コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

早期のCOPDに対するスピリーバの効果

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P:GOLD分類でStage1-2のCOPDの40-85歳の患者

4週間以内に急性増悪を起こしていたり、重大な肺疾患(肺癌etc)、喘息、重度の全身疾患は除外
I :チオトロピウム(スピリーバ) 18μg を1日1回吸入し
C:プラセボを1日1回吸入
O:

primary endpoint

ベースラインに比較したFEV1の変化

 

secondory endpoint:

ベースラインに比較したFEV1の24ヶ月の変化

ベースラインに比較したFVCの24ヶ月の変化

%FEV1の1年間の低下率

 30日から24ヶ月のFEV1%の変化率
CATスコアの変化
 CCQスコアの変化
 mMRCスコアの変化
COPD急性増悪の期間と重症度

COPD急性増悪がはじめて起こるまでの期間
レスキューの使用



A②その試験は設定された課題に答えるための研究方法がとられているか?
中国で実施された多施設の大規模RCT double blind
 
A③ 患者はそれぞれの治療群にどのように割り付けられたか?

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⇒ランダムな割り付け、 中央割り付け、blockで割り付け 施設毎に層別化

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ベースラインに差はない

平均63-64歳 40%も現在も喫煙。。。

 
A④研究対象者、現場担当者、研究解析者は目隠しされている?
double -blindだが具体的な方法は不明
 
A⑤適切に評価されたか?

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脱落群の一部しか評価出来ていない。
ITTは、はっきりと記載なし。
脱落群の一部を含めて解析しているので、modified ITT ?
 
 
A⑥研究対象となった介入以外は両方のグループで同じような治療がされていたか?
どちらも、同じように治療されている
traditoinalな中国の治療は行われているが、ほぼ同等
Previous medication for respiratory diseaseの使用はチオトロピウム群で少し多い傾向?
 
 
A⑦その研究のための対象患者数は偶然の影響を小さくとどめるのに十分な数か?

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脱落を35%と仮定 400人と推定。

→数は足りていそう。

B結果は何か?
B⑧a 結果はどのように示されたか?

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 ・FEV1の変化量⇒介入で157ml(95%CI 123-192ml)改善(P<0.001) 

 

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FVCも介入群で高値の傾向 P<0.05 

 

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COPD急性増悪もチオトロピウム群で低い傾向、HRR0.60、95%CI 0.5-0.8 P<0.001。
初回急性増悪までの期間も介入群で長い傾向。

 
急性増悪も明らかにチオトロピウム群で少ない傾向
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急性増悪全体では39.2%vs 28.9% →NNTは9.7
 

 

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⇒FEV1の減少もチオトロピウム群で少ない傾向

 

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⇒CATスコア、 mMRCdyspnea scaleもチオトロピウム群で良い傾向
 
 
c 副作用は

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⇒重度な副作用は有意差なし

ドライマウス、咽喉頭違和感はチオトロピウム群で明らかに多い

 

 

●どうするか?

 市中でスクリーニングしたCOPDの患者。

本人の治療の意思は確認していない。

プライマリーアウトカムの呼吸機能の改善なので、微妙。。

10人に1人に急性増悪を防げるならよいが。。

しかしGOLDの1-2でこんなに急性増悪するのか?

プラセボは40%近くが急性増悪。急性増悪が多すぎる印象。中国だから??

急性増悪の定義は??

自覚症状がない人に吸入薬を吸わせるのは無理があるのでは?

試験に同意した人という時点でセレクションバイアスがある。

遵守できるかは別問題。。