コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

日本版ホスピタリスト宣言2019 JANAMEF 30周年記念会に参加しました。

 
JANAMEFの30周年記念会に参加しました。
小池東京都知事や、小泉進次郎衆議院議員もご挨拶をされていて、ホスピタリストへの期待をおっしゃっていただいたことは嬉しかったです。
 
 
〇黒川先生の講演。
ホスピタリストは全体を見渡す医師であり、ホスピタリストが患者の主治医として入院中の患者のケアをすることが大切。
アメリカでは循環器内科の2倍以上のホスピタリスト5.7万人もいる。
 
〇ホスピタリストの要件  日本版ホスピタリスト宣言2019
①いつもベットサイドにいて最も身近な主治医
②患者の訴えをよく聞き、診察し、専門医と共同して最適な医療サービスを提供する
③病院診療の全体像をみることにより、質の高い、安全な病院サービスを提供する
 
 
 
〇加藤先生
JANAMEFの目標は10年間で1万人のホスピタリストの育成。
理想の食事は、お寿司。 
美味しくて速い おまかせ
 
江戸時代のオランダ人海軍医ポンぺの言葉
「多くの基礎的な学問の上に医学は成り立っている。山岳は頂上だけでは成立しない、大きなすそ野があるから成り立つ」
「当たり前のことを当たり前にする」ということが大切。
患者目線の横断的診療を行うことが大切。
基本はホスピタリストが診る。
80%はホスピタリストがカバーし、必要に応じて専門医が診る流れを。
ホスピタリストはラグビースクラムハーフとして、横断的な視点で全体像を把握し、病院を患者にとって理想的な医療を提供する場にする。
 
  
 
〇小西先生
日本版ホスピタリストは内科病棟だけでなく救急、リハビリ、緩和ケア、退院調整なども担う存在であり、効率的な医療、病院経営の改善、国民の医療費の改善などを担う。
日本では救高齢者の救急車が増加しているため、日本版ホスピタリストによる救急医療が重要。
丸太町病院ではホスピタリストで救急者数が増加。
京城東病院もホスピタリストが来ることで救急患者が増加し、赤字の病院が黒字化した。
関東労災病院でも臓器別専門医よりも薬品や検査を適正に使用するので、粗利益は高くなる。
総合診療医が肺炎を診ることで、入院医療費を削減できる。
大腿骨頸部骨折も併診することで在院日数が短くできる。 
 
 
 
〇八重樫先生
総合医の諸外国の割合は平均は3割。日本では0.2%しかいない。。
亀田は入院も外来も総合内科が行う。常時70-90名を診ている。緊急入院の半数を診ている状態であり、幅広い疾患を診ることが出来る。
ホスピタリストにより専門医は専門医療に集中できる。
総合内科が胆管炎を担当することで、消化器内科の先生は内視鏡に集中できた。
 
日本の高齢者の47.9%でBeer基準に該当する不適切な処方あり。
亀田では総合内科はそちらの面でも多大な貢献をする。
ホスピタリストはワクチンを推奨する。2017年は1432本ワクチン。予防医療にも関与することが出来る。
 
 
 
 
〇清田先生
ホスピタリストの育成には時間と人材が必要。
教育システムがとても大切で、スタッフと後期研修医のチームを作ることが大切!
収益は効率性は後。初期投資として総合医を優先して雇用することが大切。
20年かけて人材育成をしてきた。
最初は総合診療科3人だった。初期研修の教育担当の専門職だった。
10年たったら、医師が増えてきた。 育てた初期研修医が残ってくれた。
最初の10年は人が増えなかった。それでも20年すれば巨大な組織になった。
20年やることが重要!
系列の頴田病院は当初医師が1人しかいなかったが、総合診療医が中心の病院となることで、黒字化した。
所期のスタッフは20年ずっと残り続けた。20年かければ必ず発展する。
 
 
キャリアの話 以下の4つに分けられる
①リニア    エレベーター式
②エキスパート 職人
従来は、①と②が主流だった。
③スパイラル  ジェネラリスト  高くいっているのか分からない 最初の数年は地を這っている。。20年やると圧倒的に実力が付く  らせんを描きながら上がっていく
④トランジトリー  やることがコロコロ変わる。 
③,④のモデルがこれからは必要。
 
 
 
 
〇松村先生
①H&Pによる臨床推論
②EBM
③チーム医療下での屋根瓦教育
の3つが重要。
 
 
パネルディスカッション

〇清田先生
幅広いトレーニングをした人間が配置されることが大切。
現場の士気を上げることが重要。

日本で必要とされる現場で必要な能力を見つけることが大切
キャリアとしてホスピタリストのモデルがないところでは難しい。
モデルを見せるために海外に行く意義はある。

現場を分かる人を現場で育てることが大切。
自分の信念を追求することが重要。れをやると思えばスパイラルモデルに入る。
先が見えない不安があるので、専門医制度を上手に使いたい。

地域の病院にいけばホスピタリストのニーズが見えやすい。

 

 

〇八重樫先生
オンザジョブトレーニングが大切。現場でやってみて、指導者からのフィードバックが重要である。
若い医者の活用が大切である。
若い医師が当直をして、指導医が指導する。

若い医師と指導医がいかにタッグを組むかが大切。
ホスピタリストを育成するような政策誘導があってもよいかも。

 

〇松村先生
中小病院で核となる人がいて、偉大な医師を外部講師として招聘すると伸びる。
丸太町病院は150床の病院で、もともとは厳しい状況だった。
上田先生が丸太町に留まると言った。なんでもできる環境だった。

その後、上記のように成長した。
DPCのような包括医療が育も経営も出来るという点で大切。

検査や治療を乱発しないほうが経営的にも教育的にも良い。
5-10名の人数がいるところに、リーダー格がいて、オープンなディスカッションを出来、仲たがいのしないチームで、それを支える。

そういうところで育った人間がさざ波のように広がる。

 


〇小西先生
いいことをしたら病院経営が悪くなるという矛盾があるかもしれない。。
経営的なインセンティブが重要。地域中核病院でホスピタリストが働くことで経済的インセンティブを作るような誘導が必要では。。
ホスピタリストは医療のパラダイムシフト 

少子高齢者社会は専門医志向だけでは乗り切れない。

ホスピタリストのような医師が必要であり、皆で考える必要がある。

横ぐしとして総合診療の世界が一致団結することが大切 

 

 

 

 
 
ととても刺激を頂きました。
最後に黒川先生の御言葉で、
 
 
 
若い人の将来を考えることが大切。
グローバリゼーションは実体験が大切。
 
 
という言葉が印象に残りました。
個人的にも日本版ホスピタリストのロールモデルとなる施設を作り、そこを拠点として発展出来ればと考えました。
思いを新たにできた素敵な会でした。
私自身もJANAMEFのご支援を頂き、今年の3月にハワイのクイーンズメディカルセンターでホスピタリストシステムの見学をさせて頂くことに決定しました。
JANAMEFの皆様に改めて感謝を申し上げます。