コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

透析患者の緩和ケアについて

ふと透析患者の終末期ケアや緩和医療が、気になったので。。

透析って、当たり前ですけど家ではできませんしね。。

かといって緩和ケア病棟で透析するわけにもいかないし。。

意外に透析施設をもつ地域包括ケア病棟が担うことになるのかも。。

 

 

日本透析学会から下記の提言が発表されている。

維持血液透析の開始と継続に関する意思決定プロセスについての提言

 

透析を見合わせる場合は以下の状況が考えられる。

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実際に透析を取りやめるときのアルゴリズムは下記。

DNARと同様に、本人の意思を最優先としつつ、多職種で方針を決定するという基本方針が見える。

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透析を見合わせた場合は以下の方針に。

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透析を見合わせれば確かに家に帰ることもできます。

 

 

 

以下症例報告。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdt/45/4/45_375/_pdf

拡張型心筋症の末期でかつ透析をした症例を看取ったと。

心拍出が不良であり透析が出来なくなってしまうというジレンマ。

透析を止めると呼吸苦が出たときにモルヒネが使えないというジレンマ。

透析の見合わせを本人にどのように言うかというジレンマ。

非常に悩ましいですね。。

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以下は米国の心不全+透析患者の終末期についての症例報告

心不全+末期腎不全で透析をやめて家での終末期ケアを提案するも、本人が可能な限り透析を続けてほしいと願った症例。

最終的にはなくなる前日まで透析をした。

急性期病院から退院方向だったが、なくなる前日のHDで血行動態が不安定になり、透析を外来で継続するのは難しく透析を止める方向になったと。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5469574/

 

以下CKDのステージによる対応の変化についての表

末期になればなるほど、アドバンスケアプランニングが重要になってきて、多職種でのかかわりが大切

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End stageではメリットとデメリット、本人の価値観などを参考に透析の見合わせを検討していく