城東病院総合内科 ブログ

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眼内炎のレビュー

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3729827/

 

*今回は外因性眼内炎は最低限しか触れていません。

 

〇introduction

眼内炎はレアだが、緊急性が高い。

急性 or 慢性

感染性 or 非感染性

内因性 or 外因性

細菌性 or 真菌性 or 寄生虫 or ウイルス性(レア)

 

Britishの報告では、59%は外因性で41%は内因性。

一方、インドの報告では92.6%が外因性で7.4%が内因性。

発展途上国では外因性が多いのかもしれない

 

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〇外因性眼内炎

眼球の損傷による外部からの感染が原因。

外傷や手術、角膜炎・強膜炎からの波及

頻度としては白内障のレンズ挿入術後が多い 

急性型は術後24-48時間で、慢性型は術後4-6週。

白内障以外の術式でも起こる。特に角膜移植

多発する場合は、道具が不衛生であることを考える

白内障術後の細菌性眼内炎の割合は0.02%-0.11%という報告もあるが最近の報告ではさらに発症率は低くなっているとされている。

 

症状としては視力低下、痛み、瞳孔のフィブリン膜形成、前房蓄膿が見られる

 

コアグラーゼ陰性ブドウ球菌が最も多いとされる。

スウェーデンからの報告では腸球菌と連鎖球菌も多いとされる。

ただインドからの報告ではグラム陽性球菌とグラム陰性桿菌が同程度報告され、緑膿菌が特に多い。

 

細菌性に比べて少ないものの、白内障術後では真菌性眼内炎も報告

 

慢性ではフィブリン析出などを認める。

眼球内のインプラントの病理的を組織学的に解析し、炎症細胞を同定することが有効である。

インプラントで細菌がバイオフィルムを形成する。

バイオフィルムは難治性であり、再発の原因になる。

 

〇外傷性眼内炎

黄色ブドウ球菌、連鎖球菌が一般的だが、緑膿菌やバシラスも認められる

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バシラスの眼内炎は急激に進行するため、失明に至るリスクが高い。

 

真菌の報告も3.8-7.3%で認めらる

 

〇内因性眼内炎

内因性眼内炎は通常、血行性の機序で生じる。

内因性眼内炎は両側であることが多い。

まれに全身性の感染症を伴わないこともある。

通常、慢性疾患(DM,HIV,薬物使用)、臓器移植、免疫抑制、カテーテル留置などが認められる。

細菌性と真菌性が多い

真菌性が62%、細菌性が38%と真菌性のほうが多いとされるが、東南アジアのなかには細菌性が多いという報告もある。

ブドウ球菌、連鎖球菌、クレブシエラ、カンジダ、アスペルギルスなどが代表的な起因菌。

Microsporidiaや amoebaeのような原虫も認められることもある。

通常明らかな、全身性の敗血症で明らかな感染のフォーカスを認めるが、原因不明の菌血症のみしか同定されないこともある。

全身性の感染症がない時の内因性眼内炎は見逃されやすい。

さらに、全身状態が不良だと眼の症状は訴えないこともあり、医療スタッフも他の症状に気を取られると、視力低下するまで気づかないこともある。

免疫不全や中心静脈の長期使用などのハイリスクでは眼科的な診察をルーチンに行うことも提唱されてる。

全身性の真菌感染症82人のうち、真菌性眼内炎を起こすのは2人と言う報告はある。

 

カンジダ眼内炎は真菌性で最も多い。

歴史的にはカンジダ感染の9-45%で起こるとされていたが、近年は抗真菌薬の使用にともない1-2%になったとされる。

カンジダ脈絡膜炎にとどまり眼内炎まで至らないこともある。

カンジダアルビカンスは、頻度が多いだけではなく毒性も高いため眼内炎のリスクとなり得る。

カンジダのリスクとして、DM、抗菌薬の長期使用、カテーテル、外科手術、免疫抑制など

症状が分かりにくいが、軽度の痛みや羞明、見え方の変化など

 

真菌性眼内炎のうちカンジダが75%に対してアスペルギルスは25%

図アスペルギルス眼内炎

アスペルギルスのリスクはカンジダと同様だが、肺アスペルギルスもリスク

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 〇細菌性眼内炎

通常痛みや視野障害を訴えることが多い。

前房蓄膿や硝子体混濁を認める

東南アジアでは、DMに関連して、肝膿瘍からの細菌性眼内炎が多い

クレブシエラ・ニューモニエは予後が不良

⇒K1 セロタイプのクレブシエラ・ニューモニエ!

 

他の所では、ブドウ球菌、グループBの連鎖球菌、肺炎球菌が多い

心内膜炎、皮膚感染、関節感染、尿路感染が原因として多い

尿路感染から大腸菌による細菌性眼内炎もある

バチラスセレウスは静注薬物使用者で

予後は不良で、視力が回復したのは28%のみ

 

〇診断

水晶体の穿刺液のグラム染色が有用だが感度は低い。

培養は古典的にはゴールデンスタンダード。

硝子体切除による検体採取と、穿刺液の培養結果は一致しないことも。

⇒硝子体培養のほうが房水培養より感度は良い傾向。

基本的に、硝子体培養と房水培養の両方を行う。

最近は、PCRが活用されている。

これによって細菌感染症の発見率が47.6%⇒95.3%になると・・

 

基本的には眼科医の診察が最も大切!!

疑ったらすぐに眼科に見てもらう!

 

では、他に診断の手はないのか?

MRIは診断に有用である印象 Neuroradiol J. 2016 Apr;29(2):122-9. doi: 10.1177/1971400916633480. Epub 2016 Feb 25.

ただ少し手間がかかるか。

 

エコーも同様に眼内炎の診断に有用

Semin Ophthalmol. 2012 Sep-Nov;27(5-6):242-5. doi: 10.3109/08820538.2012.711417.

水晶体の混濁や、膜状組織物が認められる。

水晶体の異常は82%で認めた一方、網膜・脈絡叢の肥厚は100%で認めたという報告もある。

 

エコーの診断特性

水晶体の膜様構造物は感度100%、特異度91%

網膜の層構造の分離は感度100%、特異度79%

眼球内の異物は感度90% 、特異度100%

 

*ただしあくまで硝子体切除術を行った重症例を対象としているので、軽傷例や初期の症例では当てはまらないことに注意

⇒エコーでは眼内炎を否定出来ない!

また実際にはエコーのstudyも限られている。エコー所見だけで同様に診断を確定することも出来ない。

むしろ治療方針を決めるのに有用かもしれない。

あくまで参考程度。

 

実際のエコー画像

Nefrologia (English Version) 2012;32:255-6 | doi: 10.3265/Nefrologia.pre2011.Dec.11218

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なお眼球エコーをするときは、目を閉じた状態で瞼にエコーを付けて、体表エコーで観察します。

この際に薄い透明のテガダームやルート固定のシールなどを張って、その上からゼリーを付けるのがやりやすいと思います。

 

 

 〇治療

基本的には、すぐに眼科に見てもらう疾患。

特に細菌性眼内炎は、硝子体内への抗菌薬投与や硝子体切除の適応があるため、速やかに眼科にコンサルテーションを行う。

 

〇急性細菌性眼内炎

・Up to dateでは速やかに硝子体の培養を採取し、硝子体内に抗菌薬を注入すべきと書いている。

ntibiotics should be injected into the vitreous as soon as endophthalmitis is suspected and vitreous cultures are obtained.

・硝子体注入のエンピリックなレジメ バンコマイシン+セフタジジムが好まれる。アミノグリコシドは網脈動脈閉塞のリスク。

these include vancomycin 1 mg plus either ceftazidime 2.25 mg or amikacin 0.4 mg. Ceftazidime is favored over amikacin because of toxicity concerns.

・抗菌薬の全身投与は髄液移行性の良いものを選択する(第三世代セフェム、キノロン)

・Up to Dateではキノロンの内服が、硝子体移行性が良いため勧められている。

・レジデントの為の感染症診療マニュアル第3版でも、クラビット500-1000mg/day or アベロックス400-800mg/dayの投与の記載あり。

・硝子体切除は重症例や治療反応に乏しい例で考慮される。

Vitrectomy should be performed for eyes with severe vision loss on presentation (light perception vision only or worse) and should be considered for cases that fail to improve after 24 to 48 hours.

 

〇真菌性眼内炎。

カンジダ性であれば、硝子体切除に加え硝子体内にアムホテリシンBを注入することが多い。

さらに全身性の抗真菌薬の投与も行う。アムホテリシンBなど。