コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

溶血性貧血 レビュー

www.aafp.org

 

●最初に 

溶血は、急性または慢性の貧血、網状赤血球増加、黄疸として現れる。

診断は網状赤血球増加、非結合ビリルビンおよびLDHの増加、ハプトグロビンの減少、および末梢血塗抹検査所見が含まれる。

赤血球の破壊がが血管内または血管外に生じる。

溶血の病因は後天性か遺伝性に分類される。

溶血性貧血のコモンな原因は、自己免疫、微小血管障害、および感染症である。

免疫介在の溶血は、抗赤血球抗体によって惹起され、悪性腫瘍、自己免疫疾患、医薬品、輸血反応が原因となる。

微細血管性溶血性貧血(Microangiopathic hemolytic anemia)は、赤色細胞膜が血液中で損傷を受けることで、血管内溶血および 破砕赤血球を認める
マラリアバベシア症などの感染症赤血球に侵入しうる。
赤血球酵素、膜、ヘモグロビンの障害は遺伝性溶血性貧血の原因となる。

グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼの欠損は、赤血球膜の酸化的ストレスの原因となる。

遺伝性球状赤血球症は、球状細胞、家族歴、クームス試験陰性が特徴的である。

鎌状赤血球症およびサラセミアは、慢性溶血を特徴とする。

 

●血管内溶血

膜の破壊が溶血が高度であれば循環中に溶血が起こる。

 

●血管外溶血

高度ではなければ循環中にダメージを受けた赤血球脾臓でトラップされて溶血

⇒脾腫になる

 

 

溶血性貧血の診断フローチャート

 

①まずは溶血性貧血らしいかを吟味

間接ビリルビン上昇、貧血、網状赤血球増加、LDH増加、ハプトグロビン低下

 

②溶血性貧血らしい場合は分類を行う。

●末梢血目視

●直接クームス

 

この2点が極めて重要

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直接クームス陽性⇒自己免疫性溶血性貧血

破砕赤血球陽性⇒微細血管性溶血性貧血 →TTP、HUS、DIC、子癇、悪性高血圧、機械弁など

●破砕赤血球

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特徴的な形態⇒サラセミア、鎌状RBC

ほか、目視で芽球などWBCの異常もチェック

輸血後なら、輸血に関連した溶血も

 

サラセミアの標的赤血球

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発熱 →血液培養、血のスメア、バベシア

マラリアとバベシアが重要 旅行歴に注意。

clostridium perfringensの敗血症も溶血をきたすため注意が必要。腹腔内感染や人口流産など。α毒素の放出で電撃性の経過をたどる

 

 

 

 球状赤血球+家族歴⇒遺伝性球状赤血球

●球状赤血球

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免疫に関連した溶血性貧血を起こす薬剤(特に高容量ペニシリンに注意)

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G6PDの欠乏があると下記の要因で溶血が促進

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溶血性貧血の概要

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