コミュニティホスピタリスト@奈良 

市立奈良病院総合診療科の森川暢が管理しているブログです。GIMと家庭医療を融合させ、地域医療に貢献するコミュニティホスピタリストを目指しています!!!

熱中症

熱中症の新たな重症度分類

・近年では熱中症を重症度別に3つに分けることが提案され、それぞれ対応法が異なる。

新分類

症状

重症度

従来の分類

Ⅰ°

めまい、失神、こむら返り、筋肉痛

軽症

熱失神熱痙攣

Ⅱ°

頭痛、嘔吐、倦怠感、集中力低下

中等症

熱疲労

Ⅲ°

①   中枢神経症状 (意識障害、痙攣発作)

②   肝・腎機能障害 

③   血液凝固異常 (急性期DICスコアを満たす)

重症度

熱射病

日本救急医学会 「熱中症に関する委員会」の分類

 

Ⅰ°の熱中症は必ずしも医療機関の受診は必要ない.

Ⅱ°の熱中症では医療機関での診療が必要である.

Ⅲ°の熱中症では入院が必要になる.

 

 

治療

・まず冷却が優先され、ぬるま湯(40~45℃)を霧吹きでかけつつ扇風機で送風し蒸散させる方法が最も効果的で安全な冷却法であり、古典的熱射病にも適している。

・体表面の冷却および冷水の使用は、皮膚表面の血管を収縮させるため避ける。

・直腸温をモニタリングしつつ直腸温が38度台になるまでは積極的に冷却する。

・低体温を避ける為に、目標を達成すれば積極的な冷却は中止する。

・脱水・横紋筋融解症を合併しているケースでは細胞外液の輸液を行う。

・古典的熱射病では必ずしも血管内脱水があるわけではなく、特に高齢者では肺水腫のリスクがあるため大量輸液は慎重に行う。