救命救急24 最重症例から学ぶ現場の思考 感想
東京時代に知友を得た宮崎先生の著書を改めて読みました。
東京にいたときは重症の救急疾患を診る機会が終盤は少なかったのですが、奈良に戻ってからは重症疾患を診ることも多くなり読みなおしました。
〇以下 本の紹介
最重症患者が搬送される3次救急の現場では初療の出来が救命の成否を分ける。刻一刻と変化する状況のなか、いかなる思考過程で救命に導くのか。正解のない現場では、その時点での適切な選択と行動が何よりも重要となる。そこで本書は一般的な救急医療の本とは一線を画し、3次救急の現場でいかに頭を使い、それを行動に移すかにフォーカスを当て、実際の症例をもとにしたリアルな時間軸のなかで「救急医の頭の使い方」を学んでいく
内因性の3次救急疾患に絞って扱うというコンセプトは非常に斬新で、とても楽しみながら読めました。
第1章 病院前情報と心構え
第2章 臨床的ストーリーの構築
第3章 判断・決断・行動
第4章 違和感と落とし穴
第5章 変化に備える
第6章 意識障害
第7章 ショック
第8章 ECPR
上記の8つの章に分かれた構成でしたが、それぞれの章ごとに一貫した哲学や信念があり非常に読みやすかったです。
3次救命救急症例であっても、いやだからこそ呼吸数をはじめとしたバイタルサイン、血液ガス、心エコーの重要性が強調されていてとても共感できました。
筆者がそれらのツールを用いて迅速にかつ正確に病態を把握し、さらに速やかに次の行動に移す様子が感銘を受けました。
また救急隊の情報やバイタルサインを聞いた地点でVA-ECMOや挿管、輸血などを準備する様子も描かれており、最悪の展開を予想しつつ、それに備えることの重要性が理解できました。
また一つの疾患を診断したからと言って全体的なストーリーに整合性がとれない、あるいは違和感を覚えた場合はそこで思考を止めてはいけないというメッセージもとても共感できました。
個人的にはVA-ECMOの使いどころが少し分かった気がします。
本書を見ていると、確かにVA-ECMOを使用しなければ救命できなかったであろう症例も多々存在していました。
また救急医の頭の中というメモ書きが秀逸で、現場で救急医がどのように考えるかということを追体験できることも本書の売りかと思います。
当院のように内科疾患に関しては2.5次~3次クラスがたまに搬送される病院の救急医療においても、とても役立つ内容だと思いました。
改訂版の出版も期待しております!
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