城東病院総合内科 ブログ

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徳田先生カンファ@城東病院 2017228 1300-

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【症例】高齢の女性

【現病歴】季節は夏
もともと数年来の高血圧で,近医から内服薬をもらっていた,ADHの自立した認知症のない方.
受診日前日までは体調に変化なく,デイサービスに行き,食事も食べられていた.
受診日の朝から悪寒戦慄を伴う40℃の発熱と倦怠感が出現したため,家族と救急外来を受診した.
*STSTAE:sick contactなし.TB暴露なし.海外渡航歴なし.動物との接触なし.生ものの摂取なし.池,山,温泉には出かけていない.
【既往歴】HT
【内服歴】アムロジピン(5)1T
【アレルギー】なし
【社会歴】酒- 煙草- 娘夫婦と同居 夫とは死別(数年前)
【ROS】食欲低下+
Pertinent negative: 腹部症状,関節痛,筋肉痛,頭痛,嘔気,排尿時痛,排尿障害,残尿感
 
【身体所見】
やせ型,BMI 20程度
BP 140/80mmHg, P 106/min(reg), RR 24/min, T 38.5℃, SpO2 98%(RA), GCS 15
G/A: mildly sick
HEENT: 結膜蒼白なし・黄染なし・点状出血なし 扁桃咽頭に発赤なし 齲歯なし
Neck: 頚部リンパ節腫脹なし 甲状腺腫大なし・圧痛なし 項部硬直なし
Resp: 両側で清 副雑音なし
Heart: 整 S3・S4なし 2RSBに2度のSEMあり,頚部に放散,頸動脈触診で遅脈 拡張期雑音なし
Abd: 平坦,軟 腸蠕動音生理的 圧痛なし Murphy陰性 肝脾腫なし 肝叩打痛なし
Back: CVA叩打痛なし
Ext: 関節腫脹なし 浮腫なし ばち指なし 爪の線状出血なし Osler結節・Janeway結節なし
Skin: 皮疹なし 紫斑なし 鼠径・腋窩など体表のリンパ節に腫脹なし
DRE(digital rectal exam) : 施行されず 
 
徳田先生より
#ROSは主要なところを絞って聴く
  :高齢者の感染症についての統計で,多かった感染源は
    ①気道感染,②尿道感染,③胆道系感染,④skin & soft tissue.
  :それぞれについてROSを聞くならば,
    ①咳,痰,呼吸困難,②残尿感,尿の濁り,③腹痛,④皮膚の発赤,痛み,節々の痛み
 
?)鑑別診断は?
common: 気道感染,尿路感染,胆道系感染,軟部組織感染,肺炎
possible: 肝膿瘍などabscess,糞線虫症(∵沖縄で,focusのよくわからないGNR菌血症)
less likely: IE, TB,リンパ腫,IVL,消化管Caからの膿瘍形成→菌血症,血管内感染,実はHIV,よくわからないウイルス血症
 
徳田先生より
#もしwater contact+ならば,鑑別に挙げるべきものは?
  :レプトスピラ症.
    ・沖縄で米軍兵が訓練の時にかかり,流行した
    ・スピロヘータ感染症.らせん型の菌
    ・ヘリクスハイマー反応,血圧低下
      (※Jarisch-Herxheimer reaction, JHR
        :梅毒やレプトスピラ症の治療の際にペニシリンなどの抗生物質を投与した際に身体に起こる反応
        :全身の倦怠感,発熱,頭痛,悪寒,筋肉痛,頻脈,体温↑,呼吸切迫,血圧↓,一時的な病変部の悪化
        :通常は投与後1~4時間前後から始まり,24時間で軽快
        :病原の細菌が大量に死滅・破壊されて,細菌内部の毒素が血液に混入することが原因)
 
?)オーダーする検査は?
採血 CBC,LFT,BUN/Cre
血培2セット 痰培 痰G-S 尿検査 尿培 尿G-S
CXR 心エコー AUS…
 
徳田先生・本橋先生より
BUN/Creは鑑別にはあまり寄与しないがABxの容量を決める目的ならアリ
CRPで診断が左右されることはない 取らなくてよい検査の代表格 プロカルシトニンも同様
急性と慢性の区別の上でESRは考慮しても良い
 
【検査所見】
L/D: CBC: WBC 14300, Neut 90%, Hb 11.2, MCV 96, Plt 12.8
  LFT: AST/ALT/ALP/T-Bil wnl
  腎:BUN/Cre wnl
  尿: 蛋白-, 潜血-, RBC-, WBC-, 円柱- G-SしてもWBC-,細菌-
AUS:胆嚢炎-,胆管炎-
心エコー:vegetation-, AS 軽~中等度,弁石灰化+
CXR:n.p. 肺炎を疑う所見なし
造影CT:肝S6に10mm大の結節様陰影,造影されない.ring状造影効果もなし.
 
経過観察目的で入院となった.肝膿瘍を否定できなかったため
CMZを選択し治療開始.
 
翌日…
朝,意識レベル低下あり.呼びかけに対する反応が鈍い.JCS2桁.
失見当識あり.麻痺などfocalな神経学的所見なし.
 
?)何をする?
 
金光先生より
発熱+意識障害で行うべき検査は?
 → ルンバール
 
LP:細胞数0,蛋白48,糖49(BS 113),初圧11cmH2O
 
本橋先生より
なったばかりの髄膜炎は細胞数上昇しない.
 
その後検査部から連絡が入った.血培よりGPDC+!
 
?)何を疑い,何の検査をする?
  → 細菌性髄膜炎を疑い,髄液のグラム染色
 
髄液グラム染色で,白血球はみられないが,GPDCがみられた.
培養を提出し,CTX+VCMで治療開始.
 
後日血培,髄培からPRSPが生えた.
 
診断:肺炎球菌(PRSP)性髄膜炎
 
この方は肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)は1年前に接種済み.
しかし,今回はニューモバックスではカバーされていないserotypeの菌だったため,
感染してしまった.今これが問題になっている.
 
翌日再度LPすると…
細胞数440, 多形核白血球70%,蛋白269まで増加していた.
また,LPに再度頚部を診察すると,項部硬直がみられた.
 
?)どこから肺炎球菌が髄液内に入ったのか?
肺炎球菌はSBPを起こすこともある.おなかにも,いるにはいる.
基本的に膿瘍は作らない.
一度何らかの原因でPRSP菌血症をきたし,血流に乗って髄膜に到達したと考えるのが自然.
治療)髄膜炎には移行性のよい第三世代セフェムを用いる.(CTRX, CTX)
 
参考にすべき論文:
"Adult pneumococcal meningitis presenting with normocellular cerebrospinal fluid: two case reports" - Hiromichi Suzuki, Yasuharu Tokuda, et al