コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

症例カンファ 2018年3月29日

高齢女性の複数回の嘔吐と喀痰増加、傾眠傾向

元々、ここ1か月傾眠傾向が進んでいる

喀痰が増えているから、誤嚥性肺炎??

しかし、そもそも嘔吐した原因は? 傾眠傾向の原因は?

既往歴として脳出血認知症ある。

診断は?

嘔吐を認めれば、ROSでどの臓器に問題があるかを考える。

 

嘔吐は以下のフレームで考えます VOMMITSAH

 

Vascular    →心筋梗塞(高齢、女性なので胸痛がなくても良い)
Omedeta(おめでた⇒妊娠)
Metabolic →高Ca、DKAなど
Mmemai(めまい)
Infection(感染症) →尿路感染
Tablet(薬剤性)  →特に、Ca製剤、ジギタリスなど
pSycological(精神)
Abdominal(消化管、肝胆道)→胆管炎、胆嚢炎、腸閉塞、感染性腸炎
Head(頭蓋内)→髄膜炎脳出血 
本症例ではMg製剤を内服しているので、Drugとして高Mg血症を疑う。呼吸数も30と早くBT37.9度と発熱あり、意識レベルも不良だが認知症なので評価が難しい??
身体所見上は特記事項なし。次の一手は?? 
血培2セット、電解質、胆道系を含めた採血、血液ガス、腹部エコー(腹部CT)、心電図、胸部Xpはすぐにできる。 後は、頭部CT,髄液穿刺も。高齢女性なので鼠径ヘルニア、大腿ヘルニアも鑑別に。鼠径ヘルニアは鼠径部の診察で分かる。大腿ヘルニアはエコーで分かる。ひとまず胸腹部CT取るかという話になったが、レベル悪そうなら頭部CTも取ろうと。。 頭部CTでは右前頭葉の広範な脳出血でミッドラインシフトあり。→転送とした
認知症患者の意識障害の評価は難しい。元々傾眠傾向ならもともと。発熱でレベルが悪いと早合点しないように。高齢者は絞り切れないので嘔吐の鑑別を網羅的に行うことが大切。検査をどこまで行うかは難しいが、検査を出来る環境なら特に高齢者なら検査の閾値は低くせざるおえない