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強直性脊椎炎のレビュー

 

 Ankylosing Spondylitis and Axial Spondyloarthritis n engl j med 374;26 

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新しい分類は興味深いですね。

従来の脊椎関節炎の分類は、強直性脊椎炎、乾癬性脊椎炎、反応性関節炎、IBD関連といった分類でしたが今は体軸性か末梢性かで大別されるようです。

末梢性脊椎関節炎の中に乾癬、IBD、先行感染(反応性)、それ以外が分類されています。後述しますが末梢性では、サラゾスルファピリジンを使うこともあります。

軸性脊椎関節炎はXp所見の有無で分類されます。

Xp所見があれば決定ですが、ない場合はMRI所見がある  or HLAB-27陽性+臨床クライテリアを満たす場合に軸性脊椎関節炎と分類されます。

要は今まで以上にMRI所見が重要視されているということです。

HLA B-27の陽性率が低い日本ではなおさら、MRI所見が重要になると思われます。

元々Xp所見が初期では陽性にはならないことも多く、Xp陰性の軸性脊椎関節炎をAxial spondyloarthritis Without radiographic sacroiliitis と呼びそれらの早期診断にMRIの役割が重要視されるようになってきたという歴史があります。

 

以下は慶応義塾のホームページからの引用ですが非常にまとまっていて分かりやすいですね。一度見てもらうと良いと思います。

kompas.hosp.keio.ac.jp

 

脊椎関節炎は腰痛で発症しますが、いわゆる炎症性腰痛を示唆する所見は以下の通りです。

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45歳以下で発症

3か月以上の経過の腰痛

onsetは緩徐

朝のこわばりが30分以上

運動で改善

安静で改善しない

特に後半の夜間に痛みで目が覚めて起きるとともに改善する腰痛

(左右)交互に臀部痛が出現

 

特にこれらの下線部は比較的特異度が高い所見である印象です。

 

MRI所見についてです。

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仙腸関節にSTIR高信号、T1低信号の異常信号を認め、同部位の炎症を反映しています。これらの所見は椎体にも認められます。

 

 

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次の症例では椎体だけではなく両股関節の滑膜炎も認められます。また写真Lでは腸腰筋腱付着部炎も認められています。

 

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下は治療後で、これらの所見が抗TNFα抗体の投与で改善されています。

 

MRIは治療効果判定にも使えそうですね。

 

 

 

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診断アルゴリズムも載っています。

①45歳以下で3か月以上継続する腰痛があるかどうか

②Xpが陽性であれば確定

③脊椎関節炎に関するポイントをチェック

 inflammatory back pain 炎症性腰痛
heel pain (enthesitis)  踵の痛み

dactylitis  指炎

uveitis   ブドウ膜炎

positive family history for axial spondyloarthritis 家族歴

inflammatory bowel disease,   炎症性腸疾患

alternating buttock pain   交互に出現する臀部痛
psoriasis         乾癬

asymmetrical arthritis    非対称性の関節炎

positive response to NSAIDs NSAIDSに反応する
elevated ESR or C-reactive protein level  血沈 or CRP高値

 

これらの所見が当てはまる数とHLA-B27で判断して、明らかに診断できる例を除いてMRIを撮像するという方法がとられています。

 

ただ、日本ではHLA-B27の測定が一般的ではなく保険適応もなく陽性率も低めであること、さらにMRIへのアクセスが良いことなどを考えると、これらの所見が一つでも陽性 でパトリックや仙腸関節圧痛などの身体所見が陽性であればMRIを撮像しても良いと個人的には思います。

実際にはMRIで白黒ハッキリつけることになるのかなと・・

 

 

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ちなみに脊椎関節炎の発症機序も解明されつつあるようです。

詳しいことはよく分かりませんが、HLA-B27 misfoldingが関係しているとのこと。

ちなみにブドウ膜炎がある男性の脊椎関節炎ではHLA-B27が陽性になりやすいが、乾癬やIBDでは陰性になりやすいとのことです。

またブドウ膜炎は非常に重篤な合併症として押さえておきたいですね。

また脊椎関節炎が圧迫骨折のリスクと言うことは知りませんでした。脊椎関節炎患者の腰痛の急な増悪では圧迫骨折を考えるべきようです。

 

治療はNSAIDSが第一選択です。

基本的には定時内服をすべきで、特にどのNSAIDSが良いというのはないようです。

使いやすいNSAIDSで良いかと。

ロキソニンを3錠分3で開始して徐々に調整という感じでしょうか。

安定している場合はロキソニン頓服でも良いようです。

ただし、腎障害・心血管障害・胃腸障害には注意が必要です。

 

NSAIDSが何らかの理由で使えない場合、NSAIDSが効果がない場合は抗TNF-α抗体製剤が有効です。日本ではレミケードとヒュミラが使えるようです。

末梢関節炎型ならサラゾスルファピリジンが使いやすく良いようです。

実際IBDにはサラゾスルファピリジン使いますしね。

症状が限局している場合はステロイド注射もすることがあるようです。ただしアキレス、膝、大腿四頭筋の腱は避けるべきとされています。

全身ステロイドの長期投与は避けるべきですが仕方なく使う方もいるとのことです。

インターロイキン17Aに対する抗体も使われ始めているとのことですが、この辺りは未知数ですね・・