城東病院総合内科 ブログ

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CKD患者の降圧薬は眠前投与が良い?

 

Bedtime Dosing of Antihypertensive Medications Reduces Cardiovascular Risk in CKD

J Am Soc Nephrol 22: 2313–2321, 2011

 

A この試験の結果は信頼できるか

その試験は焦点が明確な課題設定がされているか
P 

 Inclusion 

18歳以上で少なくともCKD(eGFR<60またはアルブミン尿(尿中アルブミン排泄≧30mg/24-hour urine、もしくは両方を3か月以上離れて少なくとも2回以上観察されていると定義)がある高血圧患者、性別は問わない

 Exclusion

妊婦、薬物もしくはアルコール依存、夜勤またはシフトの仕事をしている者、AIDS患者、1型糖尿病、二次性高血圧、心血管疾患(不安定狭心症心不全、致死性不整脈、心房細動、腎不全、Ⅲ-Ⅳ期の網膜症)、24時間血圧測定に耐えられない患者、研究要件に応じず、遵守出来ない患者

 

I :少なくとも1剤の降圧薬を眠前に内服

C :全ての降圧薬を朝に内服

 

O 

 Primary end points

全イベントの発生率:全死亡、心血管イベント(心筋梗塞狭心症、冠動脈再建術)、脳血管疾患(卒中およびTIA)、心不全、その他のイベント(急性下肢動脈閉塞および腎動脈塞栓)

メジャーイベントの発生率:心血管死亡、心筋梗塞脳梗塞および脳出血

 Secondary end points

全死亡(心血管死亡、その他の原因)、心血管イベント(心筋梗塞狭心症、冠動脈再建術)、脳血管イベント(心不全、その他のイベント)

 

 

A②その試験は設定された課題に答えるための研究方法がとられているか? 

前向きのオープンラベルランダム化比較試験

単施設

5.4年フォローアップし、長期の罹患と死亡を比較している

PROBE trial (prospective, randomized, open-label, blinded end point) design

 

A③ 患者はそれぞれの治療群にどのように割り付けられたか?

以下の降圧薬毎に別々に行われた(2319ページ「Study Design」)

the angiotensin-receptor blockers valsartan, telmisartan, and olmesartan

the angiotensin-converting enzyme inhibitors ramipril and spirapril

the calcium channel blockers amlodipine and nifedipine gastrointestinal therapeutic system

table 1.をみると、おそらく層別化はされていると思われるが、本文中には詳細が書かれていない。

 

A④研究対象者、現場担当者、研究解析者は目隠しされているか?

基本的にオープンラベル

解析者はブラインドされている

 

A⑤研究にエントリーした研究者が適切に評価されたか?

ITT解析されている(2320ページ「Staristical Methods」)

drop-outsについての記載はない

 

A⑥研究対象となった介入以外は両方のグループで同じような治療がされていたか?

利尿薬やスタチンやlow-dose aspirinの使用に関しては有意差なし。

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A⑦その研究のための対象患者数は偶然の影響を小さくとどめるのに十分な数か?

 

the number of patients participating in our study was considerably greater than that of most other published trials on the prognostic value of ABPM in patients with CKD10,11 and was sufficient according to the statistical significance of the reported results.

と、、、l 

しかし、具体的なサンプル数の提示はなし

B結果は何か?
B⑧a 結果はどのように示されたか? b 有意差はあるか? 

全死亡および心血管イベントによる死亡に関しては有意差はなかったが、全イベント発生率および心血管イベントの発生率は有意に低下した。

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Total eventsに関してはNNT 4.8

睡眠中の収縮期、拡張期血圧は共に眠前投与群で低下

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c 副作用は? 

記載無し

 

C臨床にこの結果はどのように応用できるか?

この論文では全イベントは減らすが、全死亡を減らすかどうかは分からなかった。

ADA (American Diabetes Association) Standards of Medical Care in Diabetes 2014では、糖尿病合併の高血圧患者の場合は眠前投与を推奨している。(クラスA)

元になっている論文は

Influence of Time of Day of Blood Pressure–Lowering Treatment on Cardiovascular Risk in Hypertensive Patients With Type 2 Diabetes

(Diabetes Care 2011;34:1270-76)

で、同じstudyのサブ解析である。

ちなみに元になった論文は

INFLUENCE OF CIRCADIAN TIME OF HYPERTENSION TREATMENT ON CARDIOVASCULAR RISK: RESULTS OF THE MAPEC STUDY

(Chronobiology International 2010, 27(8): 1629–1651)

で、2156名の無治療あるいは治療抵抗性の高血圧患者を対象とした、朝内服と眠前内服を比較したオープンラベル単施設RCT

こちらでは全死亡が眠前内服のほうが低い(P値 0.08)とされている。

 

limitationとしては、各降圧薬間での比較はしていないこと。「少なくとも1剤を眠前に内服させる」というInterventionであるため、それぞれの降圧薬でのサブグループ解析はされていない。

また、大規模RCTではあるが単施設のstudyであり、その後に同じ内容で多施設での追試がされている様子はない。

よって、この論文だけを鵜呑みにするのも微妙。

 

しかし、「降圧薬を1剤眠前に変更する」という介入は、アドヒアランスの問題さえなければ簡単に出来て費用もかからないので、外来患者のマネージメントの参考にしても良いのではなかろうか。