コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

誤嚥性肺炎診療の最前線 2025

→森川が昔提唱していたABCDEアプローチも、Diagnosis Treat and SUPPORTは意味はほぼ同じ。

エビデンスがあるのはDiagnosis Treat and SUPPORT

ただ、ABCDEアプローチが覚えやすいならこちらを使うのもあり。

 

以下宣伝です。

 

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日本プライマリ・ケア連合学会から誤嚥性肺炎の多職種連携スキルアッププログラム(JAPEP:Japan Aspiration pneumonia inter Professional team Educational Program)が始動しました。標準化された多職種での誤嚥性肺炎への介入方法に関する教育プログラムの開発および実施を目的とした病院単位で受講するハイブリッドセミナーを昨年に引き続き開催します。


【対象】
誤嚥性肺炎を診療することがある病院の多職種チームで参加します。原則1病院1チームでの参加です。医師、看護師、薬剤師、療法士(PT/OT/ST)、管理栄養士、MSW、歯科医師、歯科衛生士が参加可能です。医師または歯科医師は参加必須として、各病院最低3職種以上、4名~8名でご参加下さい。

 

2025年の年末も開催予定です!

また日本プライマリ・ケア連合学会の公式サイトからも宣伝がありますので、ぜひ、ご参加ください。

日本の病院総合診療のパラダイムシフト 家庭医療と総合内科の融合を目指して

あくまで森川の個人的意見であり、所属団体を代表していません。

ご容赦ください。

 

●追記 内科専門医か総合診療専門医か若い先生に聞かれたら?

僕はシンプルに以下のように答えています。 

総合的に診療することを専門にしたいのなら、総合診療専門医を目指すべきである。

診療所をメインにするなら、新家庭医療専門医で、病院をメインにするなら病院総合診療専門医を、総合診療専門医の2階立てとして目指すことになる。

将来、内科の臓器別専門医に行くか、総合内科/病院総合診療に行くか迷っているなら内科専門医を目指すべきである。

内科専門医から病院総合診療専門医に進むことも可能である。

総合診療専門医から内科臓器別専門医に進むというコースは回り道でしかないため、内科専門医と総合診療専門医のダブルボードは勧めない。 

ただ、例外として総合診療専門医を取得して病院総合医としてキャリアを歩む先生が、内科の専攻医の指導も考えているなら総合診療専門医→内科専門医というダブルボードはあり。

なお、総合診療専門医は診療所や在宅の研修が必須であることが、内科専門医にはない大きな特徴である。

内科専門医は基本的には急性期病院での研修しかすることはできない。

一方で、総合診療専門医のみでは内科を深めることは難しいかもしれない。 

●何となく広く内科的なことをやれたらいいかな、やっているうちにまた好きな分野が出てきたらそれに進めばいいかな、くらいにフワッと考えている研修医→内科専門医を勧めます。

●内科専門研修をしたうえで、総合的なことを専門にしたいのならば内科専門医→病院総合診療専門医というコースに進めばよいかと。 

●総合診療専門医を勧めるのは、総合的な診療をすることは決めているパターンや、あるいは僻地医療や診療所で勤務することが決まっている場合。

親が開業医で、将来は内科のクリニックを継ぐことが確定というパターンも総合診療専門医を勧めます。

質の高い診療所での診療は、急性期病院で専門内科をやっていれば自然にいつのまにかできるようになるものではないので。

 

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認知症患者の病棟移動と転帰に関する研究

ご提示いただいた論文は、**「Do ward changes affect outcomes differently in people living with dementia?(認知症の人々において、病棟移動は転帰に異なる影響を与えるか?)」**というタイトルで、Age and Ageing (2026年) に掲載された観察研究です。

入院中の「病棟移動(Ward changes)」が、特に認知症患者において、在院日数(LOS)、院内死亡率、ケアホームへの退院にどのような悪影響を与えるかを、英国の大規模データを用いて検証した研究です。

 

Gemini 3.0を用いて作成しています 内容の正確性は個人で判断をお願いします。

論文基本情報

項目

内容

タイトル

認知症の人々において、病棟移動は転帰に異なる影響を与えるか?

著者

Emma Elliott, Robyn Hamilton, Luke Munford, Emma R.L.C. Vardy 他

掲載誌

Age and Ageing 2026; 55: afaf372

DOI

10.1093/ageing/afaf372

研究デザイン

サービス評価(後ろ向き観察研究、日常診療データ使用)

セッティング

英国マンチェスター大都市圏のNHSトラスト内の4つの病院

資金提供

National Institute for Health and Care Research (NIHR) Applied Research Collaboration-Greater Manchester

1. 要約 (Abstract)

項目

詳細

背景

入院中の病棟移動は転帰の悪化と関連しているが、認知症の人々に対する影響は不明である。

目的

認知症の人々が、病棟移動によってより悪影響を受けるか(相互作用があるか)を検証すること。

方法

2023年1月から2024年2月までのデータを用いたサービス評価。


対象は65歳以上の入院患者。


一般化推定方程式(GEE)を用いて、病棟移動、認知症の有無、およびその「相互作用」が、3つのアウトカム(在院日数、院内死亡、ケアホームへの退院)に与える影響を解析した。

結果

27,140件の入院(19,392人)が含まれ、うち2,760人が認知症を有していた。


在院日数 (LOS): 病棟移動 ($\beta=5.2$, $P<.001$) と、病棟移動×認知症の相互作用 ($\beta=1.7$, $P<.001$) の両方が、LOS延長と有意に関連していた。つまり、認知症患者は移動1回あたりのLOS延長が非認知症患者より長かった。


院内死亡: 認知症は死亡リスク増加と関連していたが (OR=1.4)、病棟移動との相互作用はなかった。


ケアホームへの退院: 認知症 (OR=4.4) と病棟移動 (OR=1.3) はリスク増加と関連していたが、相互作用はなかった。

結論

病棟移動は、認知症の人々の在院日数(LOS)に対して不釣り合いに大きな悪影響を与えるが、死亡率や退院先には影響しない(相互作用がない)。病棟移動を最小限に抑えることは、すべての高齢者にとって有益だが、特に認知症ケアにおいてLOS延長と関連する害を防ぐために重要である。

2. イントロダクション (Introduction)

項目

詳細

背景

病棟移動は、臨床的必要性ではなくベッドの空き状況によって行われることがあり、ケアの継続性の欠如や転帰悪化(LOS延長、せん妄、転倒リスク増)につながる 1

認知症患者の脆弱性

認知症患者は入院により混乱や見当識障害を起こしやすく、環境変化はせん妄の引き金となる 2。既存研究では認知症患者のLOS延長や死亡率増加が示されているが、病棟移動がこれらの悪化をさらに増幅させるかは不明であった。

研究の仮説

認知症の人々は病棟移動によってより悪影響を受けるであろう(病棟移動と認知症の間に相互作用効果が存在する)と仮説を立てた 3

3. 方法 (Methods)

3.1 デザインとデータ

項目

内容

データソース

グレーター・マンチェスターの4つの病院(Salford, Bury, Oldham, Rochdale)のルーチンデータ。2,000床規模、人口約100万人をカバー。

期間

2023年1月~2024年2月に退院した患者。

適格基準

65歳以上、非予定入院(緊急入院)、少なくとも1日以上病棟に入院した患者 4

除外基準

中間ケア(Intermediate care)への入院は退院として扱い、病棟移動数には含めない。退院ラウンジ、バーチャル病棟、手術室、腎臓ユニットも移動数から除外 5

3.2 変数定義

変数

定義・詳細

共変量

年齢、性別、民族、剥奪指標(IMD:5分位)、認知症の有無、病棟移動回数、病院サイト、せん妄の有無 6

認知症の定義

ICD-10コード(主診断・副診断)より特定。過去の入院で記録があり今回の入院でない場合も、ステータスを引き継いだ(Carried forward) 7

せん妄の定義

入院時の4ATスクリーニングに基づくICD-10コード 8

アウトカム

1. 在院日数 (LOS): 日数(院内死亡例は除外)。


2. 院内死亡: 入院中の死亡。


3. ケアホームへの退院: 施設への新規入所(院内死亡例は除外)。

4. 統計解析手法の詳細 (Statistical Analysis)

9

 

項目

詳細・設定

基本解析

記述統計(カイ二乗検定、t検定、マン・ホイットニーのU検定)。

主要モデル

一般化推定方程式 (Generalised Estimating Equations: GEE)


- 目的: 同一患者が期間中に複数回入院するデータの相関(clustering)を考慮するため。


- 標準誤差: 患者レベルでのクラスター調整を実施 (Standard errors clustered at patient level)。

回帰の種類

- LOS: 線形回帰 (Linear regression)。


- 死亡・退院先: ロジスティック回帰 (Logistic regression)。

モデル構成

1. 未調整モデル (Unadjusted): 病棟移動数、認知症有無、相互作用項(病棟移動×認知症)。


2. 完全調整モデル (Fully adjusted): 上記に加え、年齢、性別、民族(参照:白人)、IMD(参照:最も貧困)、病院サイト(参照:サイトD)を調整。


3. 感度分析モデル: 完全調整モデルに「せん妄(Delirium)」を追加。

相互作用の解釈

「病棟移動 × 認知症」の項が有意であれば、認知症患者における病棟移動の影響が非認知症患者と異なることを意味する。

ロバスト性検証

LOSデータの歪みを考慮し、以下の2つの追加解析を実施:


1. LOSを対数変換 (Log-transformed) して解析。


2. LOSの上位5%(外れ値)を除外して解析。

欠測値処理

リストワイズ削除 (Listwise deletion) による完全ケース分析 (Complete-case analysis)。

ソフトウェア

SPSS version 28。

5. 結果 (Results)

5.1 サンプル特性 (Table 1)

  • 全体: 27,140入院。認知症あり 2,760 (10%)、なし 16,632名(ユニーク患者数)。
  • 認知症群の特徴: 非認知症群と比較して、高齢(83.4歳 vs 78.1歳)、女性が多い(57% vs 51%)、せん妄が多い(36% vs 14%)、LOSが長い(7.69日 vs 5.73日)、死亡率高い(11% vs 8%)、ケアホーム退院が多い(11% vs 2%)。
  • 病棟移動数: 中央値は両群とも2回。範囲は1-14回。

5.2 回帰分析結果 (Table 2)

10

 

アウトカム

項目

係数(β) または OR [95% CI]

P値

解釈

在院日数 (LOS)

病棟移動数

$\beta$ = 5.23 [4.78, 5.67]

<.001

移動1回につき約5.2日延長

(線形回帰)

認知症あり

$\beta$ = -0.43 [-1.88, 1.02]

.561

単独では有意差なし

 

相互作用 (移動×認知症)

$\beta$ = 1.68 [0.86, 2.50]

<.001

認知症群はさらに1.7日延長

院内死亡

病棟移動数

OR = 1.03 [0.99, 1.08]

.157

調整後は有意差なし

(ロジスティック)

認知症あり

OR = 1.40 [1.07, 1.84]

.013

リスク増

 

相互作用

OR = 0.90 [0.79, 1.03]

.136

相互作用なし

ケアホーム退院

病棟移動数

OR = 1.27 [1.21, 1.34]

<.001

移動が多いとリスク増

(ロジスティック)

認知症あり

OR = 4.35 [3.29, 5.75]

<.001

非常に高いリスク

 

相互作用

OR = 0.96 [0.85, 1.07]

.472

相互作用なし

  • LOSの補足: 対数変換モデルでは、病棟移動により非認知症でLOSが41%増、認知症で55%増と推定された 11

5.3 感度分析(せん妄調整)

  • せん妄をモデルに加えると、せん妄自体はすべての悪化(LOS延長、死亡増、ケアホーム増)と強く関連した。
  • LOSにおける「移動×認知症」の相互作用は有意なままであった ($\beta=1.41, P<.001$)。
  • 死亡率においては、せん妄調整後、認知症単独の有意性が消えた (P=.058)。これは死亡リスク増加が認知症そのものより併発するせん妄によるものであることを示唆する 12121212

6. 考察 (Discussion)

項目

詳細

主な知見

病棟移動が増えるほどLOSは延びるが、認知症患者ではその延び方が非認知症患者よりも有意に大きい(相互作用あり)。一方で、死亡や退院先に関しては、認知症患者特有の「追加的な悪影響(相互作用)」は見られなかった。

メカニズム

認知症患者のLOS延長は、環境変化による「せん妄」の誘発、転倒、デコンディショニング(廃用症候群)が関与している可能性がある。せん妄を調整しても相互作用が残ったことは、せん妄データの過少報告や、せん妄以外の要因(見当識障害によるケアの困難さなど)の存在を示唆する 13

因果の逆転


逆の因果関係 (Reverse causality) の可能性がある。つまり、「病棟移動が多いからLOSが延びる」だけでなく、「LOSが長い患者ほど(ベッド繰りなどで)病棟移動させられるリスクが高まる」という双方向の関係が考えられる 14141414

臨床的意義

認知症患者にとって病棟移動は特に有害(LOS延長)であるため、病院のベッド管理において、認知症患者の移動を最小限にする「継続性のあるケア」を優先すべきである 15

7. 結論 (Conclusion)

項目

内容

結論

病棟移動は、認知症患者の在院日数(LOS)に対して不釣り合いに大きな悪影響を与える。死亡や施設入所への特異的な追加効果は確認されなかった。

提言

全ての高齢者、特に認知症患者において、入院中の病棟間移動を最小限に抑えることは、在院日数の短縮とそれに伴う害の低減に重要である。

貢献者・利益相反

  • 資金提供: NIHR Applied Research Collaboration Greater Manchesterなど。
  • 利益相反: 申告なし。

 

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総合内科流 一歩上を行くための内科病棟診療の極意

論文要約:痛みと内在的能力

ご提示いただいた論文は、**「The association of pain with intrinsic capacity and the moderating role of inflammation in France: a cross-sectional analysis of the INSPIRE-T project(フランスにおける痛みと内在的能力(Intrinsic Capacity)の関連および炎症の調節的役割:INSPIRE-Tプロジェクトの横断的解析)」**というタイトルで、The Lancet Healthy Longevity (2025年12月) に掲載された研究です。

WHOが提唱する「内在的能力(Intrinsic Capacity: IC)」と「痛み」の関連、およびその関連における「炎症(iAgeクロック)」の役割を、若年成人から超高齢者までを含むコホートで検証した重要な研究です。

*添付はGemini 3.0で作成しており使用は個人の責任で

https://www.thelancet.com/journals/lanhl/article/PIIS2666-7568(25)00117-5/fulltext

論文基本情報

項目

内容

タイトル

フランスにおける痛みと内在的能力の関連および炎症の調節的役割:INSPIRE-Tプロジェクトの横断的解析

著者

Federico Bellelli, Jeremy Raffin, Matteo Cesari 他

掲載誌

The Lancet Healthy Longevity 2025; 6:100798

DOI

10.1016/j.lanhl.2025.100798

研究デザイン

横断研究(INSPIRE-Tコホートのデータを使用)

資金提供

Agence Nationale de la Recherche (フランス国立研究機構)

1. 要約 (Summary)

項目

詳細

背景

痛みは健康状態の多くの側面に影響するが、WHOが提唱する「内在的能力(IC)」全体との関連は十分に調査されていない。炎症は痛みの生物学において中心的であり、痛みが炎症を増幅させる可能性もある。

目的

地域在住の成人(20歳以上)において、痛みとICおよびその5つのドメインとの横断的な関連を評価すること。また、炎症性老化(iAge)クロックがこの関連を調節(Moderate)するか、年齢や性別による違いがあるかを検証すること。

方法

フランス・トゥールーズのINSPIRE-Tコホート参加者971名(20~102歳)を対象とした。


痛みは過去8日間の自己報告(0-4スケール)で評価。


ICは5つのドメイン(認知、心理、運動、活力、感覚)のスコアから算出。


炎症はiAgeクロック(免疫バイオマーカーに基づく深層学習モデル)で評価。


重回帰分析を用いて関連を解析した。

結果

中等度および強度の痛みは、ICスコアの低下と有意に関連していた。


心理ドメインは軽度の痛みでもスコアが低下した。


運動・活力ドメインは中等度以上の痛み、認知ドメインは強度の痛みでのみ低下が見られた。


感覚ドメインとの関連はなかった。


iAge(炎症)、年齢、性別による調節効果(相互作用)は見られなかった。

解釈

痛みは内在的能力の低下と関連しているが、iAgeクロックによる調節効果は認められなかった。痛みへの早期介入がICの低下を防ぐ可能性がある。

2. イントロダクション (Introduction)

項目

詳細

内在的能力 (IC)

WHOは健康な老化(Healthy Ageing)を機能的能力の維持と定義しており、その基礎となるのが身体的・精神的能力の複合体である「内在的能力(Intrinsic Capacity)」である。ICは5つのドメイン(認知、心理、運動、活力、感覚)で構成される。

課題

これまでの研究は、痛みとICの個別のドメイン(例:うつ、歩行速度)との関連については報告しているが、IC全体としての関連や、ドメイン間の相互関係については不十分であった。また、若年層を含めた生涯にわたる関連や、性差についても不明であった 1111

炎症の役割

痛みと炎症は相互に関連している。慢性的な炎症と痛みは互いに増幅し合い、ICに影響を与える可能性がある。新しい生物学的年齢マーカーである「iAgeクロック(炎症性老化時計)」を用いてこの仮説を検証する 2

目的

1. 痛みとICおよび各ドメインの関連を評価する。


2. 炎症(iAge)がその関連を調節するか検証する。


3. 年齢や性別がその関連を変化させるか探索する。

3. 方法 (Methods)

3.1 研究デザインと対象

項目

内容

コホート

INSPIRE-Tコホート(フランス・トゥールーズ)。2019年10月開始の10年間の観察研究。

参加者

20歳以上の地域在住者。余命5年以内(要介護高齢者は1年以内)の重篤な疾患がない者。

解析対象

1,014名のリクルートのうち、痛みとICのデータが揃っている 971名 を解析対象とした。

3.2 変数の定義

変数

定義・測定方法

内在的能力 (IC)

以下の5ドメインのテスト結果を0-100スケールに変換し、その算術平均を「複合ICスコア」とした 3



1. 認知: MMSE (高得点=良)


2. 心理: PHQ-9 (高得点=悪 ※逆転換算)


3. 運動: SPPB (高得点=良)


4. 活力: 利き手の握力 (性別最大値で標準化)


5. 感覚: 視力検査と囁き声テストの平均

痛み (Pain)

過去8日間の痛みを5段階(Verbal Rating Scale)で評価。


0: なし, 1: 軽度, 2: 中等度, 3: 強度, 4: 極めて強度。


※「強度」と「極めて強度」は統合して「強度 (Intense)」として解析(計4カテゴリ:なし/軽度/中等度/強度)。

炎症 (iAge Clock)

深層学習に基づく炎症性老化マーカー。5つの主要なサイトカイン/ケモカイン(CCL11, CXCL1, CXCL9, IFN-$\gamma$, TRAIL)を用いた短縮モデルを使用 4

4. 統計解析手法の詳細 (Statistical Analysis)

前の回答同様、統計手法について詳細に記述します。

項目

詳細・設定

主要解析モデル

重回帰分析 (Multiple Linear Regression)

目的変数 (Y)

内在的能力(IC)スコア および 各ドメインスコア。


※残差の正規性を確保するため、スコアを反転させ平方根変換を行った。


変換式:$Y = \sqrt{\max(\text{value}) - \text{value}}$


※解釈:回帰係数が正(+)の場合、ICとの「負の関連(悪化)」を意味する(活力ドメインのみ変換不要だったため、通常の解釈)。

説明変数 (X)

痛み(カテゴリ変数:なし[参照]、軽度、中等度、強度)。

調整変数 (Covariates)

1. 年齢: 15歳刻みのカテゴリ(20-35, 36-50, 51-65, 66-80, >80歳)5



2. 性別


3. 教育歴(4区分)


4. 併存疾患: チャールソン併存疾患指数 (CCI)


5. 鎮痛薬の使用 (あり/なし)


6. 評価時の急性痛: 評価時点での痛み強度(一時的なパフォーマンス低下の影響を除去するため)6

相互作用 (Interaction)

以下の相互作用項をモデルに追加して検証:


- 痛み $\times$ iAge


- 痛み $\times$ 年齢群


- 痛み $\times$ 性別

多重共線性

過去8日間の痛みと評価時の急性痛の共線性を一般化分散拡大係数 (GVIF) で確認。GVIF=1.17 と低く問題なし。

感度分析

1. 評価時に「痛みなし/軽度」の参加者に限定して解析(n=636)。


2. ベースラインと1年後追跡の両方で「中等度以上の痛み」がある持続性疼痛群(n=158)での解析。

ソフトウェア

R (version 2023.12.1+402)。有意水準 $p<0.05$。

5. 結果 (Results)

5.1 対象者特性 (Table 1) 7

 

  • 人数: 971名(女性 62%)。
  • 年齢: 中央値 64歳(範囲 20-102歳)。
  • 痛み(過去8日間): なし 37%、軽度 30%、中等度 24%、強度 10%。
  • ICスコア: 中央値 86.5。

5.2 痛みと内在的能力の関連 (Table 2) 8

 

※係数(B coefficient)が正の値であることは、ICの低下を意味します(活力以外)。

ドメイン

痛みレベル

係数 (B) [SE]

P値

解釈

全体的IC

軽度

0.056 [0.065]

0.39

関連なし

 

中等度

0.264 [0.076]

0.0006

有意に低下

 

強度

0.479 [0.105]

<0.0001

有意に低下

心理 (Psychological)

軽度

0.512 [0.163]

0.0017

軽度から有意に低下

 

中等度

1.111 [0.191]

<0.0001

同上(影響大)

 

強度

1.532 [0.263]

<0.0001

同上(影響最大)

運動 (Locomotor)

軽度

0.111 [0.136]

0.42

関連なし

 

中等度

0.383 [0.160]

0.017

有意に低下

 

強度

0.857 [0.219]

0.0001

有意に低下

活力 (Vitality)

軽度

0.331 [0.778]

0.76

関連なし

(係数が負=低下)

中等度

-2.891 [1.269]

0.023

有意に低下

 

強度

-4.159 [1.742]

0.017

有意に低下

認知 (Cognitive)

強度

0.499 [0.184]

0.0069

強度のみ有意に低下

感覚 (Sensory)

全レベル

-

NS

有意な関連なし

5.3 相互作用と感度分析 9999

 

  • 炎症 (iAge): 痛みとICの関連に対するiAgeの有意な相互作用(調節効果)は確認されなかった(Table 3)。
  • 年齢・性別: これらによる有意な調節効果も見られなかった(Figure)。
  • 感度分析: 評価時に痛みがなかったサブグループや、1年間痛みが持続しているグループでも、同様の負の関連が確認された。持続性の痛みがある群は、よりICが低かった。

6. 考察 (Discussion)

項目

詳細

主な知見

中等度以上の痛みはIC低下と関連し、年齢や性別に関わらず一貫していた。特に「心理」ドメインは軽度の痛みでも影響を受け、「運動」「活力」ドメインは中等度から影響を受けた。感覚ドメインのみ関連がなかった。

炎症の役割

予想に反し、炎症(iAge)による調節効果は見られなかった。理由として、iAgeが主に血管系の炎症(CXCL9など)を反映しており、痛みに特異的な炎症(IL-6, TNF-$\alpha$など)や神経系の炎症を反映していない可能性が挙げられる 10。あるいはミトコンドリア機能不全やHPA軸(ストレス応答)など、炎症以外の経路が関与している可能性がある 11

臨床的意義

心理・活力・運動ドメインクラスターは高齢者で一般的かつ可逆性が高いため、痛みへの介入によりIC低下を防げる可能性がある。特に80歳以上で全ドメイン障害が多くなるため、若年~中年期(<80歳)からの疼痛管理が重要である 12

強みと限界


強み: 広い年齢層(20-102歳)、5ドメインの包括的評価、iAgeの活用。


限界: 横断研究であり因果関係は不明(逆の因果の可能性)。痛みの評価期間が8日間であり、厳密な「慢性疼痛(3ヶ月以上)」の定義とは異なる。痛みの部位や種類(神経障害性など)の情報欠如。天井効果(MMSEなど)の影響 13

7. 結論 (Conclusion)

項目

内容

結論

痛みは内在的能力(IC)の低下と関連しており、その関連は年齢や性別、全身性の炎症レベル(iAge)によって変化しない。

提言

痛み、特に中等度以上の痛みに対して早期かつ効果的に介入することで、将来的な機能低下(ICの喪失)を予防できる可能性がある。

 

アルツハイマー病患者のフレイルと予後

ご提示いただいた論文は、**「Frailty and prognosis of biomarker-confirmed Alzheimer's disease: a Swedish, register-based, retrospective cohort study(バイオマーカーで確認されたアルツハイマー病のフレイルと予後:スウェーデンレジストリに基づく後ろ向きコホート研究)」**というタイトルで、The Lancet Healthy Longevity (2025年12月) に掲載されたものです 111

 

本記事はGemini 3.0で作成 内容が問題ないかは個人で確認ください。

 

 

https://www.thelancet.com/journals/lanhl/article/PIIS2666-7568(25)00116-3/fulltext

 

 

論文基本情報

項目

内容

タイトル

バイオマーカーで確認されたアルツハイマー病のフレイルと予後:スウェーデンレジストリに基づく後ろ向きコホート研究 2

著者

Xin Xia, Maria Eriksdotter, Henrik Zetterberg 他 3

掲載誌

The Lancet Healthy Longevity 2025; 6:100797 4

DOI

10.1016/lanhl.2025.100797 5

研究デザイン

レジストリに基づく後ろ向きコホート研究 6

資金提供

Innovative Health Initiative Joint Undertaking および Vinnova 7

1. 要約 (Summary)

項目

詳細

背景

本研究は、アルツハイマー病(AD)患者の予後を知る上で、フレイル指数(Frailty Index)によって定義されるフレイル状態が持つ価値を検証することを目的とした 8

方法

スウェーデン認知症レジストリ(SveDem)と他の医療レジストリを連結し、2007年5月1日から2020年12月31日までのデータを収集した 9



ADの病理を示唆する脳脊髄液(CSF)バイオマーカーを有する軽度認知障害(MCI)またはAD認知症の患者を対象とした 10



施設入所者やMMSE(ミニメンタルステート検査)データがない者は除外した 11



疾患、症状、多剤併用、栄養状態、介護依存度を含む41項目からなるフレイル指数を作成し、スコア0.25以上を「フレイル」と定義した 12



フレイルとMMSEの軌跡、施設入所、死亡率との関連を、縦断データと生存データの結合モデル(Joint modelling)で評価した 13

結果

7,251人が対象(平均年齢72.7歳、女性58.9%) 14



フレイルはベースラインのMMSEが0.723ポイント低いことと関連していたが、MMSEの低下率とは関連しなかった 15



フレイルは施設入所のハザード比(HR)1.91、死亡のHR 2.41と関連していた 16



フレイルのある人は、寿命が1.3年短く、施設入所していない期間が1.0年短かった 17



CSFバイオマーカーとMMSE軌跡との関連は、フレイルの状態によって異ならなかった 18

解釈

フレイル指数で測定されるフレイルは、AD患者の施設入所と死亡を予測するが、認知機能低下との関連がないことから、認知機能低下の主な要因は神経変性であることが示唆される 19

2. イントロダクション (Introduction)

項目

詳細

背景

認知症は高齢者の主要な罹患・死亡原因であり、ADはその最大80%を占める 20。フレイルは多臓器系の調節不全や生理的予備能の低下を特徴とする老年症候群であり、転倒、施設入所、死亡などのリスク増加と関連する 21

ADとフレイル

フレイルは認知症患者に多く見られ、ADの予後に重要な意味を持つ 22。過去の研究では、フレイルがMCI患者の認知機能悪化を予測することや、ADの神経病理と臨床症状の関連を修飾することが示されている 23

臨床的意義

新しい疾患修飾薬(DMT)を含む高リスクの薬理学的治療において、副作用が出やすい多疾患併存や障害を持つ高齢患者を選別する際、フレイルの評価は重要である 24

測定手法

「フレイル指数(Frailty Index: FI)」と「身体的フレイル表現型(Phenotype)」が一般的だが、表現型は認知症患者にとって実施困難な場合がある(歩行速度測定や質問への回答など) 25。FIは電子カルテレジストリから導出可能で実行性が高い 26

研究の目的

CSFバイオマーカーで確認されたAD患者において、FIで測定されたフレイルが予後に果たす役割を調査すること 272727



具体的には:


1. FIと認知機能の軌跡、施設入所、死亡率との関連を評価する 28



2. 抗認知症薬の使用がこれらの関連を媒介するか評価する 29



3. フレイルがCSFバイオマーカーと認知機能低下の関係を修飾するか検証する 30

3. 方法 (Methods)

3.1 デザインと対象

項目

内容

データソース

スウェーデン認知症レジストリ(SveDem)およびその他の医療レジストリ 31

期間

2007年5月1日~2020年12月31日 32

適格基準

施設入所していない者で、早発性/晩発性AD、詳細不明の認知症、またはMCIと診断され、かつCSFバイオマーカーでAD病理が支持され、少なくとも1回のMMSE測定がある者 33

AD病理定義

CSF $A\beta_{42}/P-tau_{181}$ 比 < 14.887 または CSF $A\beta_{42}/A\beta_{40}$ 比 < 0.072 34

3.2 フレイル指数 (Frailty Index) の構築

SveDemおよび他のレジストリを用いて、以下の41項目の欠損(Deficits)から構築 35353535

 

カテゴリ

項目詳細 (Panel 1)

疾患・症状 (36項目)

貧血、不安、関節炎、喘息・COPD、心房細動、がん、白内障等、CKD、慢性肝疾患、慢性疼痛、うつ病、糖尿病、めまい、骨折、緑内障、難聴、心不全高脂血症、高血圧、低血圧、虚血性心疾患、骨粗鬆症、その他の心疾患、パーキンソン病、消化性潰瘍、末梢神経障害、末梢血管疾患、肺疾患、皮膚潰瘍、睡眠障害、失神、TIA脳梗塞甲状腺疾患、尿路疾患、弁膜症、視覚障害

多剤併用

多剤併用(Polypharmacy)。

栄養状態

低体重 ($BMI < 18.5$)、肥満 ($BMI \ge 30$)。

介護依存度

ホームヘルプの利用(基本的ADL障害の代替)、住宅支援の利用(手段的ADL障害の代替)。

定義

フレイル指数 $\ge 0.25$ を「フレイルあり(Frail)」と定義 37

3.3 統計解析

手法

詳細

モデル

年齢・性別で調整した、MMSE低下・施設入所・死亡率の「結合モデル(Joint modelling)」を使用 38

媒介・修飾

コリンエステラーゼ阻害薬やメマンチンの使用による媒介効果を検討 39。CSFバイオマーカーと認知機能低下の関連に対するフレイルの修飾効果(相互作用)を検証 40

感度分析

カットオフ値の変更(0.21)、併存疾患特定の定義変更、介護依存項目の除外、MMSE測定回数3回以上への限定など 41

 

統計解析手法の詳細 (Statistical Analysis)

本研究では、縦断的な認知機能データと生存時間データ(施設入所・死亡)の関連をバイアスなく推定するため、高度な統計モデリング手法が採用されています。

1. 基本的な記述統計

項目

手法

連続変数

平均値 (Mean) および 標準偏差 (SD) で記述 1

カテゴリ変数

人数 (Numbers) および 割合 (Proportions) で記述 2

群間比較

ベースライン特性の比較には、年齢と性別で調整した線形回帰モデルを使用(Table 1脚注参照) 3

2. 主要な解析モデル:ジョイントモデリング (Joint Modelling)

認知機能(MMSE)の経時的変化と、イベント(施設入所、死亡)は相互に関連しています(例:死亡による脱落が認知機能の推定に影響する)。これを解決するために Joint Models が使用されました。

項目

詳細・設定

目的

フレイル状態と以下の3つのアウトカムとの関連を評価するため 444


1. MMSEの軌跡(ベースライン値および低下率)


2. 施設入所のリスク


3. 死亡のリスク

調整変数

年齢、性別 5

変数の処理

年齢、フレイル指数(連続変数の場合)、CSFバイオマーカーは Zスコア標準化(Z-standardised) して解析に投入 6

サブモデル

混合効果サブモデル (Mixed-effect submodel):MMSEの縦断的変化を推定。


生存サブモデル (Survival submodel):施設入所および死亡のハザード比を推定。

利点

死亡や施設入所などのイベントによる情報の欠落(Informative dropout)を考慮し、認知機能低下の推定バイアスを軽減できる 7

ソフトウェア

Rパッケージ JMbayes2 を使用 8

3. 生存・リスク解析の拡張:フレキシブルパラメトリックモデル

項目

詳細・設定

手法

Flexible Parametric Survival Models を使用 99

目的

フレイルの有無による以下の指標を推定するため:


1. 標準化累積発生率 (Standardised cumulative incidences):施設入所について、死亡という「競合リスク (Competing risk)」を考慮して推定 10


2. 死亡リスク (Mortality risks) 11


3. 制限付き生存時間 (Restricted survival times):全生存期間および「非施設入所生存期間(施設に入所せずに生存している期間)」を推定 12

調整変数

年齢、性別、MMSE 13

ソフトウェア

Stataパッケージ stpm2 および standsurv を使用 14

4. 媒介分析と相互作用 (Mediation & Interaction)

分析の種類

内容

媒介分析

認知症薬(コリンエステラーゼ阻害薬、メマンチン)の使用が、フレイルと予後の関連を媒介するかどうかを検証するため、これらを共変量としてジョイントモデルに追加投入 15

相互作用 (1)

発症年齢の影響:フレイル指数と「認知症診断時年齢」の相互作用項をモデルに投入し、早発性と晩発性で関連が異なるかを検証(MCIは除外) 16

相互作用 (2)

バイオマーカーの修飾効果:フレイルが「CSFバイオマーカー($A\beta_{42}, P-tau_{181}, T-tau$)」と「認知機能低下」の関連を修飾するかどうかを検証するため、CSFバイオマーカーとフレイルの相互作用項をジョイントモデルに投入 17

5. 感度分析 (Sensitivity Analyses)

結果の堅牢性(Robustness)を確認するため、以下の4つの感度分析を実施しました 18

  • カットオフ値の変更: フレイル指数のカットオフを通常の0.25から 0.21 に変更して再解析 19191919

  • 併存疾患定義の厳格化: レジストリからの疾患特定の際、感度(Sensitivity)よりも 特異度(Specificity) を優先するアルゴリズムでフレイル指数を再構築 20202020

  • 機能的項目の除外: フレイルの定義から「ホームヘルプ利用(基本的ADLの代替)」と「住宅支援利用(手段的ADLの代替)」を除外し、純粋な医学的フレイルの影響を確認 21212121

  • データ密度の変更: MMSE測定が 3回以上 ある個人に限定して解析(通常は1回以上で包含) 22222222

6. 欠測データの扱い (Missing Data Handling)

手法

詳細

完全ケース分析 (Complete-case analysis)

共変量(CSF $P-tau_{181}$、T-tauコリンエステラーゼ阻害薬、メマンチン)に欠損がある場合、そのケースを除外して解析を行った 23

理由

ジョイントモデル自体が計算負荷の高い手法であるため、多重代入法(Multiple imputation)などの複雑な欠測処理は適用しなかった 24

7. 使用ソフトウェア

  • R (version 4.3.3): ジョイントモデル (JMbayes2) など 25



4. 結果 (Results)

4.1 ベースライン特性 (Table 1) 42424242

 

  • 対象者: 7,251名(除外者と比較して若く、MMSEが高く、フレイルが少なかった)。
  • フレイル有病率: ベースラインで385名 (5.3%)。
  • フレイル群の特徴: 非フレイル群と比較して、高齢、女性の割合が高い(有意ではない傾向)、MMSEが低い、CSF P-tau181が低い、コリンエステラーゼ阻害薬の使用率が低い。

特性

非フレイル (n=6,866)

フレイル (n=385)

全体 (n=7,251)

年齢 (歳)

72.4 (7.7)

77.6 (6.8)

72.7 (7.7)

女性 (%)

58.7%

62.1%

58.9%

MMSEスコア

22.3 (4.7)

21.7 (4.6)

22.3 (4.7)

コリンエステラーゼ阻害薬使用

74.1%

58.2%

73.2%

4.2 フレイルと予後の関連 (Table 2 & Figure 2)

434343434343434343

 

アウトカム

関連性 (係数 または ハザード比 HR) [95% CI]

解釈

MMSE (ベースライン)

切片係数: -0.723 [-1.196 ~ -0.250]

フレイル群は開始時のMMSEが有意に低い。

MMSE (低下率/傾き)

傾き係数: 0.071 [-0.290 ~ 0.432]

低下率に有意差なし

施設入所

HR: 1.91 [1.43 ~ 2.54]

フレイル群は施設入所リスクが約1.9倍。

死亡

HR: 2.41 [1.73 ~ 3.33]

フレイル群は死亡リスクが約2.4倍。

  • 寿命への影響: フレイル群は非フレイル群に対し、全生存期間が 1.3年 短く、非施設入所生存期間が 1.0年 短かった 44444444

4.3 CSFバイオマーカーとフレイルの相互作用 (Table 3)

各CSFバイオマーカーはMMSEの軌跡と関連していたが、フレイルとの有意な相互作用は見られなかった 45454545

 

バイオマーカー

MMSE低下への影響

フレイルとの相互作用

CSF $A\beta_{42}$ 高値

認知機能低下が緩やか (係数 0.144)

なし (係数 0.014, 95% CI -0.215~0.253)

CSF $P-tau_{181}$ 高値

認知機能低下が速い (係数 -0.301)

なし (係数 -0.048, 95% CI -0.313~0.214)

CSF T-tau 高値

認知機能低下が速い (係数 -0.341)

なし (係数 -0.125, 95% CI -0.408~0.154)

4.4 感度分析

フレイル指数の定義やカットオフ値を変更しても、施設入所および死亡との関連は一貫して有意であった 46。MMSE測定が3回以上の集団に限定した場合、フレイルと死亡の関連は有意ではなくなった(イベント数不足の可能性) 47

 

5. 考察 (Discussion)

項目

詳細

主な知見

フレイル(FI定義)は、施設入所や死亡、寿命短縮と関連するが、認知機能低下の速度とは関連しなかった 48。CSFバイオマーカーは認知機能低下の強力な予測因子であり続けた 49

フレイル有病率の低さ

本研究の有病率(5.3%)は、過去のメタ解析(31.9%)より低い。理由として、(1) 施設入所しておらずCSF検査を受けた集団であるため比較的健康度が高い、(2) レジストリデータ構築のため過少評価の可能性がある 50

認知機能との関連

過去の研究ではフレイルが認知低下を早めるという報告もあるが、本研究では確認されなかった 51515151。これは、対象が「バイオマーカーで確認されたAD」という均質な集団であり、認知低下の主因がAD病理そのものであるためと考えられる 52。あるいは、AD発症時点で生理的予備能がすでに低下しているためとも解釈できる 53

臨床的意義

フレイル指数は、AD患者における将来の施設入所や死亡リスクを特定する有用なツールである 54。特に、抗アミロイド抗体薬などの新しい疾患修飾薬の安全性・有効性評価において、リアルワールドデータを用いたフレイル評価が役立つ可能性がある 55

強みと限界


強み: 大規模コホート、バイオマーカーによる確定診断、長期追跡、結合モデルによるバイアス低減 56



限界: プライマリ・ケアデータの欠如による疾患の見逃し、機能障害の代理指標(社会的ケア)への依存、MMSE測定回数の少なさ、MCI患者の少なさ、一般AD患者への外挿可能性の懸念 57

6. 結論 (Conclusion)

項目

内容

結論

フレイルはAD患者の予後悪化(特に施設入所と死亡)と関連しており、フレイル指数はその識別に有用である 58。認知機能低下の予測においては、フレイル指数よりもADのCSFバイオマーカーの方が重要である可能性が高い 59

貢献者・利益相反など

  • 貢献者: XXが構想、デザイン、解析、執筆を担当。LJが資金獲得。全著者がデータ解釈とレビューに参加 60

  • 利益相反: HZ、ME、BW、LJ、SK、RROは製薬企業(Biogen, Roche, Eisai, Novo Nordisk等)からの助成金、講演料、顧問料等の受領がある 61

  • データ共有: スウェーデンの規制によりデータ共有は不可。SveDem等への申請が必要 62

非英語話者入院患者の病室訪問頻度

**「Hospitalized Patients with Non-English Language Preference Experience Fewer Room Visits(入院中の非英語言語選好患者は、病室への訪問回数が少ない)」**というタイトルで、Journal of General Internal Medicine (2026年1月オンライン公開) に掲載された研究報告(Research Letter)です。

英語を母国語としない(または英語以外を希望する)患者(NELP)に対して、医療者が病室を訪れる頻度が少ないことを、センサーデータを用いて定量的に示した重要な研究です。

 

*添付はGemini 3.0で作成しており内容の正確性は各人で判断をお願いします。

 

論文基本情報

項目

内容

タイトル

Hospitalized Patients with Non-English Language Preference Experience Fewer Room Visits


(入院中の非英語言語選好患者は、病室への訪問回数が少ない) 1

著者

Santiago Avila, MD, Camron Shirkhodaie, MD 他 2

掲載誌

Journal of General Internal Medicine (JGIM), Published online: 13 January 2026 3333

DOI

10.1007/s11606-025-10118-3 4

研究デザイン

後ろ向きコホート研究 5

キーワード

英語運用能力が限定的 (Limited English Proficiency)、多言語使用、健康の不公平 6

1. イントロダクション (Introduction)

項目

詳細

背景

米国で増加している非英語言語選好(NELP)を持つ患者にとって、希望する言語での医療アクセスは転帰を左右する 7。しかし、アクセスだけでは不十分であり、敗血症死亡率や深鎮静の長期化など、入院患者の転帰に言語に基づく格差があるという証拠が増えている 8

課題と仮説

これらの不公平の要因(ドライバー)は十分に理解されていない 9。本研究は、一つの可能性のあるメカニズムとして、「患者の言語選好」と「入院中の接触頻度(誰かが患者の病室に入る頻度)」との関係を調査する 10

アプローチ

臨床医と患者の院内接触頻度の代替指標(プロキシ)として、手指衛生モニタリングシステムの熱センサーデータから得られた「入室データ(Room entry data)」を活用した 11

2. 方法 (Methods)

項目

内容

データソース

ある都市部のセンターにおいて、2020年1月1日から10月1日の間にCOVID-19の検査を受けた58,136人の患者データを分析した 12

対象期間

2019年1月1日から2023年12月31日までの入院エンカウンターを含めた(複数回入院がある場合は最初の入院を採用) 13

除外基準

言語記録がない、チャールソン併存疾患指数(CCI)の記録がない、成人内科または外科サービスへの入院でない、在院日数が24時間未満の患者を除外した 14。また、入室データがない部屋や入室回数が10回未満(空室と仮定)の部屋も除外した 15

分析手法

NELP(非英語言語選好)が記録されている患者を特定し、最近傍傾向スコアマッチング(Nearest neighbor propensity score matching)を用いて、対照群となる英語話者グループを作成した 16

測定指標

1時間あたりの入室率、最初の24時間の入室数、入院全体の入室数を計算した 17



時間帯別分析:全日、日中(6:00 am - 10:00 pm)、夜間(10:00 pm - 6:00 am) 18

統計解析

連続変数にはt検定、カテゴリ変数にはカイ二乗検定を使用し、有意水準は$P<0.05$とした 19

3. 結果 (Results)

3.1 コホート特性

項目

データ

サンプル数

英語群 775名、NELP群 775名(合計1,550名) 20

比較可能性

年齢中央値、在院日数、CCI(併存疾患指数)、内科vs外科の入院割合において、両群間に統計的な有意差はなかった 21

言語の内訳

37言語が確認された 22



上位:スペイン語 (58%)、アラビア語 (13%)、ポーランド語 (6%)、北京語 (3%)、広東語 (3%)、韓国語 (2%) 23

その他言語

ベトナム語ウルドゥー語、ロシア語、アメリカ手話が各1% 24

3.2 入室頻度の比較 (Table 1 & Main Text)

NELP群(非英語話者)は、英語群と比較して、全ての時間枠で有意に入室数が少なかった。

サービス区分 / 時間帯

英語群 (平均入室数/時)

NELP群 (平均入室数/時)

P値 (有意差)

全サービス (All Services)

     

24時間 (24-h)

1.69

1.59


0.024 25

日中 (Daytime)

1.48

1.41


0.029 26

夜間 (Nighttime)

0.55

0.49


0.01 27

内科 (Medical Services)

     

24時間

1.8

1.73

0.26 28

日中

1.49

1.44

0.40 29

夜間

0.48

0.49

0.73 30

外科 (Surgical Services)

     

24時間

1.6

1.49


0.027 31

日中

1.48

1.38


0.031 32

夜間

0.61

0.50


<0.001 33

  • 全体への影響: NELP群では、入院期間全体を通して平均で 27回 少ない病室訪問しか受けなかった 34

  • 時間経過: 入院後最初の24時間において、NELP群の入室数が少ない傾向が図示されている(Figure 1) 35353535

  • 言語による差: 上位3言語(スペイン語アラビア語ポーランド語)の間で入室数に差は見られなかった 36

4. 考察 (Discussion)

項目

詳細

主な知見

NELPを持つ入院患者は英語話者よりも病室への入室が少なく、臨床医との接触率が低いことが示唆された 37

測定の妥当性

先行研究では、成人病棟における入室の約85%が医療従事者によるものであるとされており、本研究の言語による差もスタッフによるものであると考えられる(面会者ではない) 38

既存研究との整合性

この結果は、救急現場においてNELP患者への「病室回避(room avoidance)」が見られるという過去の報告と一致している 39。同様のパターンが入院ケアでも生じていることを示している 40

不公平のメカニズム

コミュニケーションや臨床的な再評価の頻度が減少することが、敗血症死亡率の悪化、再入院率の増加、患者満足度の低下といった言語に基づく不公平の要因である可能性がある 41

接触減少の理由

考えられる理由として以下が挙げられる 42



1. 通訳アクセスの制限


2. 通訳呼び出し回数を減らすためにケア活動をまとめて行う(Clumping)


3. 患者の希望言語で直接コミュニケーションできる臨床医の不足

提言

入室検知技術などを用いて、NELP入院患者に対する臨床的コミュニケーションや再評価の頻度をモニタリングすることが、患者の安全性を向上させる可能性がある 43

限界

COVID-19パンデミック中のデータ収集、隔離予防策ステータスの欠如、職種の区別がないこと、単一施設での研究であること 44

今後の研究

多施設での検証、関連要因(臨床医の職種、語学力、通訳アクセス)の調査、接触率を高め言語間のコミュニケーションを改善する介入の探求が必要である 45

5. 結論

項目

内容

結論

新しい方法論(センサーデータ)を用いて、非英語言語選好(NELP)と医療チームからの接触率低下との関連を定量的に実証した 46