コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

ジャーナル流し読み 2016年9月26日



http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1603800
70歳以上の成人に対する帯状疱疹ワクチンの有効性

P  70歳以上の成人
I     帯状疱疹ワクチン(HZ/su)を2ヶ月の間隔をあけ2回筋肉注射
C プラセボを筋肉注射
O 帯状疱疹帯状疱疹後神経痛の発症

 多施設のダブルブラインドのRCT
13900例を評価。

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結果

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HZ/su 群の 23 例,プラセボ群の 223 例が帯状疱疹を発症した

帯状疱疹に対するワクチン有効率は 89.8%(P<0.001)
帯状疱疹後神経痛に対するワクチン有効率は 88.8%(P<0.001)

結論:70歳以上の成人において帯状疱疹ワクチンは明らかに有用である。





http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1603460
急性期脳出血患者に対する降圧

P 急性期脳出血患者で、GCS 5以上
I    積極的降圧 SBP  110~139 mmHg
C   標準的降圧  SBP 140~179 mmHg 
O  死亡 or 神経障害(修正 Rankin スケールで評価)

大規模RCT ブラインドは出来ない 評価者は割り付け知らない。

500 例を積極的降圧群に,500 例を標準降圧群に割り付けた.
平均年齢は 61.9 歳

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●死亡 or 神経障害
積極的降圧群 38.7%(481 例中 186 例)
標準降圧群  37.7%(480 例中 181 例)

●重篤な有害事象(72時間以内)
積極的降圧群 1.6%
標準降圧群 1.2%

●腎障害の発現率(7日以内)
積極的降圧群 9.0%
標準降圧群      4.0%


結論
脳出血急性期における積極的な降圧は死亡 or  神経障害は改善せず、腎障害を増やす







http://www.bmj.com/content/354/bmj.i4482

心房細動と心血管病変、腎障害、全死亡のリスクについてのシステマティックレビュー

P 心房細動
0 心血管病変、腎障害、全死亡のリスク

edline、Embaseからコホート研究をシステマティックレビュー
2人の解析者が別々に解析。
104のコホート試験、心房細動の患者58万7,867例

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結果

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相対リスク
全死亡:1.46
心血管死:2.03
心血管イベント:1.96
脳卒中:2.42
脳梗塞:2.33
虚血性心疾患:1.61
心不全:4.99

◯結論
心房細動は心血管病変、腎障害、全死亡のリスクであり、心不全の発症リスクと特に関連がある。





非ST上昇型急性冠症候群(NSTE-ACS)に対する早期侵襲的治療
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Early+invasive+versus+non-invasive+treatment+in+patients+with+non-ST-elevation+acute+coronary+syndrome+%E3%80%80Lancet.+2016+Aug

P:非ST上昇型急性冠症候群
I:早期侵襲的治療群(7日以内の冠動脈造影で70%以上狭窄を認めた場合は血行再建を行う)
C:非侵襲的治療群(至適薬物療法を行うも不応性または症状再発あるいは退院前の症候限界性運動負荷試験で重度の虚血が確認された場合に冠動脈造影を行う)
O:死亡または心筋梗塞の複合エンドポイント

多施設 RCT ブラインドは出来ない。

患者は2457例が登録 15年間追跡
intention-to-treat解析

侵襲群では死亡または2次性の心筋梗塞の発生が平均549日間遅延した(95%CI:204~888、p=0.0020)
侵襲群では、死亡または虚血性心疾患による再入院を平均1,128日(95%CI:830~1,366)遅らせた(p<0.0001)

◯結論
非ST上昇型心筋梗塞であっても早期にPCIを行うことで予後が改善する。






バーチャルリアリティを加えたトレーニングは転倒を予防する
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Addition+of+a+non-immersive+virtual+reality+component+to+treadmill+training+to+reduce+fall+risk+in+older+adults+(V-TIME)%3A

P:高齢の成人(60-90歳)
I  : バーチャルリアリティ付きのトレッドミルトレーニング
C :トレッドミルトレーニングのみ
O: 転倒
RCT  modified ITT解析
282人がランダム化。

◯結果
バーチャルリアリティ
12回⇒6回と6ヶ月のトレーニング前に比べ転倒が有意に減少(p<0·0001)

トレッドミル単独群
11回⇒8回と6ヶ月のトレーニング前に比べ転倒が少し減少(p=0·49

有害事象の報告無し

◯結論

バーチャルリアリティ付きのトレッドミルは転倒を減少することが期待される。

 

 

喘息患者に対する吸入ステロイド(ブテゾミド)にβ刺激薬(フォルモテロール)を追加する効果
http://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa1511190

 

 
P 年に1-4回の増悪を来しているが、命に関わるようなぜんそく発作が無い12歳以上の成人。
I     ブテゾミド吸入 + フォルモテロール吸入
C ブテゾミド吸入 + プラセボ吸入
O   喘息の急性増悪 重篤な喘息関連事象(死亡、挿管、入院)

多施設のダブルブラインドのRCT

ITT解析

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◯結果
5847人がランダム化

・喘息急性増悪
フォルモテロール群でプラセボ群に比べて16.5%少なかった(637対762件) 
(hazard ratio, 0.84; 95% CI, 0.74 to 0.94; P=0.002).

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・重篤な喘息関連事象  特に変わり無し。

フォルモテロール 43人(死亡2人)

プラセボ群  40人(死亡なし)

 

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◯結論

フォルモテロールの吸入追加は喘息の急性増悪を減少し、有害事象は特に変わりない。