コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

症例検討会 2018年3月22日

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女性の発熱。

インフルエンザBと診断されイナビル吸入していったん解熱したが、その後に39度の発熱。さらにショックバイタルで来院。

診断は??

シバリングもあり、ショックバイタルであり敗血症を疑う。

臓器特異的なROSで、フォーカスを絞る。

頭痛・咳嗽・喀痰・鼻汁・腹痛・下痢・排尿時痛・残尿感・頻尿・腰痛・皮疹など認めないが、咽頭痛あり。

当初から咽頭痛はあり、増悪傾向。

咽頭痛があれば、重症度判定で開口障害と嚥下困難をチェック。

開口障害はないが、嚥下障害あり。

来院時のバイタルはBT37.7でHRは発熱でも説明できる範囲で100程度。熱が1度上がれば、HRは18程度上昇する。

SBP80台だが普段の血圧が低ければ説明可能?

意識障害なし。

しかし呼吸数32であり、やはり強く敗血症を疑う。

血液ガスをチェックすると乳酸アシドーシスあり。やはり、敗血症。

では、フォーカスは?

身体所見では肝叩打痛もあり?? しかし腹部エコーで明らかな異常なく、採血でも肝胆道系酵素の異常なし。胸腹部単純CTも撮像したが明らかな異常なし。

咽頭痛が明らかであり、扁桃を診ると右扁桃の腫大・白苔および偏位がありそう。

A群溶連菌迅速は陰性。

しかし、感度も完全に否定できるほど高くはなく、そもそもA郡溶連菌以外の菌は検出できない。

やはり、フォーカスとして疑う。

気道狭窄所見は乏しいが、急性喉頭蓋炎もr/o必要

次の一手は?

頸部造影CTだが、ひとまず腎機能が出る前に単純CTで評価。

喉頭蓋の腫大なし。

単純CTでも右扁桃の「付け根」の腫大が明らかで低吸収域あり。

やはり、扁桃周囲膿瘍疑い。

細胞外液負荷でもほぼ無尿であり、転送とした。

転送する際には、先に結論を言う。

扁桃周囲膿瘍による敗血症性ショック疑いで、ドレナージが必要だが当院に耳鼻科がなく、さらに細胞外液負荷でも血圧が改善せず無尿状態であると。

簡潔に重症度が伝われば、先方も取ってくれる。