コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

NEJM ケースレコード  Case 16-2018

https://www.nejm.org/doi/pdf/10.1056/NEJMcpc1712227

 

A 45-Year-Old Man with Fever, Thrombocytopenia, and Elevated Aminotransferase Levels

 

45歳男性、夏に血小板減少、発熱、肝機能障害で来院。

3週間前からMAX40度の発熱と倦怠感

来院5日前に発熱と倦怠感は改善したが、頭皮にRash(erythematous, maculopapular )が出現。

3日でRashは改善

来院3日前に発熱が再燃。悪寒出現。

その後、発熱が継続。

当日には血小板が2万1000に低下し、39度前後の発熱も継続し、ERへ。

ROSは食欲不振意外に、特に大きな異常なし

体重減少、出血、胃腸、肺、神経、関節、または泌尿生殖器の症状はなかった。シックコンタクトもなかった。

女性化乳房の指摘はあるが、他既往歴はなく内服薬もなく、アレルギーもなし。
クラフトショップのオーナーで、マサチューセッツ州の森林地帯に住んでいる。
非合法薬物使用なし
メキシコに冬の間に旅行に行っていた。

the temperature was 36.7°C,the blood pressure 117/60 mm Hg, the pulse 113 beats per minute, and the oxygen saturation 97% RA
⇒6時間後に体温は39.3度へ
胸部にわずかな紅班がある。。

中央の痂皮を有する円形の皮膚病変(直径1cmのもの)が、左くるぶしに認める。
リンパ節腫脹なし
神経学的所見も乏しい
胸部Xp問題なし

 

 

 

〇採血

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〇森川の第一印象
野外活動歴があり、ここまでの印象では、リケッチア感染が疑わしい。
あるいは、日本ならSFTSなども考える。
スティル病やリンパ腫も頭をよぎったが、まずは考えない。。

 


〇臨床診断
anaplasmosisによるTickborne diseaseが疑わしい。。
ライム病にしては皮疹が非典型的で、これほど血小板は低下しないと。。

 

〇末梢血スメアより臨床的にanaplasmosisと診断 治療(atovaquone,
azithromycin, and doxycycline.)を開始したところ、症状は改善し退院した。

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〇最終診断

Anaplasma phagocytophilum infection.

 

 

〇感想

 正直、知らなかったという他ない。日本であれば、鑑別疾患の上位にくるのは日本紅斑熱やツツガムシ病かもしれない。やはり、地域に特異的な感染症を考えることは大切である