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城東病院総合内科 ブログ

東京城東病院総合内科の非公式ブログです!

慢性心不全とβblocker

ランドマークスタディとして1996年のカルベジロールの大規模RCTで慢性心不全への効果が証明された。

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJM199605233342101

f:id:jyoutoubyouinsougounaika:20160727113603p:plain

P

EF<0.35の慢性心不全 ACE-Iと利尿剤が導入されている

 

除外項目

3か月以内のmajorな心血管イベント、手術。activeな心筋炎、弁膜症、VT、不安定な除脈性不整脈、SBP160≧、SBP<85 、HR<68 重大な肝・腎障害

I

カルベジロール(6.25mg or 3.125mgを1日2回で開始し、徐々に増量。最大25mgを1日2回)

C

プラセボ

O

死亡率と心血管イベントによる入院

ランダム化はされている。

Double blindの大規模RCT

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平均年齢は58歳

ベースラインは同様で、両郡で同様の治療をしている。

ただし、人数に偏りがあり、カルベジロール郡で多い。

人数は記載なし。

一応ITT解析で脱落郡も解析。

 

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カルベジロール郡で死亡率は低下

7.8% VS  3.2% 

 

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めまい、除脈が副作用として多い

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両群で偏りがあったり、サンプルサイズの記載がないなどの問題点はあるが、明らかにカルベジロール郡でhard endpointは改善している。

 

 

 

〇ビソプローロル(メインテート)の大規模RCT

The Cardiac Insufficiency Bisoprolol Study II (CIBIS-II): a randomised trial*

18-80歳でEF35%以下の患者で呼吸苦など症状がある。 NYHAⅢ-Ⅳ
 
exclusion
 
あまりにも血圧が高い、最近ACSを起こした、最近PCIやCABGをした、心移植予定、
ペースメーカーが入っていないが一度以上の房室ブロックがある
徐脈、低血圧、腎障害、閉塞性肺疾患などがあれば除外
 
 
I
ビソプロロールを1.25mgから開始し徐々に増量していいる。
忍容性がある範囲で増量している。
 
C
 
O
プライマリーエンドポイント:死亡率
 
多施設のRCTで、Double blindであり、内的妥当性はある。
コンピューターによる割り付け。
割り付けた結果両群に大きな差はなさそう。
平均年齢は60歳。

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double-blind 具体的なblindの方法は不明
解析者もblindされている
intention to treat analysis
lost to follow-upもあるが、適切に評価されてそう。

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利尿剤やACE-I、CCB、硝酸薬、アミオダロンなどベースの薬剤は両群で変わりなし。
DMや脂質異常症の内服薬に関しては特に記載なし。
2500人の患者が必要 95%の検出力。αリスクは5%
⇒サンプルサイズは十分である
 
〇結果
全死亡率はビソプロロール群で明らかに良い NNT:20
入院もビソプロロール群で少ない:NNT:16
全死亡率が明らかにビソプロロール群で良いため、早期に試験は中止された。
1年間の死亡率: プラセボ11.8%  ビソプロロール:17.3%  NNT:18

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虚血がらみの心不全では特に効果が大きい。
NYHAⅣよりもNYHAⅢのほうが効果は大きい。

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〇副作用
脳梗塞による入院は多いかもしれないが有意差はない。
徐脈は明らかにβblockerで多い。
 
 
C臨床にこの結果はどのように応用できるか? 
ビソプロロールは明らかに収縮不全の予後を改善させる傾向。特にNYHAⅢで虚血がらみの心不全であればその効果は大きい傾向。
ACE-Iが前提として導入されているところは重要。ACE-Iが無い状態での効果は少し不透明。
脳梗塞が増えるかもだがこちらに関しては、有意ではなさそう。徐脈にさえ注意すればよいか。
収縮不全には積極的にACE-Iとβblockerを入れるべきと考える。
ただ、平均年齢は60歳であり高齢者の効果は少し不透明。特に高齢者では徐脈が多いので少量から慎重投与が望ましいか。
 
 
 
 
 
●メトプロロール(セロケン)の大規模RCT
Effects of Controlled-Release Metoprolol on Total Mortality, Hospitalizations, and Well-being in Patients With Heart Failure
The Metoprolol CR/XL Randomized Intervention Trial in Congestive Heart Failure (MERIT-HF)

http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=192477

 

P:

The major inclusion criteria were symptomatic heart failure for at least 3 months, corresponding to NYHA class II to IV, and a left ventricular ejection fraction of 0.40 or less in men and women aged 40 to 80 years. For patients with an ejection fraction between 0.36 and 0.40, it was mandatory that a 6-minute walk test result did not exceed 500 yd (450 m).

Resting heart rate had to be 68/min or more.

NYHAクラスII~ IVでEF40%以下の40〜80歳の男女で、少なくとも3ヶ月間の間心不全症状があった患者。EF36~40%の人に関しては6分歩行試験結果450メートルを超えないこと。安静時心拍数は68 /分以上。

 

The main exclusion criteria included AMI or unstable angina pectoris within 28 days before randomization, indication or contraindication for treatment with β1-blockade, severe decompensated heart failure (eg, pulmonary edema, hypoperfusion), or supine systolic blood pressure of less than 100 mm Hg

主な除外基準は、検査前28日の間にAMI,UAPになった患者。Βブロッカー禁忌。肺水腫、低灌流などの重症非代償性心不全収縮期血圧100以下の患者。

 

I:

Patients were allocated to treatment with metoprolol CR/XL or placebo administered once daily.

患者は1日1回投与のメトプロロール 開始用量は25㎎を1日1回。 NYHA III~IVの患者には半錠の12.5mg。2週間毎に投与量を倍増し200mg /日までが目標量。

 

Patients had to be receiving optimal treatment (defined as any combination of diuretics and an ACE inhibitor) for at least 2 weeks prior to randomization. If an ACE inhibitor was not tolerated, hydralazine, long-acting nitrate, or an angiotensin II blocker could be used. Digitalis also could be prescribed. In addition, the inclusion criteria included a stable clinical condition during the 2-week placebo run-in phase before randomization

 

患者は無作為化の前に少なくとも2週間(利尿薬とACE阻害剤の投与)を受けなければならない。ACE阻害剤投与出来ない場合、ヒドララジン、長時間作用型硝酸塩、ARBジギタリスを使用することが出来る。2週間のプラセボ期間中、臨床症状が安定していなければならない。

 

 

C プラセボ

 

O:

There were 2 primary outcome measures: total mortality and the combined end point of total mortality or all-cause hospitalization

 

Primary outcomeは2つ。総死亡率と総死亡率と様々な原因による入院率の複合エンドポイント。

 

The following combined end points (time to first event) were also predefined: total mortality or hospitalization due to worsening heart failure; death or heart transplantation; cardiac death or nonfatal AMI; and total mortality or hospitalization due to worsening heart failure or emergency department visit due to worsening heart failure.

心不全の悪化による全死亡率や入院率。死亡または心臓移植。心臓死や非致死的AMI;

心不全の悪化による救急外来の受診率。

Other end points were number of hospitalizations due to heart failure and other cardiovascular causes, withdrawal of study drug due to worsening heart failure, and change in NYHA functional class.

他のエンドポイントは心不全の悪化、他の心血管系疾患、心不全悪化による試験薬の中止、NYHA分類が増悪したことによる入院回数

 

多施設のRCTで妥当性がある試験

 

年齢、性別、人種/民族、心不全の原因、AMIの既往、AMIを起こしてからの期間、糖尿病、EF,NYHA毎にランダム化 コンピューターを用いている

 

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ベースラインは両郡で変わりなし。 治療内容も差はなし

平均年齢は60歳前後

 

 

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ITT解析をしている。

脱落郡も解析。 

人数は十分足りている。

 

 

●結果

 

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メトプロロールは、プラセボ群と比較して、すべての複合エンドポイントで減少認めた

総死亡率やあらゆる原因での入院率はメトプロロール群で19%減少。 NNT16

心不全の悪化による総死亡率や入院率は31%、死亡または心臓移植は32%。心臓死または非致死的AMIは 39%減少している

 

副作用

めまい、徐脈、低血圧は、メトプロロール群でわずかに多かった。

 

メトプロロールは慢性心不全患者の予後を良くする。

妥当性のある大規模RCTであり信頼できそう。

ただ日本ではセロケンは慢性心不全に適応がないためこのstudyの結果を使うのは難しそうか。。

 

 

 
 
 
 
 
ではこの3つのβブロッカーに差はあるのか??
 
●メトプロロール(セロケン)とカルベジロール(アーチスト)を比較したRCT
 
Comparison of carvedilol and metoprolol on clinical outcomes in patients with chronic heart failure in the Carvedilol Or Metoprolol European Trial (COMET): randomised controlled trial
 
P
NYHA Ⅱ-Ⅳの症候性の慢性心不全で最近2年い最低1回、心血管の理由による入院があり、ACE-Iを導入している。EF<35%
 
除外基準
ランダム化の前に心不全の薬剤変更がある。
CCB、アミオダロン、ClassⅠの抗不整脈薬の経静脈的使用
過去2か月にACS、strokeがある。
コントロールできない高血圧、不安定な弁膜症、症候性の不整脈が2か月以内にあり、治療がされていない、妊婦、βblockerが禁忌
 
I カルベジロール25mg 1日2回
 
C メトプロロール50mg 1日2回
 
O
死亡率
死亡率と入院の複合エンドポイント
 
multi center で大規模のRCT
ブランドは出来ない
ランダム化は割り付けが分からないように施設ごとにブロック法で行った。

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両群で大きな違いなし。

治療内容も両郡で違いなし。

 

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ITT解析でフォローアップも十分

 

人数も足りている。 1000人以上の死亡が必要⇒合計1112人死亡 80%の検出力

 

●結果

死亡率:カルベジロール34%  vs メトプロロール 40%  とカルベジロールのほうが良い

NNT:16

 

死亡率 or 入院の複合エンドポイント:カルベジロール74%  vs メトプロロール 76%  74% VS 76% と変わりなし

 

 

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 副作用は両郡で変わりなし

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 比較的妥当性の高い試験。

メトプロロール(セロケン)はこの試験では短期間作用型というのが、MERIT-HF試験との違い。
とはいえ、カルベジロールのほうが慢性心不全で使用するには良さそうな印象。
あえて、セロケンを使う理由はないか。
 
基本的に慢性心不全ではセロケンは使わない(というか日本では高血圧にしか保険適応がない・・)
 
 
 
では低用量でもβブロッカーは意味があるのか?
特に日本では低用量でも使われる傾向がある。
 
Int J Cardiol. 2013 Apr 5;164(2):238-44. doi: 10.1016/j.ijcard.2012.11.051. Epub 2012 Dec 12.
Minimal dose for effective clinical outcome and predictive factors for responsiveness to carvedilol: Japanese chronic heart failure (J-CHF) study.
カルベジロールを日本人で低用量で使用した study。
 
 
P:安定した慢性心不全 収縮能低下
NYHA Ⅲ-Ⅳ  EF40%以下
I カルベジロール2.5mg
Cカルベジロール5mg カルベジロール20mg
O 全死亡と、心血管イベントによる入院の複合エンドポイント 
他にHRやBNPも調べている。
 
比較的大規模な前向きRCT
 
コンピューターを使った割り付け。
 
PROBE法 ブランドはしていない。
解析者は目隠しされている。

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厳密なITT解析ではない(360人のうち352人のみ解析)が概ね追跡されている。
 
ベースラインは各郡で特に変わりない。
BNPのベースは20mg郡で多い?
血管拡張薬も5mgで多い?

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ただ基本的にはベースラインは変わりないと・・
使っている内服薬も両郡で変わりなし
こちらも平均年齢は60歳
 
80%の検出力では450人必要なので、数は少し足りていない。
 
 
 
●結果

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primary endpoinはdoseによって発生率は特に変わりない?
ただ高容量のほうが良い傾向はありそう。

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HRやBNPが低下すればするほど生存率は良い傾向・・

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20㎎では脱落や容量の変更が多い。

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サンプルサイズが足りない、PROBE法というlimitationはある。
サンプルサイズを増やせば高用量と低用量で有意差が出た可能性あり。
ただ、実際に高容量では脱落も多く、低用量でも一定の効果は期待できそう。
副作用が出ない範囲で、無理せず増やすということか。
 
日本のアーチストの添付文章でも、1回1.25mg 1日2回から開始し、可能であれば1回10mg 1日2回に増量と記載あり。
 
慎重に増量し、副作用が出ない範囲で 1回10mg 1日2回を目指すということか。
 
 
 
 
●慢性心不全に対するβ Blocker のネットワークメタ
 
CINAHL (1982-2011),the Cochrane Collaboration Central Register of Controlled Trials
(-2011), Embase (1980-2011), Medline/PubMed (1966-2011),and Web of Science (1965-2011).
網羅的に検索している。 対称は人間
 
キーワード:“adrenergic beta-antagonists,” “heart failure,” and “congestive,”
 
2人のレビューワーが別々に解析
 

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21個のRCTを解析。

プライマリエンドポイントは全死亡率

 

 

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ファンネルプロットもあり出版バイアスもなさそう。

We detected no significant heterogeneity for the
appropriately weighted analysis of risk difference (P=0.25;
I2=16%).
異質性も問題なし。
 
〇結果

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βblocker 全体で見れば明らかに死亡率を改善している。

 

 

 

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どのβ blockerが良いかについては優意差なし。

 

あえて言えばカルベジロールが最も良さそう。NNT15

for mortality was greatest with carvedilol—6.6% reduction,
with a number needed to treat of 15 to prevent one death.

 

ただこの結果は、COMET studyに引っ張られている可能性がある。

カルベジロールが優れると結論を出すのは難しいかもしれない。

 

 

 

COPDでのメインテートとアーチストの比較 RCT

Differences between bisoprolol and carvedilol in patients with chronic heart failure and chronic obstructive pulmonary disease: a randomized trial

http://ac.els-cdn.com/S0954611111700105/1-s2.0-S0954611111700105-main.pdf?_tid=550eadf8-53c4-11e6-b3e4-00000aacb35f&acdnat=1469601518_d7282cc24aaaf6a88d76d3e7ea8d0480

 

P COPDとEF40%以下の心不全を合併している患者

I    メインテート

C  アーチスト

O FEV1, %VC 、心拍数

 

RCTでnon blind

各郡 30人しかおらず数は足りていなさそう。

 ベースラインは変わりなし。

 

一応 メインテートのほうがやや呼吸機能は改善? だが有意差はなさそう。

副作用はメインテートのほうが少ないが・・

微妙なstudyで気持ちメインテートのほうがCOPDには良いかもとしか言えない。

ただ日本の添付文書ではアーチストは禁忌扱いで、メインテートは慎重投与。

COPDではアーチストよりメインテートのほうが良いかもしれない。

 

 
 
 
 
●まとめ
EFが低下した慢性心不全患者でACE-Iを使用している患者では、β blockerは死亡率を改善するため必ず投与する。
アーチスト、メインテート、セロケンのエビデンスがあるが、セロケンはアーチストに劣り日本では高血圧の適応しかないので使用はしない。
最もエビデンスが豊富なのはアーチストで次にメインテート
ただ、どちらもあまり効果は変わらないと思われる。
ただし、これらのエビデンスはあくまでACE-Iを使用していることが前提であり、ARBを使用している患者に当てはまるものではない。
さらにこれらのRCTは平均年齢60歳の比較的若い患者を対象にしていることに注意。
80歳前後の患者でも死亡率を改善するかどうかは少し不透明。
 
ちなみに、アーチストとメインテートの使い分けはCOPDではメインテートが良いかもしれない。
理論的にはメインテートのほうが心臓の選択性が高いからと言われている。
後は、頻脈が問題になるならメインテート、血圧が高く頻脈が問題にならないならアーチストのほうが良いかもしれない。
またメインテートは腎排泄でアーチストは肝排泄。腎不全ではアーチストが使いやすいかもしれない。
 
 
 
 

 

 

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