コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

下肢潰瘍を伴う下肢動脈閉塞におけるSkin perfusion pressure(SPP)について

下肢動脈閉塞の評価でSPPが使えると聞いたが、良く知らなかったので調べてみた。

 

SPPとは?

以下のページより引用

SPP: Skin Perfusion Pressure|循環器医療のお勉強

SPPはSkin Perfusion Pressureの略で、皮膚組織灌流圧を意味する。末梢血管領域の治療において、特に重症下肢虚血の重症度(血流動態)を評価する検査のこと。レーザードップラーにより、皮膚の微小循環を測定する。レーザー光が皮下組織に照射されると、微小循環内の血球や組織で反射し、その反射レーザー波を測定して皮膚灌流圧を数値化する。ABIと異なり、血行を調べたい部位で測定ができ、また、毛細血管の血流まで調べることができる。石灰化の影響も受けないため、糖尿病患者や透析患者にも監査が可能。製品にはKanekaのPAD4000がある。

で、実際のところどうなのか?

 

日本からの症例報告

The Effectiveness of Skin Perfusion Pressure Measurements during Endovascular Therapy in Determining the Endpoint in Critical Limb Ischemia

下肢動脈閉塞に伴い下肢潰瘍ができた症例

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上記のように潰瘍が形成

 

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血流不良でSPPは12㎜Hgのみ

 

 

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⇒ステント留置したがいまだに狭窄している動脈がある。しかしSPPが46㎜Hgまで回復したので追加のステントをせずに様子を見たら潰瘍は改善

⇒SPPはステントの治療効果判定に使える可能性あり。

 

 

 

 

SPPを評価した日本の研究 前向きの観察研究?

Skin Perfusion Pressure is a Useful Tool for Evaluating Outcome of Ischemic Foot Ulcers with Conservative Therapy

 

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SPPが40以上と 40未満でその後の下肢潰瘍の転帰を評価

 

 

ベースラインでは、SPP≧40mmHgのほうが若年の傾向

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内服薬は両郡で大きな差なし

 

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ロジスティック回帰分析を行うとSPP≧40mm Hgは独立した潰瘍における予後予測因子

オッズ比(14.2)

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SPP≧40mmHgは1か月後の予後を感度75%、特異度82.6%で予測

以下SPPのROCカーブ

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●感想

日本のローカルな検査と言う印象だが、意外に使えるのかもしれない。

下肢動脈閉塞を伴う下肢潰瘍の評価には、補助的に使ってみるのは、ありかもしれない。。