本日から日本を飛び立ちハワイに行きます。
クイーンズメディカルセンターにホスピタリストシステムの見学に伺います。
まずは、見学を許可してくれた城東病院の皆様と、今回の見学を支援してくださった日米医学医療交流財団の皆様に感謝です!
今回の見学の目的は一言で言えば、米国のホスピタリストの仕組みを学び日本と比較し日本に導入することです。
そのために具体的な目的意識を持って望みたいと思います。
①米国のホスピタリストシステムは日本でも導入可能なのか?
②米国のホスピタリストシステムが日本で導入が出来ないのならばその理由は?
③米国のホスピタリストシステムを部分的に日本に導入できるのならばどの点か?
④米国のホスピタリストのコアコンピテンシーは何か?
⑤米国のホスピタリストの内科以外に必要とされる能力は何か?
⑥米国のホスピタリストには老年医学的な要素や家庭医療学的な要素はどれくらいあるのか?
⑦米国のホスピタリストにとって専門医の存在はどのようなもので、日本とどのように違うのか?
ひとまずこんなところでしょうか。。
現時点で野木先生のブログなどを通じて持っている全体的な仮説は以下の通りです。
米国のホスピタリストを成り立たせている土壌は、アメリカの総合内科教育の充実がベースラインとしてある。
もともと、内科プログラムの3年間でみっちり総合内科的な教育をしてから専門医に行くか、プライマリケアに行くかという土壌があった。
ここは、すぐに専門内科研修をする日本との違いである。
またプライマリケア医が外来をしながら病棟を診ていたという文化がもともとあったのが、医学が進歩し外来に集中する必要が出てきたところで、病棟専属の総合内科医であるホスピタリストが出てきた。
また急性期病院では質改善と在院日数の短縮が強く求められるようになり、外来をやりながら片手間に出来なくなり、ホスピタリストの受容が急激に高まった。
もともと、内科プログラム3年間で幅広く診れる土壌があったこと、さらにシフト制でオンオフがはっきりした働き方であることに人気が出た。
さらに専門内科も病棟を持つよりも、コンサルタントとしての働き方も普及しているためコンサルト自体にインセンティブが付くという環境があり、ホスピタリストはコンサルトができやすい環境である。
それを考えると、日本で導入するデメリットや壁は以下の通りです。
・米国ほど医療の質自体がインセンティブに繋がるわけではない。在院日数の短縮化も米国ほどシビアではない。
・さらに、病棟は専門内科医が行うという文化が根強く、さらに総合的に内科を診ることが出来るようなトレーニングが可能なプログラムが稀少であり、自分の専門分野以外を診るという文化が乏しい。
・また専門医は、コンサルトされても収益につながるわけではない。むしろ手技の数や病棟患者の数が収益につながるので、コンサルトされても利益にならない。
一方、日本でも導入するメリットや追い風もあります。
・新専門医制度の内科プログラムが始まり、今まで以上に内科を幅広く研修する必要が生じている。
・総合診療専門医プログラムが開始され、さらに総合診療医の必要性が徐々に高まりつつ興味が出来つつある。
・日本版ホスピタリスト宣言が、JANAMEFで行われた。
日本版ホスピタリスト宣言2019 JANAMEF 30周年記念会に参加しました。 - コミュニティホスピタリスト@東京城東
・専門医にとっても自分の専門分野に集中することが出来る。
・入院日数の短縮と質改善で病院経営に貢献すること出来る。
それを達成するには日本でホスピタリストの拠点をいくつか作り、成功例を増やしていく必要があると考えます。
ひとまず、実際に現地でホスピタリストシステムを見学し、貪欲に吸収していこうと思います。
見学レポートもお楽しみに!!