コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

脾臓の偶発的腫瘤の精査は不要??

https://pubs.rsna.org/doi/pdf/10.1148/radiol.2017170293

 

https://www.jwatch.org/na46445/2018/04/04/incidental-splenic-mass

 

たまにCTとったら、偶発的に脾臓に腫瘤が見つかる人がいますよね。。

ジャーナルウォッチから。。

The Incidental Splenic Mass at CT: Does It Need Further Work-up? An Observational Study

 

ボストンの単施設の後ろ向き観察研究。

CTで脾臓に腫瘤が見つかった患者を3つのグループに分類。

 

①悪性腫瘍の病歴があるグループ

145人の患者に悪性腫瘍の病歴があった。これらの患者のうち49人(リンパ腫を有する13人および他の転移性がんを有する36人)において、それらの脾臓腫瘤は悪性であると考えられた。

ほとんどの転移を有する患者は、少なくとも2つの他の臓器の異常があった。

 

②症状がある患者

29人の患者は、全身性の症状または左上腹部痛のいずれかを有したが、悪性疾患の既往はなかった。

これらの患者のうち8人は最終的にリンパ腫と診断され、そのうち6人は他の部位のリンパ節腫脹を認めた。

 

③偶発的に見つかった患者

205人の患者(「偶発的」群)に悪性疾患の病歴はなく、全身症状もなく、上腹部痛も認めなかった。悪性腫瘍と診断されたのは2人(リンパ腫1例、卵巣癌1例)のみであり、いずれも悪性腫瘍を示唆する別の腹部CT所見を併せ持っていた。

フォローアップ時に拡大病変を有する2人の患者が脾摘出術を受け、いずれの場合もsclerosing angiomatoid nodular transformation(良性病変)であった。

 

●感想

あくまで観察研究だが、全く無症状で悪性腫瘍の既往歴もなく、腹部造影CTで脾臓の腫瘤以外の所見がないのであれば、精査すら不要かもしれない。

少なくともフォローアップで拡大傾向がないか、新たな症状やリンパ腫を示唆するような採血の異常がないかをフォローすれば充分かもしれない。