コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

Case 19-2018: A 15-Year-Old Girl with Acute Kidney Injury

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15歳女性

8日前から腹痛と血性下痢

1時間ごとに、腸蠕動がおこり、眠れなかった

5日前に嘔吐も認めた

翌日に、プライマリケア医を受診したときは、倦怠感をみとめ、下痢、腹痛、蠕動痛が持続していた。

そこで便培養が提出され、アセトアミノフェンロペミンの屯用が処方

その後も下痢、嘔吐が持続し、腹痛は心窩部に限局するようになった。

 自己免疫性疾患の家族歴あり

便培養は陰性

その後、嘔吐が継続するため救急外来を受診した。尿量の低下を認めた

バイタルは以下。

 The temperature was 36.9°C, the pulse 80 beats per minute, the blood
pressure 111/69 mm Hg, the respiratory rate 22 breaths per minute, and the oxygen saturation 100% while she was breathing ambient air.

 

 

〇採血

BUN/Cr 101/7.53と明らかに腎不全を認める 血小板低下も認める

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〇画像

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腎不全を認めるが、水腎症などなし。 腹水あり

尿のWBC,RBC、蛋白はいずれも陽性

貧血だけでなくLDHも上昇し、ハプトグロビンも低下⇒溶血性貧血を示唆

 

⇒以上より溶血性尿毒症症候群(HUS)が疑わしい。

便培養は陰性だが、志賀毒素のチェックが必要。

なお、AtypicalのHUSも下痢を契機に発症するため、遺伝子変異もチェックが必要

 

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⇒生検の結果からはthrombotic microangiopathyが示唆

ADAMTS13活性が低下しており、それもAtipical HUSを示唆

遺伝子変異も下記のように指摘

 heterozygous CFHR3 mutation of unknown
significance (c.839_840delTA) was identified.

 

⇒その後、透析、補体C5の阻害薬であるエクリズマブを開始したところ、症状は改善した。

 

 

〇結論

Atypical -HUS