コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

SLEによる蛋白漏出性胃腸症について

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https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4260872/pdf/pone.0114684.pdf

 

目的:タンパク質漏出性胃腸症は(PLE)は、SLEの合併症だがしばしば誤診される。この調査では、 臨床的特徴、検査の特徴、診断的テスト、危険因子、治療、予後。について解説します。

 

方法:後ろ向きのケースコントロール研究を44人のSLE関連PLE(PLEグループ)で行い、対照群として活動性SLEの88人の患者で解析した。2000年1月2日から2012年1月で調査した。SLE関連PLEのリスク要因 と調査し、単一および複合検査結果について分析した。 血清アルブミンおよびC3レベルは、コルチコステロイドおよび免疫抑制剤による治療中および治療後に測定された 。

 

結果:PLEグループは、平均血清アルブミンと24時間尿タンパク質が低く、より血漿コレステロールが高く、SSAおよびSSBの陽性率が高かった。

SSA 陽性、低アルブミン血症、および高コレステロール血症はSLE関連PLEの独立したリスク因子であった。

血清アルブミン(<22 g / l)および24時間尿タンパク質(<0.8 g / 24 h)が有用なカットオフであった。

SLE関連のPLEの治療は、高用量 シクロホスホミドとグルココルチコイドの組み合わせが診断に有用であった。

 

 

〇introduction

タンパク質喪失性腸症(PLE)は、重度の浮腫を特徴とし、腸管からの血清タンパク質損失に続発する重度の低アルブミン血症l胃腸(GI)管から[1]。低アルブミン血症は重要な臨床です浮腫、体液バランス障害、および心不全につながる可能性があるための症状。にさらに、低アルブミン血症の患者は感染しやすい。全身でエリテマトーデス(SLE)、低アルブミン血症は通常、ネフローゼに起因する症候群、病気の悪化、または肝疾患[2]。ほとんどのPLE関連のGI症状はループスなどの他の臓器の関与ほど一般的ではありません腎炎、およびPLEは、ネフローゼ症候群と臨床的に見分けがつかない[3]。したがって、PLEは、内科医、リウマチ専門医、消化器専門医、および腎臓専門医[2]。PLEに関するほとんどの以前のレポート

 

戸原先生 摂食・嚥下障害への対応

戸原先生の誤嚥性肺炎の御講演を拝聴しました。

戸原先生の総説があったので、まとめてみました。

 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajps/5/3/5_265/_article/-char/ja/

 

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戸原先生の御指摘として、一側性の脳血管障害で嚥下障害を発症することは稀とのことでした。

嚥下は両側性支配なので、真の意味での嚥下障害は(脳幹梗塞などを除き)稀なので、安易に嚥下を諦めないことが大切と言うメッセージでした。

実際に胃瘻を増設しても後に食べれるようになるケースがありますし、本当は自然に食べれるようになったのにそのまま絶食になるということもあります。

 

 

下記のように実際には嚥下機能が保たれているにもかかわらず、絶食や嚥下食になっている例があります。

逆に、明らかに嚥下機能が低下しているにも関わらず常食を食べている例があり、そのような嚥下機能と食事形態の不一致が問題となります。

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よって、嚥下評価が重要になります。

 

スクリーニングとしては以下が有用です。

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反復唾液テストは極めて簡単ですね。ERでも出来ます。

 

水飲みテストとフードテストはSTじゃないと出来ないというイメージがあるかもしれませんが、誰でも出来ます。

身体診察です。

トロミ水とゼリーを実際に飲んでもらい、その様子を観察すれば良いだけです。

評価基準は以下の通り。

 

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なお、覚醒して、座れて、喋れたら、嚥下機能はほぼ保たれているという戸原先生の御言葉は、その通りだと感じました。

 

 

なお、これは知りませんでしたがクエン酸生理食塩水吸入薬で咳嗽が誘発させることで咳反射を評価する方法もあるようです。

 

 

 

嚥下内視鏡は嚥下評価として極めて有用です。

私も、一度触らせてもらいましたが、最近はワイヤレスのタイプも出ていて在宅でも使用できるという利点があります。

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噛む力や口腔機能の改善が食事やADLに好影響を与える可能性もあるため、歯科介入で口腔衛生を改善させることが重要です。

 

 

なお、舌萎縮を認める場合は舌接触補助床が有効なことがあります。

このような視点は嚥下を専門とした歯科ならではですね。

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なお、噛む力だけでなく開口も重要です。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22579648-jaw-opening-exercise-for-insufficient-opening-of-upper-esophageal-sphincter/

 

実際の嚥下障害患者に対して最大開口位まで開口させた状態で10 秒間保
持するのを1 回として,5 回1 セットで1 日2 セットの訓練を毎日行わせたところ,舌骨上方移動量,食塊の咽頭通過時間および食道入口部開大量に有意な改善が認められたという報告があります。

これは下記のように簡便に出来るため有効ですね。

Image result for 開口訓練 嚥下 戸原

 

ということで、今後摂食嚥下に関しては医科歯科連携が極めて重要になると考えます。

また、高齢者や嚥下障害がとても多いということは、チャンスであるとも思います。

つまり、臨床研究のテーマが豊富になるということなので、みんなで臨床研究していきたいですね!

 

 

 

冬期セミナー2020 若手病院総合医チーム 糖尿病のpros cons

画像に含まれている可能性があるもの:座ってる(複数の人)、室内

プライマリケア連合学会、専門医部会若手医師部門、若手病院総合医チームの企画です。

 

SLGT2/GLP1を使うべきかについてpros とconsに分かれて若手病院総合医が発表しました。

長野先生がディベートをされていたので、その要素を取り入れているのだと感じました。

さらに糖尿病専門医のコメント付きという美味しい企画でした。

 

 

 

SGLT2のprosに関しては最近は心不全の発症を抑える効果や大血管リスクを減少する効果が報告されています。

血圧を下げる効果もありますね。

ただし、consとしてはまだ大規模観察研究に乏しい点など副作用への懸念、尿路感染のリスク、さらに心血管リスクの評価は多くはプラセボとの非劣性試験でなされていることなどから、死亡率を低下させるかはまだ不明瞭というところがあります。

心不全の入院というアウトカムは減らす傾向はありますが、医師の主観も入ります。

値段の問題もあります。

 

専門医のコメントとしては、SLGT2は血糖が高いほど血糖降下作用に優れ、機序としてもただ血糖を下げる薬ではないが、陰部が清潔に出来ないケースなどは適しておらず、注意深いフォローが必要と言う意見がありました。

 

GLP1に関してもprosとしては同様に心血管リスクを下げる傾向があり、さらに週1回製剤は訪問看護師が確実に施行できるという意見がありました。

consとしては、同様に非劣性試験でしか心血管リスク減少効果を示せていない、値段が高い意見がありました。

 

専門医からはGLP1は週1回製剤が非常に使いやすい製剤でメリットがあるものの、消化器症状が副作用として出やすいため注意が必要という意見がありました。

 

 

第2弾としては自己抗体のprosとconsについて議論がありました。

prosとしてはGAD抗体が陽性であれがSPIDDMと診断出来るため、それによって膵保護を狙いSUを避けてインスリンを導入することを検討できるという意見がありました。

一方でconsとしてはGAD抗体の値段の問題だけではなくSU剤とインスリンを比較した研究はあるものの、SU以外の薬を比較した研究は乏しいため、SUを避ければよいだけであえてGAD抗体を図らなくてもよいのではという意見がありました。

 

専門医としてはそれらの自己抗体やインスリン分泌能のプロファイルで薬剤を使い分けるものの、確かにルーチンで全例で測るのは値段の問題もあるため、全例は測らず経過が不良な場合に測定を考えることもありかもしれないという意見がありました。

 

とても勉強になる企画で、満員御礼でした!

 

 

開口訓練の有用性について

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目的:この研究の目的は、嚥下機能の改善において、舌骨上筋を標的とする開口運動の有効性を調べることである


被験者と方法:摂食中の咳や窒息などの嚥下障害に関連した症状のある21人の被験者(平均年齢74.0±5.7歳)が開口運動を行った。含まれた被験者はいずれも、重大な嚥下障害を引き起こす可能性のある神経学的症状や手術歴はなかった。すべての被験者は定期的に食事を取り、日常生活の活動を維持した。開口訓練のスケジュールは、20回の繰り返しの3セットで構成され急速かつ最大に顎を開く動作を繰り返した。各セット間で10秒間隔の休憩をとった。運動は4週間にわたって1日2回行われた。


結果:介入後、安静時の舌骨の垂直位置が大幅に上昇した。嚥下中に、舌骨の上昇と食道括約筋の開口の速度が大幅に増加したが、舌骨の上昇時間と食道通過時間は大幅に減少した。


結論:我々の結果は、速やかな開口訓練が嚥下中の舌骨の上昇速度を増加させることを示し、舌骨上筋の効果的な強化における役割を示した。さらに、舌骨の位置が改善されたように見えるの。開口訓練は、高齢者の誤嚥のリスクとして知られる安静時の舌骨の位置の低さ、および嚥下中の舌骨の上昇の乏しさ、に特に有用である可能性がある。

 

 

開口訓練の様子

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舌骨の位置はレントゲンで評価

透視動画を録画し、コンピューターで解析した

 

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〇結果

おそらく非正規分布の連続変数でありWilcoxonで検定している

 

安静時の舌骨の位置が上昇し、舌骨の上昇距離も増加し、食道括約筋の開口も増加した

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舌骨の上昇時間と食道通過時間は大幅に減少した。舌骨の上昇速度は上昇

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MNA-SFによる低栄養という評価は予後不良因子

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.14442/jgfm.17.1_90

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P 総合診療科の急性期病棟に入院した患者

*短期間の検査入院は除く

E MNA-SFで低栄養(0-7ポイント)、MNA-SFで低栄養の危険アリ(8-11ポイント )

C MNA-SFで栄養状態良好と判断(12-14ポイント)

O 

Primary outcome 死亡、合併症(感染症、臓器不全、悪性腫瘍、経口摂取不能)

Secondory outcome  入院期間、退院した割合

 

単施設の前向きコホート研究

入院期間のみ評価を行った。

MN-SFと上記のoutcome(予後)との関連をみた研究

2013年7月1日から2013年10月31日に入院した患者を対象に電子カルテで検討

outcomeはマスキング出来ないが、評価者の主観は入りずらい

 

〇単変量解析について

カテゴリー変数でデータ数が5以下ならフィッシャーで検定

連続変数ではパラメトリックならウェルチ(分散が大きいから?)、ノンパラメトリックならKruskal-Wallis

統計学的に有意: P value of less than 0.05.

3郡で比較する場合は、benferoniを使い、その場合はP value of less than 0.01で計算

 

1000person-daysでリスクを計算

カプランマイヤー法で生存も解析

合併症は、コックスハザードモデルで多変量解析(年齢、性別、入院目的)

 

 

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単変量解析の結果

低栄養郡ほど、高齢、BMI低値、ALB低値、リンパ球低下、CRP高値、感染症、内分泌代謝疾患、が多い傾向。

低栄養郡はリハビリしている人も多い

 

 

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死亡率は低栄養郡で多い  

合併症も低栄養郡で多い

 

〇死亡率の生存曲線

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〇合併症の生存曲線 多変量解析をしても優位に低栄養郡で不良

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 入院期間はwelchで自宅退院はフィッシャーで評価

入院期間は低栄養郡で長く、自宅退院率は低栄養郡で低い。

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〇感想

統計学的検定が非常に、きっちりされていて、好感が持てる試験。

統計の勉強にもなりました。

低栄養郡で予後がわるいという臨床的感覚を、形にした優れた研究。

単施設で電カルを使って行ったとのことだが、実現可能性も高く臨床研究をやりたい先生のお手本にもなるだろう。

MNA-SFは低栄養の指標及び、予後予測のためのツールとして優れているということは言えそう。

あとは、実際にどのように介入に繋げるかが今後の課題か。




喀血に対するトランサミン吸入について

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https://journal.chestnet.org/article/S0012-3692(18)32572-8/fulltext

喀血の方が来たときに気になって呼んでみました

P 18歳以上の喀血で入院した患者 重篤な喀血や凝固障害、腎不全、肝不全は除外 

I  トランサミン500㎎を1日3回 吸入

C  生食吸入

O 喀血の量 喀血が5日以内に止血される割合

 

double blindのプラセボコントロールのRCT

ただし解析者は割付を知っている?

ランダム化した結果両郡に大きな差はない

ただしプラセボ郡でCOPDが多い傾向

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抗凝固薬は両郡で中止

追加治療は各治療郡で現場の医師の判断で行った。

 

喀血の原因は気管支拡張症、感染症、悪性腫瘍などが多い

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サンプルサイズは合計60人必要 やや少ない?

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A 止血した割合はトランサミン郡で高い傾向

B 出血量もトランサミン郡で低い

 

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A 追加で手技を行った割合はトランサミン郡ではいない

B 入院期間もトランサミン郡で少ない

 

副作用は特に認めない

 

〇議論

症例数は少ないものの、明らかにトランサミン吸入は効果があると思われる。

ただ、トランサミン吸入は適応外使用になる。

さらに、現実的にはトランサミン点滴をすることになると思われるので、点滴と吸入の比較が知りたい。

とても有望な治療である可能性はあるので、今後の追試は待ちたい。

トランサミンの局所治療は、鼻出血でも報告されいて流行りですねー

https://www.annemergmed.com/article/S0196-0644(19)30249-5/fulltext