コミュニティホスピタリスト@東京城東  

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心筋梗塞に酸素はルーチンで必要か?

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1706222#t=article

A この試験の結果は信頼できるか

①その試験は焦点が明確な課題設定がされているか

Patient 

・救急搬送、ER受診者、CCU、カテーテルした患者が対象

・30歳以上の患者

・6時間以内のMIが疑われる症状(胸痛、息切れ)を有する

・オキシメーターでSpO2 90%以上で心電図で虚血を示唆する異常があるかトロポニンI or Tが上昇

・Swedishのみ(Swedish National Population Restryを用いてfollowするため)

 

除外基準は、

・ongoingで酸素投与を受けている患者

・心停止で来院、あるいは来院〜入院までに心停止となった、高濃度酸素を投与されていた患者

 

*20分未満の酸素投与を受けた患者は、10分間無投与としたのちに再評価

 

Intervention & Comparison

・酸素療法(6L/minで6-12時間)あるいは室内気に割り当て

 

Outcome

Primary outcome;ランダム化より365日以内の全死亡

Secondary outcome;ランダム化後30日以内の全死亡、心筋梗塞での再入院、心不全での再入院、心血管死(サプリ参照)、30日と365日に評価するこれらのエンドポイントの複合エンドポイント

 

Aその試験は設定された課題に答えるための研究方法がとられているか?

p.2 multicenter, parallel-group, open-label, registry-based, randomized, controlled trial

parallel-group trial; 被験者を複数の異なる治療群(通常は試験薬とプラセボ)にランダム化し、通常は試験期間全体にわたって割り付けられた治療を行っていく研究。

 

A患者はそれぞれの治療群にどのように割り付けられたか?その手法と、Table1

Onlineのランダマイズモジュールを利用して作成されたComputerが作成したリストに基づいて割り当てられた。

p.6 Table1 収縮期血圧は有意差があった。

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A研究対象者、現場担当者、研究解析者は目隠しされている?

p.7 open-labelである(酸素投与、無投与のblindは不可能)

 

A研究にエントリーした患者が適切に評価されたか? intention-to-treatITT解析、脱落者も含めていて、より臨床に則した感じ)

p.3 intention-to-treat解析で適切にフォローされている

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A研究対象となった介入以外は両方のグループで同じような治療がされていたか?

Table1. 同じような治療

 

Aその研究のための対象患者数は偶然の影響を小さくとどめるのに十分な数か?

p.3 powerを0.90、total 2856人が必要。(乗り換えや離脱を考慮してそれぞれのグループに3300人が必要)

 

B結果は何か?

B⑧a 結果はどのように示されたか? 

死亡率や再入院率は特に変わりなし。

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Cその結果はあなたの現場で役に立つか?

 比較的しっかりとしたデザイン。

心筋梗塞が疑われた患者がinclusionされているが、75%が実際に心筋梗塞

ブランドは出来ていないが、hard outcomeをpriyary outcomにしているので問題ないだろう。

SpO2:90%未満なら酸素投与というのは、少し気が引けるがそれでも酸素投与であまり恩恵はなさそう。

AVOID trialではSTEMIに対するルーチンの酸素投与はむしろ害になりうる結果が出ている。

Air Versus Oxygen in ST-Segment-Elevation Myocardial Infarction. - PubMed - NCBI

 

全体的には心筋梗塞にルーチンの酸素はしない方向で良さそう。

日本のガイドラインではSpO2:94%未満なら酸素投与を推奨。

全ての患者でも投与しても良いかも?しかし弱い推奨

 

http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2013_kimura_h.pdf

クラス I
・肺うっ血や動脈血酸素飽和度低下(94%未満)を認める患者に対する投与. レベル B
クラス IIa
・すべての患者に対する来院後 6 時間の投与. レベル C

 

日本では、SpO2:94%未満なら酸素を投与したほうが無難だと思うが、94%あればSTEMIでも少なくともルーチンの酸素投与は必要ない可能性が高い。

今後のガイドラインの変更に期待。