急性期病院の総合診療科に勤務していると、一定数、かかりつけ医がいるにもかかわらず直接、急性期病院の外来を受診される方がいる。
かかりつけ医は「薬を出すだけ」で何かあったら、急性期病院という方もいる。
一方で、かかりつけ医として信頼され、ゲートキーパーとして適切に診療をし、急性期病院に適切に紹介される先生もいる。
かかりつけ医≒プライマリ・ケア医の質がそれらの現象に関与しているのか?
ということで総合診療のトップジャーナルであるjournal of general interlan medicineに投稿した青木先生の論文を読んでみました。
ここではプライマリ・ケア医の質評価として患者が自己記入するJPCATが用いられています。
P 診療所外来に定期通院しその診療所をかかりつけと認識する患者
E JPCATスコアの高い群
C JPCATスコアの低い群
O バイパス(プライマリ・ケア医を受信せずに直接、急性期病院を受診)
JPCATは合計100点満点で定量的に評価
1年間フォローし追跡。
診療所における多施設前向きコホート試験。
性別、年齢、教育年数、収入、プライマリ・ケアの通院期間、身体的および精神的な健康状態、プライマリ・ケア医以外の通院施設数、および最近の入院を共変量として多変量解析。
階層ベイズモデルで解析
途中フォローアップを中断した患者もいたが、それらの中断した患者は併存疾患数が多く、他の医院に通院している傾向。
バイパスと独立して関連があるのは総JPCATスコアでJPCATスコアが高ければ、バイパスの割合は少ない傾向。
OR 0.44 (95% CI, 0.21–0.88).
感想としてはゲートキーパーとしてプライマリ・ケア医が患者に信頼されるような質を担保することで、急性期病院の適正利用につながる可能性。
ただ、バイパスで受診する理由が重症な急性期イベントであれば、バイパスで予後が良くなる可能性も否定できない。
今後は、ゲートキーパーとしてプライマリ医が機能することで、死亡率や入院率などのアウトカムが悪化せずに、医療費を削減し、患者満足度が上がる方向になれば理想か。
非常にデザインが練られており、読みやすい論文でした。