食後低血圧について
高齢男性。
食後15分で、失神。
座位になった状態で救急要請。
救急隊接触時は、意識は元に戻ったが、脈拍触知できず、HR40台と徐脈。
その後、仰臥位で自然に血圧は元に戻った。
以前にも、同様のエピソードで搬送された。
心電図や採血は問題なく、経過からは食後低血圧が疑われた。
Postprandial Hypotension: A Systematic Review - ScienceDirect
食後低血圧は高齢者で圧倒的に多い疾患
本症例のように、失神の既往歴がある場合は食後低血圧の頻度が高い
交感神経および圧反射機能の障害、血管拡張性ペプチドの放出、小腸の栄養伝達、胃の膨張、脾臓の血液プールなどの様々な要因が関係している。
食後低血圧は食直後~食後2時間までに起こりうる
なお、神経疾患があると食後低血圧がさらに起こりやすいとされる( odd ratio (OR) 5.23, 95% confidence interval (CI) 2.90-9.45, p < 0.00001].)
さらに、パーキンソン病:PD、多系統萎縮症:MSA、アルツハイマー病:AD、
糖尿病性神経症:DNでサブ解析してもやはりリスクが高い
(PD: 107/201 patients vs. 32/136 controls; OR 3.49, 95% CI 2.09-5.83, p < 0.0001; MSA: 19/27 patients vs. 0/24 controls; OR 89.55, 95% CI 2.65-3030.33, p = 0.01; AD: 7/10 patients vs. 6/23 controls; OR 6.61, 95% CI 1.28-34.14, p = 0.02; DN: 14/51 patients vs. 3/34 controls; OR 4.83, 95%CI 1.20-19.41, p = 0.03).