著者から送っていただきました。
以下、感想になります。
。。。。。。
結論から言うと、非常に素晴らしい本である。
私は、8年目の総合内科医であるが、一応は当院総合内科の責任者であり、自分の上は副院長という立場である。
必然的に、科をどのようにマネージメントするか、どのようにブランディングするかなどを考えざるおえない立場にある(自分が出来るか出来ないかにかかわらず。)
また、病院の経営会議にも一応参加しているので、どのように経営を良くするかということも考えていた。
そんな時に、著者の角田先生とソーシャルネットワークでつながり、本書を送っていただいたのである。
本書を読み、これからの医師にとってMBA的な能力が必要であるという確信を持つことが出来た。
医療経営戦略の章では、MBAの考え方を医療の世界に翻訳し分かりやすく解説している。
MBAに関する本を医療者が見ても、自分の業界のことではないのでピンと来ないものの、現役医師が解説するとこうも腑に落ちるのかと感動した。
自院をどうするべきかを考えるよいきっかけになった。
病院の経営会議では、目先の利益に目がいきがちだが、それよりも大局的な戦略が必要であり、つまるところどのように社会貢献すべきかという理想が大切ということだと思う。
このような視点はドラッカーのマネージメントとも共通している。
また、多くの中小規模病院が大規模急性期病院の真似をしているという指摘も耳が痛い。
当院の、地域のニーズや立ち位置を考えれば、Post Acute、在宅バックベットに重点を置き、地域包括ケア病棟において業界1を目指すようなブランディング戦略が必要ではと思いをめぐらした。
他にも、戦略的な医師ブランディング、キャリアマネジメント、交渉術などにも言及がありとても興味深かった。
パーソナルブランディングを病院が後押しすべきであるという指摘は、まさに我が意を得たりである。
臨床+アルファで研究やマネージメントなどが必要というのもその通りで、これからはパーソナルブランディングをプログラムとして支援する仕組みが必要なのだと感じた。
交渉術も、医療業界ではあまり取り上げられない概念だが、確かに非常に有用であると感じた。
本書のクライマックスは、アドラー真理学的病院経営の章であると考える。
他者との比較ではなく、理想の病院像と自院の比較を考えるべきというのはその通りだと感じた。
中小規模病院は、大規模病院に比べ、あれがないこれがないと悲観的になるべきではない。
中小規模は大規模病院にない強みがあるはずだ。
職員や地域との距離が近く、フットワークが軽い。
地域包括ケア病棟を有するので、患者さんのトータルマネージメントに関わることが出来る。
とにかく在院日数を短くしてひたすら回す必要がある大規模急性期病院にはない小規模病院の強みをいかにいかすべきか。
心を新たにすることができた。
経営学は、小手先のお金の問題というイメージがあったが、そうではないことを本書を読んでよく理解できた。
本質的に自院がいかに地域や社会に最大限貢献できるかを考えるための理論的背景が、医療における経営学の本質だと考える。
科の運営においても、自科が病院だけではなく地域や社会にどのように貢献できるかを考えるべきであると思う。
これも人の縁なのだと思う。
このような素晴らしい本を読む機会をいただいた著者の角田先生に感謝したいと思う。