コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

ジャーナル流し読み 2016年10月3日

本日は、ジャーナル流し読みでした!

急性期の圧迫骨折における椎体形成術の効果
http://www.thelancet.com/…/PIIS0140-6736(16)31341-1/abstract
P:疼痛コントロール不良の60歳以上の急性期(発症後6週未満)骨粗鬆症性圧迫骨折
I:椎体形成術
C:偽処置
O:術後14日における疼痛スコア
大規模RCT ITT解析 年齢・・圧迫骨折の程度・外傷・ステロイド・施設毎に層別化

約5年間の追跡で、120例が登録(61人が椎体形成術、59人がプラセボ)

術後14日時点での疼痛スコア4未満の患者の割合
椎体形成術群:0.44(24例)
プラセボ群:0.21(12例)
p=0.011 NNT:4

椎体形成術郡で処置に伴う2つの有害事象が、コントロール郡で脊椎圧迫による2つの有害事象が起こった。

〇結論
疼痛コントロールが不良の圧迫骨折において、急性期の椎体形成術は、疼痛コントロールに有用かもしれない。

重症COPDにおける3剤併用療法の効果
http://www.thelancet.com/…/PIIS0140-6736(16)31354-X/abstract
P 40歳以上のCOPD患者 気管支拡張薬吸入後のFEV1<50%、%FEV1<0.7、 過去1年以内に中~重症のCOPD急性増悪を1回以上発症、 COPDアセスメントテスト≧10、呼吸困難指数のスコア≦10点
I   ICS+LABA+LAMA
C   ICS+LABA
O  プライマリーアウトカム FEV1 ,呼吸困難  セカンダリーアウトカム:中~重症の急性増悪  

大規模RCT ブランドは出来ない

〇結果
・26週時の投与前FEV1
3剤併用郡で0.081L改善(p<0.001)、投与後2時間FEV1は3剤併用郡で0.0117L改善(p<0.001)。
・呼吸困難のスコア
3剤併用郡が1.71、2剤併用郡は1.50であり有意差なし。
・急性増悪
3剤併用郡が0.41と、2剤併用郡が0.53に比べ有意に減少(p=0.005、NNT8)
・有害事象は変わりなし。

〇結論
3剤併用療法は呼吸機能を改善する。COPD急性増悪も予防できる可能性があるが追試を待ちたい。
ただ、確かに臨床において3剤併用療法を行わざるおえない場合もあり、それに妥当性はないわけではなさそう。

重症喘息に対するベンラリズマブの効果
http://www.thelancet.com/…/PIIS0140-6736(16)31322-8/abstract
P 12~75歳の患者 のコントロール不良の喘息 中~高用量のICS+LABA投与で前年に2回以上の増悪が認められた
I ベンラリズマブ( 抗インターロイキン5受容体αのモノクローナル抗体) 4週毎投与 or 8週毎投与
C プラセボ
O プライマリーエンドポイント:喘息増悪の年間発生率
  セカンダリーエンドポイント:気管支拡張薬投与前のFEV1、 total asthma symptom score
大規模のRCT ダブルブラインド
ベンラリズマブ 投与4週ごと群は425例、8週ごと群は441例、プラセボ群は440例

〇結果
急性増悪 投与4週ごと群の喘息増悪年間発生率は0.60、8週ごと群の発生率は0.66、プラセボ群の発生率は0.93
     プラセボに比べた8週毎郡の効果 NNT3.7  4週毎郡の効果 NNT3

有害事象では鼻咽頭炎が多かった。

〇結論
ベンラリズマブは重症の喘息患者の急性増悪を抑制する傾向。