新たに情報検索WSを週1回始めました。
可能な範囲で続けようと思います。
本日のお題は、タケキャブは通常のPPIに比べて優れるのか?
PICOは以下のようになるかと思われます。
P 胃潰瘍患者
I タケキャブ
C 旧来のPPI
O 胃潰瘍治癒率
もしくは以下も考えられます。
P ピロリ陽性患者
I タケキャブ
C 旧来のPPI
O ピロリ除菌率
このうち、後半のピロリ除菌率に関して比較的良いデータが出ている。
https://gut.bmj.com/content/65/9/1439.long
P ピロリ陽性患者 20歳異常胃潰瘍OR 十二指腸潰瘍既往歴あり
除外基準:急性上部消化管出血、活動性胃潰瘍または十二指腸潰瘍、急性胃十二指腸粘膜病変、ピロリ菌除菌後、 胃酸分泌に影響を与える可能性のある療法、手術 、ゾリンジャーエリソン症候群 または他の胃酸過分泌障害、深刻な神経学的症状、 心血管、肺、肝臓、腎臓、代謝、消化管、 泌尿器科、内分泌学または血液学的疾患、薬物乱用、悪性腫瘍、妊娠など
I タケキャブ20mg + アモキシリン 750 mg + クラリスロマイシン( 200 or 400 mg)
C タケプロン30mg + アモキシリン 750 mg + クラリスロマイシン( 200 or 400 mg)
O 1次除菌でのピロリ除菌率
非劣性の多施設参加したRCT 日本で実施された
結果に影響を与えるような脱落もなさそう。
脱落郡も含めて解析してそう。
ベースラインもほぼ両郡で同等。
非劣性試験ではあるものの、確かにタケキャブのほうが除菌率は高い傾向はありそう。
副作用も(短期間の投与期間だが。。) 両郡で著変なさそう。
では、タケキャブを使うのか??
U p to Dateには以下の記載あり。
Vonoprazan — Limited data from retrospective studies suggest that the use of vonoprazan, an oral potassium-competitive acid blocker (PCAB), rather than a proton pump inhibitor, with amoxicillin and clarithromycin may increase H. pylori eradication rates [61,62]. However, PCABs are not available outside of Asia, and data on safety and comparative efficacy with other antisecretory agents are limited [61].
ということでピロリ除菌で結果を出しているものの、安全性や他の制酸剤との比較のデータが不足していると記載あり。
当然、積極的推奨はされていない。
胃潰瘍に対する効果も他のPPIと比べて非劣性というRCTはいくつがあるもののの、明らかに優れているわけではなさそう。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27891632
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28988197
ただし、 ESD後の潰瘍は若干タケキャブのほうが治癒ははやいかもしれない。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31192917
理論上は立ち上がりが通常のPPIに比べて速いので、急性期には優れるかもしれないが、救急症例では静注薬を使用するのであまり出番はないかも。
ということで、現状ではピロリの除菌には使っても良さそう。
ただし、長期間の使用では安全性や副作用に関してはまだ未知の部分もあり、他のPPIに比べて明らかに優れているわけではなさそう。
ちなみに、値段は以下の通り
タケキャブ錠10mg 錠 134.4
タケキャブ錠20mg 錠 201.6
ランソプラゾールは後発品もあるので、後発品はおおむね以下のような値段。
ンソプラゾールOD錠15mg「テバ」 錠 26.4
ランソプラゾールOD錠30mg「DK」 錠 46.5
約4-5倍の値段に見合うものかどうかは考える必要あり。