コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

心因性非てんかん性発作 について

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5438261/

 

Nonepileptic Seizures: An Updated Review を読みました。

 

Psychogenic Nonepileptic Seizures (PNES)

 

80%が女性で、平均の発症年齢は31歳

46%が失業しており、57%が鬱や不安を合併。

不定愁訴も合併することも多い。

1つの報告として、28人中15人のPNES患者が合計34回ERを受診し、28人中12人の患者が66日病院に入院しており、経済的な問題ともなっている。

 

てんかんと、心因性てんかん発作との区別

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心因性を示唆

・期間が長い 

・左右非対称 

・骨盤の動きがある

・目をつぶる 

・発作中の記憶がある 

・発作中に泣く 

・上下の運動

*発作中に会話が可能なのも、心因性を示唆すると思われます。

 

てんかんを強く示唆

・睡眠時の発症

・発作後の昏迷

・いびき性呼吸

 

てんかんをどちらかと言うと示唆

・舌咬傷

・尿失禁

・後弓反張

・緩徐発症

・Flailing or Thrashing Movements

・型にはまらないイベント

てんかんガイドラインにも書いてますが、心因性てんかん性発作でも舌咬傷は認めることがあるようですね。

 

 

〇診断

診断は、脳波とてんかん発作の観察による。

てんかん発作の様式が、心因性てんかん性発作に典型的で、かつ発作中に脳波異常を認めない場合は診断は確定的。

 

 

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ただし、一度心因性てんかん発作と診断しても、全ての発作を心因性としないようには注意が必要。


〇治療

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治療は認知行動療法抗うつ薬などの薬物療法の組み合わせが有用 。

精神科的な評価や介入が必須と言える。

てんかん薬は、心因性てんかん性発作と診断した場合は速やかに減量・中止したほうが、むしろ痙攣の再燃は減る。

 

 

なお、心因性の症状を見分けたい場合は以下の本がお勧め。