コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

臨床推論カンファレンス 意識障害のフレーム 2019年5月10日

今日は、意識障害について臨床推論カンファレンスをしました。

70代の成人。

昨日まではいつも通りで、本日からの意識変容。

バイタルは安定 SBP140前後 ただし傾眠傾向で、呼吸様式も無呼吸を発作性に認める。

瞳孔は対光反射やや鈍い?

神経学的巣症状は明らかではない。

 

意識障害のフレームは以下の通りです。
 
詳細は、上田剛士先生の内科診断リファレンスに記載されていますが、3×4の記憶法が時系列に沿っていて簡便だと思います。
*バイタルのところは一部個人的に改変しています。
 
DONT    ①血糖異常    ②O2↓ CO2↑ CO中毒  ③ビタミンB1欠乏
VITAL   ①体温異常       ②血圧異常          ③呼吸数の異常をきたす疾患
LABO   ①肝不全     ②腎不全        ③電解質異常(Na↑↓ Ca↑)
BRAIN   ①頭蓋内病変   ②てんかん        ③脳炎/髄膜炎             
   OTHERS ①Drug/Alcohl   ②精神科疾患      ③内分泌疾患、ポルフィリア、TTP  
* DONT : Dextrose  Oxygen Thiamine
* Drugには悪性症候群、離脱、セロトニン症候群も含まれる。
 
 DONT    ①血糖異常    ②O2↓ CO2↑ CO中毒  ③ビタミンB1欠乏
血糖異常はデキスタでも認めない。
来院時は酸素化は比較的保たれている。CO-Hbも血液ガスで上昇なし。
ビタミンB1欠乏になるような食事量の減少やアルコール多飲のリスクもなし
 
VITAL   ①体温異常       ②血圧異常          ③呼吸数の異常をきたす疾患
体温や血圧も正常範囲内。
ただ、異常な呼吸様式あり。チェーンストークス??
薬剤や脳幹病変は鑑別に。
 
LABO   ①肝不全     ②腎不全        ③電解質異常(Na↑↓ Ca↑)
こちらは採血は特記事項なし。
肝性脳症は十分考えられるが、肝炎の既往歴があるが、治療後。
腹水もなく肝硬変を示唆する身体所見もなし。
アンモニアは念のため測定するが問題なし。
 
BRAIN   ①頭蓋内病変   ②てんかん        ③脳炎/髄膜炎             
髄膜刺激徴候は認めないが、髄膜炎脳炎は否定はしきれない。
経過によっては髄液検査も考慮か。
痙攣はないが、非痙攣性てんかん重積は否定はしきれない。ただ、こちらも不随意運動もなく、経過次第で考えるか。
頭蓋内病変として脳幹出血は鑑別に挙がるが、神経所見が乏しい。
 
 
OTHERS ①Drug/Alcohl   ②精神科疾患      ③内分泌疾患、ポルフィリア、TTP  
薬剤はありうる。除呼吸も説明できるし、傾眠傾向というのも鎮静系の薬剤らしい所見。
精神疾患は除外診断。
その他は、経過によって考える。
 
⇒結局、薬剤かなと考えて薬剤歴を確認したところ、家族が麻薬を内服していることが判明。
トライエージで麻薬が陽性で、麻薬を誤飲したことが判明。
やはり、薬剤歴が重要であると再認識しました。