コミュニティホスピタリスト@東京城東  

東京城東病院総合診療科チーフの森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させたコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

クロストリジウムディフィシル感染症に対するフィダキソマイシンの効果 RCT 

Fidaxomicin versus Vancomycin for Clostridium difficile Infection

(N Engl J Med 2011;364:422-31.)

 

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmoa0910812

【この論文を読もうと思ったきっかけ】

ダフクリア®という新しいCDIの治療薬が上市されたことを知った。UpToDateを読んでみたところ、いつの間にか、軽症例はメトロニダゾールorバンコマイシンだったのが、バンコマイシンorフィダキソマイシンに変わっており、メトロニダゾールはこれらが使用不可の場合に使用する、という記載に変わっていた。参考文献を見てみるとIDSAのガイドラインが変わったらしい。本論文はその推奨の根拠になった2論文のうちの1つ。これら2つの論文のmetaを根拠にCochraneではフィダキソマイシンのほうがバンコマイシンより治癒率が良い、としている。

(IDSA guidline https://academic.oup.com/cid/article/66/7/e1/4855916  Publised: Feb. 2018)

(Antibiotic treatment for Clostridium difficile-associated diarrhoea in adults.Cochrane Database of Systematic Reviews2017, Issue 3. Art. No.: CD004610.DOI: 10.1002/14651858.CD004610.pub5. https://www.cochrane.org/CD004610/IBD_antibiotic-therapy-clostridium-difficile-associated-diarrhoea-adults )

 

  • PICO

P 

Inclusion

アメリカの52医療機関、カナダの15医療機関CDIと診断された16歳以上の患者

(ランダム割り付けされる24時間以内に3行の下痢、48時間以内にCDトキシンAand/orBが陽性で、24時間以内にメトロニダゾールorバンコマイシンの内服を行っていてもよいが、bacitracin, fusidic acid, or rifaximinは内服していない)

 

Exclusion

life-threatening (WBC3万、体温40℃、ショック)or fulminant C. difficile infection, toxic megacolon, previous exposure to fidaxomicin, a history of ulcerative colitis or Crohn’s disease, or more than one occurrence of C. difficile infection within 3 months before the start of the study

 

I&C

6時間ごとに、見た目は同じ2種類の錠剤を内服する。6時間おきにバンコマイシン125mgか12時間おきにフィダキソマイシン200mg内服。

patient. Patients received the study medication orally each day for 10 days, according to an every-6-hour regimen: 200 mg of fidaxomicin every 12 hours with intervening matching doses of placebo or 125 mg of vancomycin every 6 hours

 

O 

The primary efficacy end point was the rate of clinical cure in the modified intention-to-treat and

per-protocol populations at the end of therapy or at the time of early withdrawal from the study

 

The secondary efficacy end point was recurrence of C. difficile infection during the 4-week period after the end of the course of therapy and global cure in the modified intention-to-treat and per-protocol populations.

 

  • ランダム割付されているか?ランダム割付の方法は? 

Patients were stratified according to whether the current C. difficile infection was the first episode (primary occurrence) or second episode (first recurrence) within the 3 months before the start of the study. An interactive voice-response system and computer generated randomization schedule were used to provide a randomization number and medicationkit number for each patient

 

 

  • ベースラインは同等か? 

ベースラインは同等。自分たちが普段見るよりは若い、かつ外来が多い。

 

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  • 研究対象となった介入以外は両方のグループで同じような治療がされていたか? 

Table1参照

 

  • 研究対象者、現場担当者、研究解析者は目隠しされている?

対象者は、実薬+偽薬両方内服している

Interactive Voice Response System companyのみがランダム割り付けが分かっているとprotocolに記載あり。

 

  • ITT解析か? 

何か所かにITTの記載あり。Per-protocolでも解析されている。

 

  • その研究のための対象患者数は偶然の影響を小さくとどめるのに十分な数か?

本文には非劣性マージン10%とだけで、サンプルサイズについての記載はなし。

Protocolには90%の検出力、有意水準片側2.5%、非劣性マージン10%、バンコマイシンの治癒率85%として各群265名が必要と記載があり、数は足りている。

 

  • 結果は? 
  • 結果に有意差はあるか? NNTは? 

 

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治癒率は非劣性であり、secondaryではあるが再発はフィダキソマイシンで少ない

 

 

  • 副作用は? 

Appendix Table1,2より

悪寒がバンコマイシンで多い。めまい、発疹、血液検査値異常はフィダキソマイシンで多かった。

 

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  • 臨床にこの結果はどのように応用できるか? 

・1日の薬価はバンコマイシン1100円(ジェネリック)でフィダキソマイシン7800円なのでコストはかなりかかってしまう

・強毒株であるBI/NAP1/027 strainは日本では少ないとされるので、このstudyやIDSAガイドラインを日常臨床に落とし込めるかは疑問が残る

・自分たちのこれまでの経験からは軽症例であればメトロニダゾールでいけてしまう感覚がある

・しかし、再発例があることは事実であり、バンコマイシン再発する場合には、ガイドラインで推奨されるバンコマイシン漸減療法が比較的長期にわたり、そのような治療をしている患者を施設や療養病院が受け入れてくれるかと思うと難しそうなので、フィダキソマイシンで治療してしまうのもありかも