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心筋梗塞後の左室機能障害を有する患者に対するカプトプリル投与(SAVE試験)

Journal club2017/6/7

心筋梗塞後の左室機能障害を有する患者に対するカプトプリル投与(SAVE試験)〜New England Journal of Medicine 1992より〜

                                                 

 

Abstract

背景)心筋梗塞後の左室機能低下は主要な死亡の予測因子である。実験や臨床研究などではACE阻害薬による長期的な治療が心室拡大やリモデリングを減弱した。カプトプリルが心筋梗塞後の左室機能低下患者において死亡率と罹患率を減少するかどうかを調査した。

 

手法)心筋梗塞後3-16日未満の、EF40%未満で心不全増悪や心筋梗塞症状のない2231人に、プラセボ(1116人)とカプトプリル(1115人)の二重盲検治療をランダムに割り付け、平均42ヶ月フォローした。

 

結果)全死亡はプラセボ群(275死亡、25%)に比べてカプトプリル群(228死亡、20%)で明らかに減少した。Riskは19%減少。加えて、致死的または非致死的な主要な心血管イベントはカプトプリル群で減少した。心血管が原因のRiskは21%減少、重症心不全の発祥Riskは37%減少、入院を要するうっ血性心不全のRiskは22%減少、再発性の心筋梗塞は25%減少。

 

結論)心筋梗塞後の無症候性の左室機能障害を有する患者では、長期的なカプトプリル内服が生存率を改善し、主要な心血管イベントによる死亡や罹患を減少する。これらのbenefitは血栓溶解療法やアスピリン、Βブロッカーの治療を受けているものもそうでないものも同様に認められ、カプトプリルによる治療が心筋梗塞後の限られた生存者の中でアウトカムの付加的な改善に寄与することを示唆する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • テンプレート

A この試験の結果は信頼できるか

①その試験は焦点が明確な課題設定がされているか

Patient 

心筋梗塞後3日間生存し、EF 40%未満で21歳以上80歳未満の患者。

*除外基準;心筋梗塞後16日以内にrandomizationができていない、ACE阻害薬禁忌、症候性うっ血性心不全や高血圧に対してACE阻害薬投与の必要性がある、Cre 2.5mg/L以上、その他の状況のために生存が制限されうると考えられる状態である、長期的trialへの参加を望まないorできない、梗塞後不安定である

 

Intervention

p.670 初期投与量は12.5mg(過去に同量で著明な血圧低値を認めたことのある患者では6.25mgより開始可能)。入院期間中に25mgを1日3回投与とし、副作用がなければ50mgを1日3回投与まで増量する。

 

Comparison

p.670 Placebo

 

Outcome

p.670 全死亡、心血管疾患による死亡、trial初期と終盤時の放射性ヌクレオチドによる心室造影を比較で9 unit以上のEF低下を伴う死亡(詳細不明)、重症心不全や致死的または致死的でない新規の心筋梗塞の再発で定義される心血管系罹患、心血管死亡+罹患のcombination。Second endpointは心不全治療のための入院。

 

 

A②その試験は設定された課題に答えるための研究方法がとられているか?

p.670 randomizeされた、二重盲検の対プラセボ群のtrial。45センター、112病院による多施設共同研究。登録は1987年〜1990年。

 

 

A③患者はそれぞれの治療群にどのように割り付けられたか?➔その手法と、Table1

p.670 コンピューターで割り当てられ、センターにより層別化された。

p.671「There were no significant differences…」

 

 

A④研究対象者、現場担当者、研究解析者は目隠しされている?

詳しい記載はないが、double-blindと記載あるため、研究対象者と現場担当者に関しては目隠しされていると思われる。研究解析者に関しては不明。

 

A⑤研究にエントリーした患者が適切に評価されたか? intention-to-treatITT解析、脱落者も含めていて、より臨床に則した感じ)

p.671 intention-to-treat

 

 

A⑥研究対象となった介入以外は両方のグループで同じような治療がされていたか?

p.671 Table 1

不整脈薬や、抗凝固薬やアスピリン、Βブロッカーなど、特に差はない

 

 

A⑦その研究のための対象患者数は偶然の影響を小さくとどめるのに十分な数か?

Sample数に関して記載がないが、引用論文17のabstractによると充分なSample数とのこと。

 

 

B結果は何か?

B⑧a 結果はどのように示されたか? 

B⑧b 最も重要な結果は?

B⑨その結果はどの程度正確か p-valueで(bとセットで)

 

p.671 2231人を平均して42か月間follow-up

両群で血圧上昇が見られた(placebo群 125±18/77±10, captopril群 119±18/74±10)

 

Fig1 全体で503人が死亡。Placebo群で275人(25%)、captopril群で228人(20%)。➡riskはcaptopril群で有意に19%減少。

 

Table2 全体の84%に当たる422人が心血管系の原因で死亡したが、その内訳。心不全の進行や心筋梗塞などのriskが有意にcaptopril群で減少。

 

p.671  FigやTableなし  EFの改善に関しては、単独では特に両群で有意差はなかったが、全死亡との複合endpointとすると有意差ありでcaptopril群でriskを15%減少。

 

Fig2  左上のグラフはTable2の結果を折れ線グラフにしたもの。その他、ACE-Iを必要とするCHF、入院を必要とするCHF、再発性のMI、心血管系疾患による死亡あるいは再発性MI、心血管性疾患による死亡あるいは非致死的なCHFやMIそれぞれで見ても、captropril群でevent発症をrisk reductionできることを示している。

 

Fig 3 特に、ACE-Iを必要とする心不全、入院を必要とする心不全、再発性のMIに関して、縦軸を患者の絶対数としてevent発症を示した棒グラフ。各棒グラフの左側がPlacebo群、右側がcaptopril群。ACE-Iを必要とする重症心不全に関しては、Placebo群で179人が発症し、71人が死亡、captopril群で118人が発症し、39人が死亡…など。

 

Table 3  P.673

サブグループ解析では、高齢者、男性、Killip class Ⅰ、心筋梗塞の既往、Β blockerの使用、アスピリンの使用群などでよりリスク減少の効果が得られそう。

 

 

B⑧c    副作用はどうか?

p.674 カプトプリル群で、めまい、味覚変化、咳、下痢などの症状が多かった。プラセボの25人、カプトプリルの32人がめまいで服薬中止し、プラセボの5人、カプトプリルの9人が味覚変化で中止。

 

 

Cその結果はあなたの現場で役に立つか?

 

 

 

  • 個人的な疑問:

primary outcome多い。それに対してサンプル数がどの程度必要か、っていうところはclearしているのか?→appendixなど参照しないと詳細はわからないが、論文17のabstract的には、サンプル数は充分とのことなので多分大丈夫そう。

 

 

  • コメント:

・以前は重症心不全にはジギタリス、利尿薬の次にはACE阻害薬を使用していたのだなという驚き

・カプトプリルは日本の添付文書上では1日37.5-70mgを1日3回に分割して投与し、最大で150mg/dayまで投与可能。しかしながら1日3回内服するのは困難なので、1日1回のレニベースの方がより良さそう(実際にレニベースでもoutcome良いとの論文もいくつもある)。

・血圧低くなければ是非入れたい。

etc…