コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

血清乳酸値の腸管虚血への診断特性

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4177190/pdf/1865-1380-6-44.pdf

 

クロスセクショナル試験 ウガンダのMulago Hospital で行われた。

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⇒当然虚血例では腹痛が多い傾向 腹部膨満も多い

 

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乳酸値が高いと腸管虚血の可能性はやや高まる。

 

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 腸管虚血のある人のうち、28/40(70%)は可逆性で12/40(30%)は不可逆性だった。

乳酸は腸虚血全体を予測し(p = 0.011)、PPV = 14%であったが、より有意に不可逆的虚血を予測した(p = 0.009)、PPV = 42%。

血清乳酸値は腸管虚血全体について感度66%、特異度53% LR+1.4  LR-0.64

不可逆性の腸管虚血について感度71%、特異度80%であった。LR+3.55 LR-0.36

 

*たしかに当院で経験した症例でも絞扼性イレウスにも関わらず、腸管壊死する前に手術した症例では全く乳酸値が上昇していませんでした。

血清乳酸値は上昇していれば腸管虚血を疑いますが、陰性だから大丈夫とは言えないと思います。