本日は、感染症のレクチャーをしました!
月曜日は画像カンファを不定期でしています。
高齢男性 慢性経過の歩行障害と認知機能低下、失禁。
頭部CTで違和感が。。 側脳室が拡大している。。
正常圧水頭症疑い。
歩行障害では、まずは慢性硬膜下血腫を除外。
慢性経過ならパーキンソン病も考えるが、正常圧水頭症も除外が必要。
正常圧水頭症ではEvans indexが大切。
Evans index(両側側脳室前角間最大幅/その部位における頭蓋内腔幅)は0.3を超える
⇒つまり、水頭症を反映して側脳室が拡大している。
http://www.rosetibayan.com/writing-the-reprieve/
また側脳室の拡大だけではなく、高位円蓋部の脳溝が狭小化していることも特徴的。
下記にも画像所見が詳しくまとめられています。
正常圧水頭症とは?画像診断(NPH、DESH、Evans index)のポイントは? | 画像診断まとめ
なお正常圧水頭症では、側脳室周囲に白質病変を認めることも特徴的ですが、シャント術を行うと可逆性に白質病変も改善するようです。
正常圧水頭症の歩行は、Wide basedでかつMagnetic とされている
パーキンソン病より、幅広い歩行が特徴的
シャント術で歩行が明らかに改善する
まず行うことは、タップテスト
⇒髄液を30mlゆっくり抜いて歩行が改善するかが重要。
タップテストの前後で、Up and Goテストを行い、定量的にタップテストの効果を評価する。
治療はシャント術。
特異的な治療があって上記の動画のように改善する疾患なので、疑わしい場合は適切に脳外科紹介に繋げることが肝要。
下記のサイトも、分かりやすいです。
検査・治療について|正常圧水頭症センター(NPHセンター)|診療科・部門のご案内|洛和会音羽病院(京都市山科区)-救急指定病院
総合診療医養成のKey Issues - 藤沼康樹事務所(仮)for Health Care Professional Education から引用
しかし、世界的にみると、家庭医療やプライマリ・ケアの世界では、プライマリ・ケア外来診療は、病棟医療とはちがう構造化が必要であり、それとして教育されるものであると捉えるのがスタンダードである。もっともシンプルな外来診療モデルはStottら[2]によるプライマリ・ケア外来診療の「4つのタスク」モデルである。
意訳ですので、実際の適応は英語の原文を読んだうえで、ご自身の責任でお願いします。
〇背景
高リスクのヒトパピローマウイルス(hrHPV)型による持続感染は、子宮頸部前癌および癌の発生と因果関係がある。 HPVタイプ16および18は、世界中の子宮頸癌の約70%を引き起こす
〇目的
少女や成人女性における子宮頸部前癌およびHPV16 / 18感染に対する予防的ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの有害性および効果を評価すること。
〇検索の方法
MEDLINE、 Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL) 、 Embase (June 2017)を検索。
さらに、死亡率および重篤な有害事象の未発表データを特定するために、治験や企業のデータも検索した。
〇選択の基準
ランダム比較試験、でHPVワクチンの効果と安全性をプラセボ(アジュバンド or 他のワクチン)と比べた試験。
〇データの収集と解析
子宮頸部前癌病変(頸部上皮内異形成2型以上(CIN2 +)、CIN3以上[CIN3 +]、および上皮内腺癌 [AIS])に対する効果の確実性を評価するためにコクランの方法論およびGRADE systemを用いた。
参加者のベースラインHPV DNA状態によってワクチンの効果を分類した。
アウトカムは、HPVの型に関係がある前癌病変と、関係がない前癌病変である。
効果は、ワクチン郡と対照群のリスク比(RR)で計算する。
〇結果
26件のRCT(73,428人の参加者)を解析した。
1.3〜8年のフォローアップを伴う10件の試験では、CIN / AISに対する効果が取り上げられた。
ワクチンの安全性は、23の研究において6ヶ月から7年の期間にわたって評価された。 子宮頸癌(前癌病変でなく)の転帰を評価するのに十分な大きさではなく、または十分な期間ではなかった。
この試験の1つを除くすべてがワクチン製造業者によって資金提供された。
ほとんどの試験はバイアスのリスクが低いと判断した。
研究は一価(N = 1)、二価(N = 18)および四価ワクチン(N = 7)が含まれていた。
ほとんどの女性は26歳未満だった。
3つの試験で25歳以上の女性で検討した。
少なくとも1回の予防接種を受けた参加者でのワクチンの効果を検討。
〇hrHPV が陰性の場合
HPVワクチンは、青年期の女児および15歳から26歳の女性において、プラセボと比較して、HPV16 / 18に関連するCIN2 +、CIN3 +、AISを低下させた。
CIN2 +を164/10000から2/10000に低下させるRR 0.01(0〜0.05)
CIN3 +を70/10000から0 / 10,000に低下させるRR 0.01(0.00〜0.10)
AISを 9/10000 から 0/10,000に低下する RR 0.10 (0.01 to 0.82).
〇HPV16/18が陰性
15〜26歳の患者では、HPV16 / 18に関連するCIN2 +が113/100000から6 / 10,000に低下するRR 0.05(0.03〜0.10)
しかし、24歳以上の女性では、HPV16 / 18に関連するCIN2 +のリスク減少は若年者よりも小さい⇒ 45 /10000 から 14/10,000, (RR 0.30 (0.11 to 0.81)
HPVワクチンは、 若年女性のHPV16/18 に関連するCIN3+ と AIS をそれぞれ、 (RR 0.05 (0.02 to 0.14) RR 0.09 (0.01 to 0.72)と減少させる。
〇HPVDNAの状態にかかわらない場合
若年女性では、HPVワクチンは、HPV16 / 18に関連するCIN2 +が341/10000から157 / 10,000(RR 0.46(0.37〜0.57)とリスクを低減する。
HPV16 / 18に関連するCIN3 +についても、同様の危険性の低下が観察された。
HPV16 / 18に関連するAISを有する女性の数は、HPVワクチンでは14/10000から5 / 10,000に減少する。
HPVワクチンは、CIN2 +を559/10000から391 / 10,000 RR 0.70(0.58〜0.85)
そしてあらゆるAISを17/10000から5 / 10,000(RR 0.32(0.15〜0.67))に減少する。
CIN3 + のリスクの減少は、ワクチンタイプによって違った。二価ワクチン:RR 0.55(0.43〜0.71)および四価ワクチン:RR 0.81(0.69〜0.96)
〇副作用
重篤な有害事象のリスクは、すべての年齢の女性において対照およびHPVワクチンは同様であった。 (669対656 / 10,000、RR 0.98(0.92から1.05)
死亡率は対照群で11 / 10,000であるのに対してHPVワクチン郡は14 / 10,000(9〜22)(RR 1.29 [0.85〜1.98])とほぼ、同様であった。
死亡者数は全体的には低かったが、高齢女性では死亡者数が多い傾向だった。
〇結論
思春期の少女や15歳から26歳までの若い女性では、HPVワクチンが子宮頸部前癌を予防するという確かな証拠がある。HPV 16/18に関連する病変は、HPVの種類にかかわらない場合よりも高い効果を示し、登録時にhrHPVまたはHPV16 / 18DNAについて陰性である患者においては、HPV DNA状態について評価されていないものよりも大きい。
HPVワクチンは、HPV16 / 18陰性である高齢女性ではCIN2 +を低下させる。
重大な副作用のリスクが増加することはなかった。ワクチン接種を受けた25歳以上の女性には死亡者が多めだが、死亡者数は全体的には少なく、ワクチンに関連しないと判断された。
HPVワクチン接種後の有害な妊娠結果のリスクが完全に排除できないが、不妊や、流産リスクは変わりない。
今後は、子宮頸癌をワクチンが予防するか、あるいはワクチンによる稀な有害事象の発生およびワクチンによる妊娠への影響をモニターするためには、長期間のフォローアップが必要である。
脂肪塞栓は通常、整形外科的な外傷で起こる。
整形外科的な外傷で、67%に血中に脂肪を認めたという報告もある。
低酸素はsubclinicalな脂肪塞栓を示唆。
オペ中も脂肪塞栓は起こりうる。
他には、骨髄移植、脂肪吸引、膵炎でも脂肪塞栓は起こりうる。
脂肪は血中に入り、肺にいくことが多いが、脳や皮膚、眼球や心臓にも行く。
2つの機序が提唱
①The mechanical theory:骨折により骨髄から脂肪が血中に入る
②The biochemical theory:骨折による炎症で骨髄から静脈への脂肪の流入が起こる。
肺の脂肪塞栓では時にARDSと区別が難しい
〇症候
脂肪がどの臓器に飛ぶかによって症状が異なる。
症状としては、低酸素、頻脈、発熱が挙げられる。
皮膚に飛ぶと点状出血もある
肺循環への浸潤が最もコモンで75%の患者で認める。
軽度の低酸素から、ARDSに準じた人工呼吸器が必要な重症例まで様々。
手術中に低酸素が悪化することもあり、麻酔をかけるときに注意が必要。
脳病変は虚血というよりも脳浮腫なので、さまざまな症状が出現。
無気力や不眠を認める。
脳浮腫が重度になると、反応がなくなることがある。
50%の患者で皮膚病変を認める。皮膚病変は24時間以内に消失することが多い。
網膜に飛ぶと、出血性病変を認めるが自然に改善しうる
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1006177
〇診断
基本的に臨床症状で診断するが、決まったやり方があるわけではない。
lipase,、free fatty acids、phospholipase A2 は上昇するが特異的ではない。
BALでマクロファージのなかに脂肪を認める所見があることもある。
外傷後の低酸素などが疑うきっかけになる。
〇治療
特異的な治療はない。Supportive careのみ
抗凝固療法の有用性も証明されてない。
ステロイドは唯一予後を改善する可能性があるが、コントラバーシャル(Up to Dateでは重症例のみ使用を考慮と記載)
使うとしたら、メチルプレドニゾロン
long-bone fracturesでは予防目的でステロイドを使うこともあるが、根拠は乏しい。
酸素療法を行うが重症例では挿管管理も必要。
右心不全をきたすこともあり、循環管理も必要。
〇固定
long-bone fracturesでは早期固定で脂肪塞栓を予防できるかもしれない。
内固定で脂肪塞栓は減るかもしれない
固定を速やかに行うことでARDSになる割合も減らすという報告もある
髄内のreamingは脂肪塞栓を必ずしも増やさない
〇予後
Supportive careと早期の固定で予後が改善する
脂肪塞栓の予後は比較的よく、たいがいの症状は自然に改善する。
Toxoplasmosis in HIV infection: An overview
Toxoplasma gondiiは、世界中に分布する人獣共通感染症として知られる細胞内の原生寄生虫である。
これは、肉体的および精神的障害をもたらす重大な公衆衛生上の問題である。健常な免疫担当者では、無症候性の慢性持続感染症を引き起こすが、免疫抑制患者では、CD4カウントが200細胞/μl未満になると寄生虫の再活性化が起こる(CD4カウントの低下と再活性化は相関している)。
血清陽性率は、地域においてバラつきがある。
組織嚢胞またはオーシストは、汚染された肉の摂取によって侵入し、タキゾイトになって、血流にのり感染する。
免疫が正常なら寄生虫は嚢胞となり、慢性的な潜伏感染となる。
HIV感染者では、CD4細胞の枯渇、サイトカインおよびインターフェロンγの産生の低下、細胞傷害性Tリンパ球活性の障害により、再活性化され日和見感染が起こる。
診断は、臨床的、血清学的、放射線学的、組織学的または分子的方法、またはこれらの組み合わせによって行うことができる。
急性治療を含む様々な治療レジメンがあり、現在のToxoplasma gondiiの治療は嚢胞を根絶することができないので維持療法を考慮する。
HIV患者では、CD4数は100未満であれば、交互にダプソン+ピリメタミンを6ヶ月間投与することができる。
したがって、抗体による早期診断は、すべてのHIV陽性個体において、脳トキソプラズマ症の合併症を予防するために重要である。
〇臨床症状
HIVに感染した患者のトキソプラズマ症は、主に、宿主の免疫状態に応じて、脳炎、脈絡髄炎、および肺炎または播種性感染として現れる。亜急性に発熱、感覚異常、頭痛に関連する限局性神経学的徴候を伴って発症する。
小脳、皮質下皮質、または皮質の病変は、50%以上の感染症例に存在することがあり、その結果、片麻痺、歩行障害および言語異常が生じる。
脳炎では、精神病、認知症、不安、および人格障害を含む神経精神障害を呈することもある
脈絡膜炎の患者は、かすみ、暗点、痛み、または羞明を呈する。
肺症状はニューモシスチス肺炎に類似している。 HIV感染患者では、発熱、低血圧症を伴う敗血症様症候群、播種性血管内凝固、LDH上昇を認める。
中枢神経リンパ腫、進行性多巣性白質脳症、結核、Cryptococcus neoformans、Aspergillus、Nocardia、サイトメガロウイルスおよび単純ヘルペス脳炎、および細菌性脳膿瘍。
〇抗体
IgG抗体は、感染後1-2週間で上昇をはじめ6-8週でピークになる。その後減少するが、生涯陽性になることもある。HIV患者ではチェックすべきである。
〇画像所見
頭部CT、頭部MRIは有用であり、リングエンハンスおよび周縁部浮腫を伴う低密度病変として観察される。
脳トキソプラズマ症の珍しい、そして非常に示唆的な画像としてeccentric
target signが知られる。
USMLE Pathology Slides - Toxoplasmosis, MRI Note the “ring-ennhancing”...
生検は確定診断に有用だが、抗体検査や画像からトキソプラズマと診断した場合は、エンピリックな治療を開始する。症状や画像が改善すれば、トキソプラズマと確定診断する。それ以外では、生検を考慮する。
〇治療
ピリメタミンとスルファジアジンの併用が有効である