コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

マニュアルカンファ 胸水について 前半

本日はマニュアルカンファでした。 内容を一部共有します。

 

はじめに

・胸水貯留のみで低酸素血症をきたすことは少なく心不全や肺炎の合併を考える。

・エコーは簡便で感度も高いため、まず行う検査である。

・胸水の原因検索として滲出性か漏出性か、ドレナージの基準として胸水の血液ガス分析でアシドーシスがあるかが重要である。

 

胸水の身体所見

・片側性の呼吸音低下を認めれば、打診を行い鼓音であれば気胸であるが、濁音であれば無気肺か胸水である。声音振盪が低下してれば胸水で、亢進していれば無気肺である。

・聴性打診は、少量の胸水でも検出しうるとされている。

 

胸水の原因

・まずは胸水穿刺を行い、滲出性胸水か漏出性胸水かを鑑別する必要がある。

・滲出性胸水では、悪性腫瘍、肺炎随伴性胸水・膿胸、結核をまずは考えるが、肺塞栓

・片側性大量胸水は滲出性胸水の可能性が高く、胸水穿刺が必須である。

 

滲出性胸水の診断

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悪性腫瘍による胸水

・肺癌が最も多く、乳癌、リンパ腫、卵巣癌、胃癌の順に頻度が多い。

・悪性胸膜中皮腫も重要な鑑別疾患である。

・胸水の細胞診と胸水中の腫瘍マーカーが診断に有用である。

・胸部CTでは結節形成や胸膜不整などが認められ、診断に有用である