コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

重度の気流制限があるCOPD患者に対するトリプルセラピー

http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(18)30206-X/fulltext

 

P 40歳以上で喫煙歴がありCOPDと診断された患者

重度の気流障害(FEV1<50%)があり、過去12か月に中等度以上の急性増悪があり、トリプルセラピーは行っていない

除外基準:吸入ステロイドが必要とされた喘息、臨床的に重要な心血管疾患や検査的な異常など。

I  トリプルセラピー(ベクロメタゾン+ホルモテロール+グリコピロニウム)

C  LAMA+LABA(インダカテロール+グリコピロニウム)

O  52週の時点の中等度以上のCOPD急性増悪の割合

 

〇study design

多施設・多国籍のRCT、ダブルブラインド・ダブルダミー

 

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ITT,per- protocolの両方で解析

各郡767人必要⇒数はおおむね足りている

 

ランダムな割付

国と、airflow limitationによって層別化

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治療など両郡で大きな違いなし

 

〇結果

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有意ではないがトリプルセラピーで急性増悪は少ない傾向

 

サブグループ解析では、気道閉塞があるタイプでは、トリプルセラピーのほうが有意に急性増悪を減少する(0·752, 0·605–0·935,p=0·010),

気腫があるタイプ0·995、混合型0·939では有意では必ずしも減少しない

 

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FEV1とSGRQもトリプルセラピーで良い傾向

 

有害事象は両郡で大きな違いなし

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〇感想

重度の気流制限があり、急性増悪を認める場合はトリプルセラピーはありかもしれない。実臨床でも、重度の急性増悪をきたした場合はトリプルセラピーを行わざるおえないが、その根拠となるstudyと思われる。特に慢性気道閉塞が前面に出ている場合は、恩恵にあずかれる可能性は高そう。とはいえ、その差は微々たるものかもしれず、トリプルセラピー副作用もこのstudyだけでは安全とは言えない。