コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

日本リハビリテーション学会 6月29日記録②

若手シンポジウムが終わった後は、亀田総合病院の桂井先生と相田先生のご案内でリハ学会プチツアーを開催しました!

リハビリ学会は、装具やリハビリ用の器材などの出展が、すさまじく圧倒されました。

はじめてみる機械がたくさんあり、童心に戻ったようでした

 

 

ト〇タがリハビリ界に進出しているのは初耳でした。

歩行アシストロボットの実物を見ましたが、非常に考えられた設計で、安全に歩行を行い、さらにアシストの調整、フィードバックも充実と、すごい機械だなと感じました。

 

さらに、バランス感覚のロボットはニン〇ンドーのゲームと同じような感じで、体験しましたが、とても楽しかったです。

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また下垂足に対して、電気刺激を行うことで足の背屈を促す電気機器も体験しました。

最初は、電気で痛かったのですが、慣れてくると自然に足の背屈が出来るようになりました。

 

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さらに、義肢の進化もすさまじく、いろいろと工夫がこらされているなーと感心しました。

知識としてこのような装具や機械について知っておくことは、有益だなーと改めて感じました。

 

 

ツアーが終わった後は、会場のカフェそしてその後の飲み会と リハビリと総合診療についてみんなで語り合いました!

やはり、共通の思考体系、課題を持っている人たちとの会話はとても楽しく、あっという間に時間が過ぎました。

嚥下についても見識が深まりましたねー

個人的には、リハビリ認定医をとってもよいかなとか、総合診療医の為のリハビリフェローシップを佐藤先生の取り組みを参考に作りたいなーと夢が広がりました!

とても、楽しくあっという間の1日でしたねー

 

日本リハビリテーション学会 6月29日記録①

日本リハビリテーション学会に参加してきました!

朝は、若手企画に招聘していただきました。

私は、回復期病棟での発熱のミカタについて講演。内容は以下を参考に

若手リハビリ医に捧げる 回復期病棟の発熱のミカタ - コミュニティホスピタリスト@東京城東

 

全くリハビリと関係ない内容でしたが、存外ニーズがあるのではと感じました。

分かりやすくするために、限りなくシンプルな内容を心掛けました。

個人的には血培を可能であればとプレゼンしましたが、こちらは回復期病棟では難しかったかもなーと反省。

 

 

その後、佐藤健太先生の講演も拝聴しました。

佐藤先生の資料は下記から見ることが可能です。

日本リハ医学会での「若手リハ医のための総合診療」教育講演のプレゼン資料公開 : 病院家庭医を目指して ~野望達成への道~

 

一人の患者さんの症例を通して、ICFを総合診療医の視点で深めようという講演。

ライフイベント

首尾一貫感覚

患者中心の医療

家族志向のプライマリケア

地域志向のプライマリケア

ライフサイクル

という6つの視点をそれぞれICFと関連付けながらご講演されました。

総合診療とリハビリは非常に近しい存在であることを再認識できました。

 

 

次にJCHO佐賀中部病院の南里 悠介先生の御講演。

T-PAや血管内治療が発達した今だからこそ、市民も含めて適切に早期に脳梗塞を発見し、高度急性期治療につなげることが極めて重要という内容でした。

 

脳卒中早期発見のポイントは、顔、腕、言葉ですぐ受診!!

急性期脳卒中リハのポイントは、誤嚥性肺炎予防、端坐位を早期に目指し、計画性、共感と敬意が大切。

AIにはできない人間ならではのチーム医療が大切である。

なお、T-PAに速やかに繋げるために、地域の病院では顔、腕、言葉のどれかでひっかかれば、頭部CTも取らずに大学病院や急性期にすぐに送るようにしてほしいとのことでした。

確かに頭部CTを撮る時間がもったいないなというのは納得です。

 

 

 

そして、最後に亀田総合病院リハビリ科の宮越 浩一先生の御講演でした

 

運動器リハビリでは、ゴール設定が大切。
発症前のADLに戻すために、早期のリハビリが必要である。
ただし、あまりにも早期にすると合併症が起こるため、注意が必要。

・整形外科的合併症
偽関節
創部感染など

 

・大腿骨近位部骨折のリハビリテーション

術後翌日から座位。 早期に起立歩行が大切

股関節を片脚立位をする際には股関節に体重の3倍の荷重がかかる
転移型の大腿骨近位部骨折では4-40%で偽関節になる!
骨折部の安定性に応じて、術後の免荷を考える。
ラグスクリューの位置が適正かが重要
インプラント破損のポイント 仮骨形成が良好かどうか 

刺激性仮骨(でっぱりが大きい仮骨が、でっぱったままで橋渡しをしてない)では、インプラント破損のリスクが高い

 

 

圧迫骨折では、骨の癒合を考えれば、3か月は固定したい
しかし、高齢者では、コルセットで筋萎縮をきたすため悩ましい
若い方は、装具を3か月付けたいところ。
高齢者はコルセットで、起き上がりが出来なくなりADLが下がる場合は、コルセットの装着期間を短くする。
偽関節のリスクが高い場合は、コルセットを長期につける。
多発骨折では亀背が被るのでコルセットでADLが低下するリスクが高い。

 

適切なリハビリテーション診断が重要であり、画像所見の解釈が重要。

 

 

など、非常に勉強になる内容でした。

最後に、4人のシンポジストで質疑応答を。

活発な質問があり、とても勉強になりました。

 

最後に、このような機会をくださった 相田 万実子先生に感謝します。

とても、勉強になりました1

 

 

 

 

 

 

 

 

これが総合診療流!患者中心のリハビリテーション 感想

Gãã¼ãå¢åï¼ãããç·å診çæµï¼æ£è中å¿ã®ãªãããªãã¼ã·ã§ã³ãå¨è·ç¨®ã®è½åãå¼ãåºããæ£èããã®QOLãæ¹åããï¼

福岡で開催されている日本リハビリテーション学会 学術大会に参加します!

飛行機のなかで、総論を中心に改めて読んでみましたが、やはり名著ですね。

ICFフレームワークは、BPSやPCCMなどの家庭医療学やCGAとも親和性があるなと改めて実感。

佐藤先生の、BPS×CGA±ICFというフレームワークの組み合わせは、地域包括ケア病棟では親和性が高いです。

さらにBPSだけではなくICF×PCCM,ICF×家族志向のケアというマッチングも、ベストマッチであると改めて納得できました。

その意味でICFは総合診療医にも親和性が高いフレームワークだなとさらに気づきを深めることが出来ました。

 

ICFについて下記より引用

特別支援教育におけるICF及びICF-CY活用に関するよくある質問と答え(FAQ): 独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所

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ICFは機能、活動、参加の3要素が基本であるというのは以前から分かっていましたが、ここの図の環境因子や個人因子をどう捉えるかは少し曖昧でしたが、PCCMの流れで考えると分かりやすいと思いました。

 

ãPCCMãæ£è中å¿ãã®ç»åæ¤ç´¢çµæ

 

当院に、いらっしゃった、鵜飼先生も同じことをおっしゃっていましたね。

うかい先生 レクチャー - コミュニティホスピタリスト@東京城東

 

簡易フィジカル評価や、DEATHという総合診療医になじみなADLの5つの要素を3段階で評価する、ちょいFIMなど実践的な内容も豊富でした。

リハ処方に関しても、脳血管リハビリの点数が高いことを、今更ながら実感。

 

ということで、やはりお勧めの本ですので、リハビリに興味がある人は是非。

明日から、学会頑張ります!

 

 

 

 

メタアナリシス レクチャー

今日は、メタアナリシスのレクチャーでした。

管理人の独断と偏見でまとめると。。

 

・RCTと同様にPICOが大切

・まずは研究を網羅的に集めて、そこから絞っていく。

・研究を集める際には、MEDLINEとEMBASE使っているか?

・結果を見るときには、異質性をチェックする(Cochran QもしくはI2で)

・固定効果モデルは、研究間の差異は誤差であるとみなし、試験間で異質性が少ない場合に使いやすい。

・ランダム効果モデルは、研究間で効果の差異が存在する前提であり、試験間で異質性が多い場合に使いやすい。

・バイアスチェックでは、出版バイアスが大切であり、FUNNEL PLOTで視覚的に把握する。

・FUNNEL PLOTに偏りがあれば、出版バイアスが示唆される(例 :ネガティブデータは発表されていない  )
・EBMの実践において、エビデンスだけではなく、患者の価値観、医師の経験も重要である。

本橋Dr 腹部CT レクチャー

 

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CT値

HU -1000(空気) 〜 0(水) 〜 +1000(金属)

各組織(血液、脂肪、骨、各種実質臓器)がだいたいどのぐらいの値か、一度はチェックしておく。

 

腹部CTは臓器の数が多いので、見落としがないようにするには自分の「ルーチン」を決めて、順番に各臓器を見ていく。

以下は順番の一例。「この順番で見る」と決めていれば、見落としは少なくなる。異常をきちんと認識できるかどうかはまた別問題。

 

 

肝に明らかなSOLなし

肝内胆管の拡張なし

胆嚢の腫大なし 壁肥厚なし 胆石なし

総胆管の拡張なし

脾臓の腫大なし 明らかなSOLなし 副脾あり

膵に明らかなSOLなし 主膵管の拡張なし

両副腎に明らかな異常所見なし

両腎に明らかな異常所見なし

腎盂〜尿管に明らかな異常所見なし

膀胱は尿貯留が少なく評価困難だが、明らかな異常所見なし

子宮両側付属器の大きさは正常

下部食道〜胃〜十二指腸、小腸、結腸および肛門周囲に明らかな異常所見なし

回盲部に正常虫垂を認める

(腹部CTを読影するときは、主訴にかかわらず必ず虫垂をチェックする癖をつける。正常を数多く見ていないと、異常を見逃す。)

骨盤内に生理的範囲内の腹水を認める

傍大動脈リンパ節の腫大なし

腸間膜リンパ節の腫大なし

骨・筋肉・皮下組織に明らかな異常所見を認めない

撮像範囲内の肺野に明らかな異常所見なし

(骨や肺野を見るときはWLとWWを適切な値に変えることを忘れずに)

 

 

結論

撮像範囲内に明らかな異常所見を認めません

Atypical-HUSに対するエクリズマブの効果

Terminal complement inhibitor eculizumab in atypical hemolytic-uremic syndrome. - PubMed - NCBI

 

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Trial1 :,血小板数低値で,腎不全を有する患者
Trial2: 腎不全はあるが、血漿交換や血漿輸血を受けている期間の少なくとも 8 週間は血小板数は 25%を超える低下が認められなかった患者

 

●除外基準

血漿中ADAMTS13活性5%以下、志賀毒素産生大腸菌感染、以前のエクリズマブ曝露


I エクリズマブ投与

エクリズマブは、週に900mgの用量で4週間、1週間後に1200mgの用量で、そして2週間ごとに1200mgの維持用量で静脈内投与した。

C 特になし

 

 

trial1   TMAの抑制(血小板の変化)

traial2 TMA関連イベントが認められない状態(血小板数の 25%を超える低下が認められず,血漿交換や血漿輸注が行われず,透析も必要としない)

 

 

 

試験のデザイン

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全員が髄膜炎菌ワクチンを受けるか、ワクチンを受けるまでは髄膜炎菌の予防投与を行っていた。

 

ベースライン

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〇結果

Trial1 :

ベースラインから 26 週目にかけての血小板数の増加は平均 73×109/L (P<0.001)

ベースラインから64週目にかけての血小板数の増加は平均 91×109/L (P<0.001)

 

Trial2:

26週の時点で、80%でTMA関連イベントが認められなかった.

62週の時点で、85%でTMA関連イベントが認められなかった.

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腎機能もエクリズマブ使用中は明らかに、改善した

さらに、Trial1で透析している5人中4人が透析を離脱した

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髄膜炎菌感染は発生しなかった

Trial2では重篤な合併症ととしてインフルエンザ、腹膜炎、静脈の硬化を認めた

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〇感想

RCTではなく、数は足りないが、特殊な疾患であるので仕方ないと思われる。

しかし、それであっても明らかに効果はありそうな印象。

これ以上の大規模な試験も難しいと思われ、Atypical-HUSであれば、エクリズマブを使うことは十分考慮しても良いと思われる。

重篤な副作用も稀に認めるが、透析の離脱も可能でありメリットは大きそう。