コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

麻痺性イレウスかと思いきや。。

http://medical.med.tokushima-u.ac.jp/jmi/vol64/pdf/v64_n3-4_p286.pdf

 

Paralytic ileus as the first presentation in type A acute aortic dissection

 

本日、講演会で似たような症例を診たので。

大動脈解離の既往歴がある78歳女性が腹痛で来院。胸背部痛なし。

画像上は、小腸イレウスをきたしている。

腸閉塞?

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造影CTではStanfordAの大動脈解離と診断。

なお、下行大動脈の乖離は認めないにも関わらず麻痺性イレウスを認める。

大動脈解離への手術を行ったところ、イレウスも改善。

おそらくは、交感神経が大動脈解離で活性化されることでイレウスになるのではと?

 

◎パール

麻痺性イレウスの鑑別に大動脈解離を挙げよう!

ワーファリンのTTRは60%以上を維持すべき。

講演会で聞いた論文。

Warfarin treatment in patients with atrial fibrillation: Observing outcomes associated
with varying levels of INR control

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19062079

 

イギリスの前向きコホート研究。

非弁膜症性心房細動患者でワーファリン内服郡とワーファリン非内服郡を比較した論文

 

図2 脳梗塞の発症予防率

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図1  死亡率の比較

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やはり、TTRは60%以上を維持したほうがよいという結論。

ワーファリンは良い薬だが、INRのコントロールが重要ということを再認識。

タケキャブの効果はどうなのか?

新たに情報検索WSを週1回始めました。

可能な範囲で続けようと思います。

本日のお題は、タケキャブは通常のPPIに比べて優れるのか?

PICOは以下のようになるかと思われます。

 

P 胃潰瘍患者

I     タケキャブ

C   旧来のPPI

O   胃潰瘍治癒率

 

もしくは以下も考えられます。

P ピロリ陽性患者

I     タケキャブ

C   旧来のPPI

O   ピロリ除菌率

 

このうち、後半のピロリ除菌率に関して比較的良いデータが出ている。

 

https://gut.bmj.com/content/65/9/1439.long

 

P ピロリ陽性患者 20歳異常胃潰瘍OR 十二指腸潰瘍既往歴あり

除外基準:急性上部消化管出血、活動性胃潰瘍または十二指腸潰瘍、急性胃十二指腸粘膜病変、ピロリ菌除菌後、 胃酸分泌に影響を与える可能性のある療法、手術 、ゾリンジャーエリソン症候群 または他の胃酸過分泌障害、深刻な神経学的症状、 心血管、肺、肝臓、腎臓、代謝、消化管、 泌尿器科、内分泌学または血液学的疾患、薬物乱用、悪性腫瘍、妊娠など

I     タケキャブ20mg + アモキシリン 750 mg + クラリスロマイシン( 200 or 400 mg)

C   タケプロン30mg + アモキシリン 750 mg + クラリスロマイシン( 200 or 400 mg)

O   1次除菌でのピロリ除菌率

 

非劣性の多施設参加したRCT 日本で実施された

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結果に影響を与えるような脱落もなさそう。

脱落郡も含めて解析してそう。

ベースラインもほぼ両郡で同等。

 

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非劣性試験ではあるものの、確かにタケキャブのほうが除菌率は高い傾向はありそう。

副作用も(短期間の投与期間だが。。) 両郡で著変なさそう。

 

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では、タケキャブを使うのか??

 

U p to Dateには以下の記載あり。

Vonoprazan — Limited data from retrospective studies suggest that the use of vonoprazan, an oral potassium-competitive acid blocker (PCAB), rather than a proton pump inhibitor, with amoxicillin and clarithromycin may increase H. pylori eradication rates [61,62]. However, PCABs are not available outside of Asia, and data on safety and comparative efficacy with other antisecretory agents are limited [61].

 

ということでピロリ除菌で結果を出しているものの、安全性や他の制酸剤との比較のデータが不足していると記載あり。

当然、積極的推奨はされていない。

 

胃潰瘍に対する効果も他のPPIと比べて非劣性というRCTはいくつがあるもののの、明らかに優れているわけではなさそう。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27891632

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28988197

 

ただし、 ESD後の潰瘍は若干タケキャブのほうが治癒ははやいかもしれない。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31192917

 

理論上は立ち上がりが通常のPPIに比べて速いので、急性期には優れるかもしれないが、救急症例では静注薬を使用するのであまり出番はないかも。

 

ということで、現状ではピロリの除菌には使っても良さそう。

ただし、長期間の使用では安全性や副作用に関してはまだ未知の部分もあり、他のPPIに比べて明らかに優れているわけではなさそう。

 

ちなみに、値段は以下の通り

タケキャブ錠10mg 錠 134.4

タケキャブ錠20mg 錠 201.6

 

ランソプラゾールは後発品もあるので、後発品はおおむね以下のような値段。

ンソプラゾールOD錠15mg「テバ」 錠 26.4

ランソプラゾールOD錠30mg「DK」 錠 46.5

 

約4-5倍の値段に見合うものかどうかは考える必要あり。

 

 

マダニ咬傷どうするか?

マダニ咬傷が来たらどうするか?

新しい皮膚科学第2版によると、マダニを無理に引っ張ると口器を残してちぎれ、のちに異物肉芽腫を形成すると。

よって、メスで口器ごと取り出すか、マダニをつけたまま皮膚を切除、パンチで切除すべきと。 

摘出後1-2週はミノサイクリンを予防的に処方するとのこと。

 

ただ実際どうなのか?

 

Up to Dateにマダニの除去に関して以下の記載あり。

If available, use tweezers or small forceps to grasp the tick as close to the skin surface as possible. In the absence of tweezers, use paper or cloth to protect the fingers during tick extraction.

Pull straight up gently but firmly, using steady pressure. Do not jerk or twist. 

Do not squeeze, crush, or puncture the body of the tick, since its fluids may contain infectious agents. 

Disinfect the skin thoroughly after removing the tick and wash hands with soap and water. 

If sections of the mouthparts of the tick remain in the skin, they should be left alone as they will normally be expelled spontaneously. 

After the tick removal and the skin cleansing, the person bitten (or the parents) should observe the area for the development of EM for up to 30 days following exposure. Components of tick saliva can cause transient erythema that should not be confused with EM. 

Since the tick usually needs to be attached for two to three days before transmission of the Lyme disease agent occurs, removal of the tick within this time frame often prevents the infection

ということでピンセットでゆっくりと除去すべきとのこと。

また体を思いっきり潰そうような除去方法も感染リスク上好ましくない。

多少、口器が残っても自然に排泄される。

抜いたところは良く洗うべきと。

ライム病が発症するまで2-3日の猶予があるのでそれまでに除去するようにと。

 

以下にマダニの抜き方がまとまったサイトがあります。

ピンセットは口の近くを掴むのがポイントみたいで、体を掴むのは避けるようです。

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ピンセットで取る方法が無難だと思われますが、皮膚科でコンセンサスが得られていないので周囲の状況を見ながらの判断ですね。

もし、皮膚ごとマダニを取り出すなら、皮膚生検のパンチが使いやすい印象です。

 

 

あとは、糸を使った方法もあるようです。

é¢é£ç»å

https://www.wikihow.com/Remove-a-Tick

 

 

また予防投与の適応は以下のクライテリアを全て満たしたときにのみ行う

・明らかにマダニであると判明される

・マダニは36時間以上付着していると推定される。

・ダニの除去から72時間以内に予防投与が開始される。

・B. burgdorferiの感染率が20%以上(リケッチアの好発地域である)

・ドキシサイクリンが禁忌ではない

 

 

なおTick twisterという用具があります。

https://www.youtube.com/watch?v=qRp7cQJNVxg

 

Tick twisterはかなり便利な印象で、臨床的には良さそうな肌感覚があります。

ただし、捩じりながらとるというのはUp to Dateでは推奨はされてない点は注意です。

文献的な根拠が乏しい印象ではあるので、それを分かって使うということになります。。

 

薬剤による関節症状について

 

関節痛をきたす薬剤の一覧について調べてみました。

An update on drug-induced arthritis.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27000044

 

●薬剤性関節痛の鑑別診断

〇抗菌薬

テトラサイクリン

キノロン

結核

抗真菌薬

 

〇糖尿病薬

DPP-4阻害薬

 

〇化学療法

アロマターゼ阻害薬

タキサン系抗癌剤

 

〇その他

レチノイド

インターフェロンα

G-CSF

抗うつ薬(ミアンセリン、ミルタザピン、nefazodone)

 

 

 

 

 

 


 

脊椎関節炎の付着部炎におけるエコーの役割

https://ard.bmj.com/content/68/2/169.long

Validity of enthesis ultrasound assessment in spondyloarthropathy

 

強直性脊椎炎の付着部炎をエコーで評価できるのか?

健常者と比較したエコー所見の診断特性を調べた論文。

 

 

脊椎関節炎における腱付着部炎のエコー所見

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A 正常のアキレス腱

B,C 石灰化をアキレス腱に認める

D パワードプラーでerosionにアキレス腱の血流増加を認める

EF 炎症所見を認める(液体貯留)

 

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アキレス腱の肥厚を認め、アキレス腱にerosionを認める

 

 

エコーによる診断特性のROCカーブ

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スコアは脊椎関節炎で高くなる傾向

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エコーのによる腱付着部炎の評価スコア

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〇エコーの診断特性

感度は83.3%、特異度は82.8% LR4.87  LR-0.19

 

 

ということで、エコーによる腱付着部炎の評価は有用かもですね!

 

 

関節リウマチの勉強には以下がお勧めです!!

一読の価値あり。

 

 


 

古都はじめ奈良2019 実況中継 ⑤ 臨床推論カンファレンス

高齢女性の1か月の経過で増悪傾向の発熱+皮疹 掻痒感もあり

浮腫も悪化傾向。

両側関節痛もあり。

既往歴は、特記事項なし。

診断は??

 

まず発熱に準じて以下の4大疾患から考える

 

感染症

〇自己免疫

〇悪性腫瘍

〇薬剤性

 

感染症であれば、IEやTbなど比較的経過が長いものを考えたい。皮疹もあることから、これらは否定しておきたい。深部膿瘍も可能性としてはある。

 

自己免疫疾患であれば、血管炎だが、下肢の紫斑と言うよりも皮疹は体幹部の丘疹であり血管炎にはやや非典型的。

PMR,RS3PE症候群なども考えるが、皮疹がある点は合わない。成人発症スティル病にしては高齢発祥だが、悪性腫瘍関連ならあり得るか。

高齢でもSLEはこのような経過をたどることも。

 

悪性腫瘍であればやはり血管系悪性腫瘍を考えたい。掻痒感があるのも合う。

 

薬剤性の可能性は常に考えるべきだが、今回は症状を説明できる内服薬なし。

 

大穴で副腎不全や甲状腺機能異常なども鑑別に

 

採血ではCa高値!

高Ca鑑別

①薬剤性の除外(特に活性型ビタミンD)

副甲状腺機能亢進症の除外(Pは低値)⇒PTHチェック

③悪性腫瘍関連(PTH-RP  or 悪性腫瘍の骨転移)

④T細胞系リンパ腫

 

⇒結局フラワーセルが陽性。出身地も九州であり、ATLと診断した症例でした。

http://jyoutoubyouinsougounaika.hatenablog.com/entry/2019/07/09/090154

網羅的に考えつつ、どんなふうに推論を進めるかという思考過程を共有しました。