コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

無症候の患者に対するピロリ除菌の効果 BMJ メタアナリシス

Helicobacter pylori eradication therapy to prevent gastric cancer in healthy asymptomatic infected individuals: systematic review and meta-analysis... - PubMed - NCBI

 

臨床学的疑問は何か? 
P   

16歳以上の無症状な健康な成人でピロリ菌感染が証明されている患者

胃カメラで萎縮性胃炎などは証明。

 
I ピロリ菌の除菌 最低7日間

C プラセボ  or  治療しない

 O    

Primary outcome: 胃癌の発生率

 Secondary outcome : 食道癌の発生率、胃癌関連の死亡率、胃癌に関連した死亡、全死亡、治療に関連した有害事象

 

全ての研究をきちんと集めたか?
⇒言語の規制なく出版されている文献を集めた。

 

文献は最初いくつ集め、どれだけ絞りましたか?

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20180724113521p:plain

 


どうやって文献を集めましたか?(MEDLINEとEMBASE使ってますか

   A search of the medical literature was conducted using Medline (1946 to December 2013), Embase (1947 to December 2013), and the Cochrane central register of controlled trials.

⇒使っている。 

 

 

 

集めたものと結果をチェックする
Primaryアウトカムはどういった結果になったか?

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20180724113621p:plain

異質性は低い傾向

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20180724113732p:plain

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20180724113757p:plain

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20180724113816p:plain

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20180724113833p:plain

 

 

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20180724115036p:plain

NNTでみると、アジア人のほうが除菌による効果は高い。

 

Primaryアウトカムの統計学的異質性(heterogeneity)チェック:
Heterogeneity between studies was assessed using both the I2
statistic with a cut off of ≥50%, and the χ2 test with a P value

<0.10 used to define a significant degree of heterogeneity.

⇒異質性はチェックしている。 

 

 

固定効果モデルもしくはランダム効果モデル、どれを使用してますか?・・

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20180724114008p:plain

⇒ランダムエフェクトモデル。 

 

バイアスチェックはどうしたでしょうか?
出版バイアス(publication bias)はありますか?
 Egger法を用いている。

FUNNEL PLOTは数が少なくて施行できない。

  

・患者適応の判断

異質性は低いとのことだが、フォレストプロットを見ると、バラつきが大きく、本当に異質性は低いのか?

また、一部のStudyの影響が大きく、このメタアナリシスだけでは、何とも言えないかもしれない。

ただ、アジア人のほうが除菌の効果が高いという点は興味深い。