コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

SLEによる蛋白漏出性胃腸症について

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20200220122025p:plain

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4260872/pdf/pone.0114684.pdf

 

目的:タンパク質漏出性胃腸症は(PLE)は、SLEの合併症だがしばしば誤診される。この調査では、 臨床的特徴、検査の特徴、診断的テスト、危険因子、治療、予後。について解説します。

 

方法:後ろ向きのケースコントロール研究を44人のSLE関連PLE(PLEグループ)で行い、対照群として活動性SLEの88人の患者で解析した。2000年1月2日から2012年1月で調査した。SLE関連PLEのリスク要因 と調査し、単一および複合検査結果について分析した。 血清アルブミンおよびC3レベルは、コルチコステロイドおよび免疫抑制剤による治療中および治療後に測定された 。

 

結果:PLEグループは、平均血清アルブミンと24時間尿タンパク質が低く、より血漿コレステロールが高く、SSAおよびSSBの陽性率が高かった。

SSA 陽性、低アルブミン血症、および高コレステロール血症はSLE関連PLEの独立したリスク因子であった。

血清アルブミン(<22 g / l)および24時間尿タンパク質(<0.8 g / 24 h)が有用なカットオフであった。

SLE関連のPLEの治療は、高用量 シクロホスホミドとグルココルチコイドの組み合わせが診断に有用であった。

 

Peking Union Medical College HospitalPeking Union Medical College Hospital(PUMCH)

に入院したSLE患者を対象。

SLEの診断はACR1997基準で行った。

蛋白漏出性胃腸症の診断は臨床所見とテクネシウムシンチで行った

蛋白漏出性胃腸症を伴わないSLEをコントロールとした、ケースコントロール研究

 

治療はプレドニンを基本に、適宜cyclophosphamide(CTX), mycophenolate mofetil (MMF), and methotrexate (MTX)を追加

効果判定は、浮腫、アルブミン、消化器症状で判定した。

 

連続変数は Student’s t test or Wilcoxon rank testで解析。

名義変数はカイニ乗検定 or Fisher’s exact testで検定

 

PLEグループの特徴

急性皮膚ループスが少なめで、口腔潰瘍少なめ、滑膜炎少なめだが鞘膜炎は多い。

Ds-DNAの陽性率も低め

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20200223234650p:plain

 

多変量解析の結果

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20200223235153p:plain

 

各項目の感度・特異度

アルブミン、低カルシウムが有用。

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20200223235503p:plain

 

アルブミンにも関わらず24時間蛋白尿が0.8g/24時未満なら、特異度が高い。

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20200223235423p:plain