コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

独協医大総合診療科の聖地巡礼

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先日、独協医大総合診療科に伺いました。

当日は、志水教授が御不在でしたので、病棟医長の 廣澤 孝信 先生に御案内していただきました。

まず、朝からNEJMのケースカンファレンスで診断戦略カンファレンスを行っていらっしゃたので、参加しました。

非常に難しいケースで10代男性の急性発症の高熱、発熱と血小板低下、腹痛、精巣痛、腰痛、下痢という症例でした。

私もコメントさせていただきました。

私は、まずは発熱として感染症、非感染症に分けて考えることが重要で、特に既往歴のない若年者の急性発症の発熱とそれに伴う随伴症状であり、まずは感染症の鑑別を考えると考えました。また性的にはactiveとのことで、ウサギとの接触歴もある?とのことで鑑別を絞れるキーワードかと考えました。

廣澤先生も御指摘されていましたが、精巣痛は比較的High yieldの所見と感じました。

感染症だとすると起因菌が重要で以下のように考えられます。

細菌感染症は原因が多岐に渡るので、刺し網方式で細菌感染症の中で解剖学的に絞り込みます。

精巣:クラミジア or 淋菌などによる精巣上体炎、前立腺炎

脊椎:化膿性脊椎炎、ブルセラ結核

腎臓:腎膿瘍、腎盂腎炎

血管:感染性心内膜炎

 

ウイルス:急性HIV感染症、EBウイルス、サイトメガロウイルス

結核:粟粒結核

リケッチア感染症

 

などが考えられました。

他には。。

自己免疫疾患:結節性多発動脈炎(精巣痛あり)、ANCA関連血管炎

悪性腫瘍:悪性リンパ腫

その他:TTP

 

も鑑別に挙げました。

結局、フェリチンが著増しており、骨髄検査から血球貪食症候群と診断。

実は精巣の外傷歴もあったため、それも関係している?

原因は何らかの感染症だが不明という、少しモヤモヤした症例でした。

ただ、思考過程を皆で共有できたことは大変部強になりました。

 

その後、病棟回診にもお邪魔させていただきました。

病棟回診ではチームの担当患者数は多くはないものの、感染症を中心に非常に難しい症例を扱っていて、皆で診断や治療について議論を重ねて思考過程を共有しているところに感銘を受けました。

ベットサイド回診と身体診察を重要視しているのは、さすがでした。

その後、私はCGAフレームワークのレクチャーをさせて頂きました。

詳細は以下からご覧ください。

http://jyoutoubyouinsougounaika.hatenablog.com/entry/2019/03/16/103534

皆さん、熱心に聞いてくださり、ありがたかったです。

 

その後、外来も見学させていただきました。

原因不明の腹痛として総合診療科に紹介されてきた症例でした。

実際に、他の病院から原因不明で診断をつける目的で紹介されてくることも多いとのことでした。

後期研修医1年目のK先生が主体となり診察され、難しい症例でしたが的確にアセスメントし診断まで結び付けていました。

思考過程を鍛える教育力の高さを感じました。

 

最後に、教育コンテンツについて廣澤先生から教えて頂きました。

 診断戦略カンファレンスをほぼ毎日行うことを基本とし、診断は皆で思考過程を共有する方式でした。

座学のレクチャーは研修医の先生向けのものを土曜日にされているとのことでした。

その他は、各人が読んだ論文や症例について調べたトピックを、 slackに準じた共有ツールを用いて、just timeで共有しているとのことでした。

効率的な方法と感じました。

 

最後に、お世話になった廣澤先生をはじめとした独協医大の先生方に感謝です。

とても、素晴らしいチームで独協医大の総合診療科の今後が楽しみですね!

 

 診断戦略について詳しく知りたい方は以下をご参照ください!

 
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こんなときオスラー! 実際に読んでみて

 

先日、セミナーに参加した、こんなときオスラー!を実際に読み終えました。

とても、多くの学びが得られ医師としての基本に立ち返ることが出来ました。

非常に読みやすく、オスラーの言葉のエッセンスを楽しむことが出来ました。

私なりにオスラーの理想を解釈すると以下の3つになります。

①平静の心

②今ここの精神

③黄金律(自分がして欲しいことを、人にする)

また、一流の総合診療医である徳田先生、山中先生、平島先生の実体験が盛り込まれていて、そこに大変感銘を受けました。

医学以外の本を読むことの重要性も書かれており、筆者の方々のお勧めの本も掲載されていて、とても勉強になりました。

オスラーの言葉を通じて、3人の著者の魂を感じることが出来ます。

また、折を見て何度も読み返したい。

そう思える本でした。

あらゆる年代の医師にお勧めできる本だと思います。

 

 
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栃木医療センターの聖地巡礼

 

本日は、矢吹 拓先生の御配慮で栃木医療センターを見学しました。

内科として循環器も、消化器も、総合内科も同じチームで診療されていることがとても印象的でした。

ほぼ100床を内科で診療しているとのことで、幅広い疾患を扱っており充実した環境だと感じました。

また、私がつい先日までクイーンズメディカルセンターで重症患者のホスピタリスト診療を診ていたので、良い意味でのギャップが興味深かったです。

やはり、高齢者が比較的多く、また内科的な問題だけでは解決しきれない心理社会的問題を抱えた方が多い印象でした。

矢吹先生の回診を拝見しましたが、根拠に基づいた内科的マネージメントはもちろんとして、回診時の姿勢や患者さんとの関係性の構築のしかた、自然に心理社会的問題を把握し適切なアドバイスをする姿勢など非常に学ぶべきことが多かったです。

BPSモデルやPacient-centerd clinilal methodなどを自然に実践されており、感銘を受けました。

カンファレンスも充実していて、ジャーナルクラブ、臨床推論カンファ、レビュー抄読会、その場で臨床疑問を解決するEBMカンファ、MKSAPカンファなど盛りだくさんの印象でした。

今日は臨床推論カンファレンスに参加しましたが、非常に勉強になる症例でした。

 

矢吹先生の教育的なフィードバックの仕方も、個人的には参考になりました。
私も無理を言って、誤嚥性肺炎のレクチャーをさせて頂きましたが、参加者のレベルが高くインタラティブに出来たので自分自身も非常に楽しませていただきました。
矢吹先生の教えが現場で生きている印象でした。
本当に、勉強になりました!!
矢吹先生をはじめとした栃木医療センターの皆さま、ありがとうございました!
 
 
 

クイーンズメディカルセンター最終日の感想

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昨日が最終日でした。
あっという言う間でしたが、クイーンズのシステムは日本で研修した章先生にずっとついていたおかげで理解が深まりました。
章先生、本当にありがとうございました。
 
 
〇感想
透析患者の皮疹。腎臓内科の先生が暫定的に診断してくれて治療方針も考えてくれた。
 コンサルテーションの先生は心強い。
 
アルコール、薬物、肥満、ホームレス、言語の壁などが複雑になりやすい。
入院で治療してもすぐ戻ってくるので、やるせない。
治療や薬の値段に対する意識が日本よりも高いような印象。
 
内科レジデントは週3回のモーニングレポートと週1回のレクチャーがある
モーニングレポートで症例の発表もする。
モーニングレポートで軽く症例に関するレクチャーも行う
 
内科レジデントは週1回外来がある。
継続外来で、患者を3年間フォローする。レジデントが終わったら患者を次のレジデントに引き継ぐ。
ICUや救急のローテーションもある。
 
カルテを書くのにかなりの時間を使う。
米国ではカルテを詳細書くことを求められる印象でありホスピタリストの役割が大きいかも。
 
クイーンズの常勤だけで50人のホスピタリストがいる。
さらにそこに非常勤のホスピタリストも参加している。
ホスピタリストはSHM に入る必要はかならずしもない
ホスピタリストのボードはない。
内科のボードがない場合はホスピタリストになるためにフェローが必要。
SHMのレクチャーは分かりやすく、コモンな疾患の復習が出来る
 
夫婦でホスピタリストもいる。
ホスピタリストで研究してる人は少ないかもしれない??
ホスピタリストは勤務形態が魅力的。
むしろQOLを重視するからホスピタリストというのもある。
 
臨床だけして独り持ちするスタッフと、指導だけするスタッフに分けるほうが効率が良いかもしれない。
 日本だと独り持ちで臨床だけする総合内科という概念はまだ発達してない印象。
QOLを重視する総合内科医がオンオフはっきりさせてホスピタリストとして臨床に専念するという働き方はもっと普及しても良いのかも。
 

クイーンズメディカルセンター4日目の感想

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ナースケースマネジャーは重要だけど日本にない概念。
NPは研修医のように働き、各科に所属している。
日本のNPと同じような立ち位置。

クイーンズメディカルセンターは地域の最後の砦なので、常に転院相談があるため、ホスピタリストの働きは大きい。


電子カルテが全体的に分かりやすい。
イントラネットで院内感染症マニュアルなどの情報を診ることが出来る。。
電子カルテのオーダーを入れれば看護師が自動的に拾ってくれる。

感染症診療はブロードに抗菌薬を使う印象。


老年医学のコンサルタントのカルテがとても丁寧。
家族背景だけでなく職業歴なども全て社会歴で把握している。
老年医学的ROSというのがとても興味深かった。
⇒嚥下、食欲、体重減少、転倒、歩行/杖、痛み、鬱、不安、不眠
CGAも体系的に行っている。

 

米国のホスピタリストが働きやすい理由を考えてみると。。
①内科マネジメントに集中できる 
②書類仕事などの雑用が少ない。
③医師以外の職種のautonomyが高く仕事がやり易い
④ホスピタリストの院内の立ち位置が確立している
⑤コンサルトするかの権限はホスピタリストにあり、コンサルタントも基本的には適切に対応してくれる。
⑥病棟の仕事に集中できる。
⑦オンオフがはっきりしている。
クラウド電子カルテシステムなどのシステムの整備が進んでいる。

などが考えられるか。。

 

逆に日本でこれに準じたホスピタリストが働ける環境を作ることが出来れば非常に意義が大きいのではないかと感じた。
またクイーンズのような地域の最後の砦のような病院にホスピタリストがいて断らずに転院も含めて取ってくれるというのは、地域にとっても、とても意味が大きいのではないかと感じた。
ホスピタリストを日本で確立するには、タスクシフトが重要では?
またオンオフをしっかり付けれるようにする仕組み作りも大切か。
またホスピタリストが専門内科の満足度を高めさらに病院経営にも貢献できるかが大切かもしれない。
また電子カルテや院内の連絡ツールなどのシステムの改善も必要かもしれない。

 
 

クイーンズメディカルセンター2日目の感想

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バンコマイシンを使うなら薬剤師にコンサルテーションする仕組みであり薬剤師の力が強い。医師の許可があれば薬剤師権限で点滴を内服薬に変更してくれる。
モルヒネの調整や、感染隔離対策の決定も看護師が主導で行ってくれる。
なおESBLは隔離感染対策を行っているのが日本ではあまりない風景。
家に帰るかの判断もPTの力が大きい。
コメディカルがプロフェッショナルとして自律的に動いてくれる。
 
腫瘍内科医がとても優秀で、最新の知識に習熟しているだけでなく、継続的に外来から関わっているので意思決定支援なども含めて頼りになる存在である。
患者が急変したらインテンシビストが来てくれるのは心強い。
 
専門医へのコンサルテーションは、院外のオフィスにいたりするので思いの他、敷居が高い。
とはいえ大学病院とかならコンサルテーション文が必要だが、その必要はなく電話だけで済むのは便利。
 
 
カルテの書き方とか薬の使い方とかもある程度決まっていて自由には書けない半面、均一化している。
電子カルテを自分のノートパソコンから書けるのが便利❕家でも仕事が出来る。
基本情報は一度、テンプレートに入れると次からは自動的にサマリーに反映されてる
採血データも自動的にサマリーに反映されてる。
患者さんや他の医療従事者もホスピタリストを頼りにしている印象も。