する

*豆知識

腹囲が1cm減ったら体重も1kg減る。

ベルトの穴と穴の間は2.5cm

⇒ベルトの穴が1つ減ったら、体重は2.5kg減る

 

食欲不振があるならその原因を調べる

Review of systemsで臓器別に系統的に症状を聴取(心血管系、肺、消化管)

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病歴では内服薬やサプリメントの開始時期にも注目する

タバコやアルコール、住居環境も大切

下記のチェックリストで栄養状態をチェック

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抑うつ認知症も原因として極め大切。

 

抑うつには、2質問法とGDSがスクリーニングに良い。

 

〇2質問法 以下の質問のうち,1つを満たす

  • この1カ月間,気分が沈んだり,ゆううつな気持ちになったりすることがよくありましたか
  • この1カ月間,どうも物事に対して興味がわかない,あるいはこころから楽しめない感じがよくありましたか

⇒PHQ-9でも良い

http://nirr.lib.niigata-u.ac.jp/bitstream/10623/46001/1/7_35_39.pdf

 

認知症のスクリーニングにはmini cogが良い!

①3語覚える(桜、猫、電車)

②時計描写をする

③3語想起

 

3語想起がゼロ  or  3語想起が1~2+時計描写が出来ないなら陽性であり、MMSEを行う。

 

 

身体所見は病歴で想定した疾患にもとづき行う。

歯や口腔内衛生は極めて大切でありチェック!!

心臓、肺、消化管、神経系の診察を行う。

他に、リンパ節および乳腺の診察も重要!

 

 

〇検査

初期検査として血球計算、肝腎機能(LDH含む)・電解質甲状腺機能、CRP、血沈、血糖、蛋白/アルブミン、(フェリチン)、尿定性・尿沈渣、胸部Xp,便潜血、腹部エコーも行う。

病歴、身体診察、基本的な検査だけでも72%の原因は同定可能。

⇒いきなりCTは必要ないかもしれない。

悪性腫瘍の患者は基本的にこれらの初期検査で異常をきたすとされている。

これらの初期検査で異常がない場合には、追加検査をしても異常がないという報告もある。

よって、初期検査で異常がなければ追加検査は不要であり、3か月毎の綿密なフォローで十分かもしれない

 

*コメント

胃カメラはルーチンの検査でやってもよい。

倦怠感が強い場合や喫煙歴がある場合は、初期検査で異常がなくても、追加の検査をすべきという報告もあり。

特に腹部造影CTも怪しければ躊躇すべきではない。

 

 

〇治療

基本的に、原因に応じた治療を行う。

栄養士や口腔衛生士、ST/OT/PTやソーシャルワーカーなど多職種共同が必要。

食事の変更や環境調整、栄養補給、味など食欲増進の工夫が必要。

 軟らかい食事にしたり、好みの味にしたり、食事介助をすることは有用。

⇒院内なら持ち込み食や栄養士との協同が大切!

 

栄養補給だけなら液体状の食事形態が有利。

⇒日本ならエンシュアなどか。

また間食で追加のカロリーを摂取することが大切。

液体状の栄養補助剤であれば、胃はすぐに空になるので、食事の2時間前に投与可能。

 

風味調味料も食欲増進に良い。

 

海外ではメゲストロールが食欲増進剤として使用されることもあるが日本では使えない。

ミルタザピン(リフレックス)は抗うつ薬だが、食欲増進・体重増加効果が期待される。

ただし、起立性低血圧とめまいが副作用としてあるので店頭リスクがある患者には注意!

成長ホルモンを使うことも? ただ死亡率上がる。

 

〇コメント

日本なら、漢方が飲めるのなら六君子湯はありかもしれません。

低Kに注意は必要ですが、リフレックスよりは使いやすい印象です。

以下参考資料

http://www.kampo-s.jp/m_square/today/kkn/201106_geriat.pdf