コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

ハワイ研修12日目

 

朝も小林先生の学生へのレクチャー

 

高血糖による浸透圧の話から、妊娠患者の身体診察、妊娠の薬剤投与、結核患者の特徴など多岐にわたる話をされています。

系統的な医学部のレクチャーも重要ですが、体験談を交えたこのような話は確かに、学生の記憶に残りやすいように感じます。

 

印象に残ったこと

 

94歳の高齢のかた 一人暮らし?

クレジットカードを無くしたらこまるから、クレジットカードの番号を記録するようにアドバイスするなど。。

→プライマリ・ケア医として本当に重要なことは必ずしも医学的な問題ではないということを改めて確認。

 

 

椎間板ヘルニア疑いのかた。

自転車にプロ並みにのっているとのこと。

以下のようにまとめました。

椎間板ヘルニアの治療 - Google ドキュメント

 

運動療法自体は意味があるのでしょうが、プロ並みにやりすぎると悪化させるのかもしれません。

 

あとは、椎間板ヘルニアの局所注射を専門医が外すこともけっこうあると。

日本のほうが、エコーガイド下ですることが多いので命中率が高いかもしれませんね。。

 

あと、米国のプライマリ・ケアは人頭性なので、どんだけ診療をしてもプライマリ・ケア医の給料は変わらない

落ち着いていれば、6ヶ月に1回の診療になる。ワクチンがある場合などは、もう少し間隔が短くなる。

小林先生は点滴もけっこうされているが、米国のシステムでは、点滴をしても収益にはならない。

ただ、患者満足度を考えてしている側面もある。

同様に不安定な場合の頻回フォローもしてもしなくても収入はかわらない。

ただ日本のプライマリケアでは薄利多売でひたすら見ないと収益にはならないので、じっくりと時間をかけて診療することは難しい。

日本はフリーアクセスで専門医のアクセスがよいのはよいが、頻回に受診をすることでプライマリケアが儲かるというインセンティブがあるので、予防などじっくりと時間をかけることが難しいことが欠点。

さらに頻回に受診をすることで、その都度、検査が発生する可能性もあり医療費の無駄につながる可能性がある。

 

ということも考えました。

ただ、日本で人頭性にすぐすることは難しいものの。たとえば、かかりつけ医制度をゆるく導入することや、アウトカムベースで検診をきちんとするか、メトホルミンを糖尿病に出しているかなどの質の評価で報酬が払われる仕組みはやはり、導入が必要かもしれません。

あとは、とりあえず検査をすればするほど儲かるという日本のプライマリケアの仕組み、特に頭部MRI取りまくるというのは無駄だと思うので、そこはどうにかする必要があるように思いました。

 

 

ちなみに日本人クリニックというバイアスもあるとは思いますが、日本人の名前を持っている医師が、専門医であってもめっちゃ多いですね。。

ハワイは日系人にとって、住みやすいというのはありますよね。。

 

日本人のハワイ大学の学生へのアドバイス

日本語と英語ができるので将来はホテルで働く?

ただ、さらに中国語ができるトリリンガルなら、めっちゃ有利とのこと。

確かに、これからは日本語、英語、中国語のトリリンガルは有利ですね。

 

そういえば、独居で家族がいない場合に認知症にハワイでなってしまうと友人と名乗るひとが現れて、後見代理人として勝手にお金を管理して、お金をむしりとってしまうとのこと。

そういうときには教会がセーフティーネットとなることで、そのような事態を防げるとのこと。。

 

なお小林先生も英語の冗談とかがわからなくて、ドラマをみたとのこと。

The Winds of War - Wikipedia

 

 

肩の痛みできた患者さん

他のUrgent careで肩のMRIを撮像するように言われたけど、改めてこちらを受診。

よくよくきくと、保険がないと。。

保険がないと、MRIは4000$ さらに腰椎のMRIは8000ドル 大腸内視鏡も8000ドルとのこと。。

結局、肩は診察しても問題なし。

保険を取得してから待機的に、考えようという方針に。

無保険だと4000$払うところでしたからね。。60万円です。。月給ですね。

大腸内視鏡だと1回で120万です。こんなん無保険だったら、絶対に払えません。。

こんだけ医療費が高い原因としては看護師の給料が高すぎるということもあるとのこと。。

いかに保険が大切かがわかりました。

小林先生のクリニックも人件費としては悩んでいるとのこと。

看護師さんの人件費はなかなか高いとのことでした。

ところで、小林先生のクリニックは、アラモアナとワイキキの2つの場所にあります。

アラモアナは現地にずっと住んでいる日本人向け、ワイキキは、日本人旅行客向けです。

本日はワイキキのほうに、釣り針が刺さったかたもいらっしゃっており、いろんな人が本当に来るんだなと実感。

ワイキキもアラモアナも非常によい場所にあり、ありがたいです。

ハワイで、観光した際に何かあれば、ワイキキの、聖ルカクリニックがお勧めですね。

 

 

 

小林先生のクリニックも本日で終わりです。

お金の問題、保険の問題、言語の問題。

ハワイで生きるためにはこの3つが極めて重要だと本当によくわかりました。

 

あとは、小林先生の診療スタイルがとにかく幅広く、さらに患者さんとよく雑談をされることで患者さんの背景を掴む能力、特にお金とか患者さんが本当に困っていることにすぐに的確なアドバイスをされる様子が印象的でした。

 

本当にお世話になりました。