ACP2016に参加してきました。
前チーフのセッションで面白い症例を経験したので共有します。
アルコール性慢性膵炎で、膵炎を繰り返している。
左片側性大量胸水あり。
腹痛なし、一時的に胸痛があった。
診断は?
胸水中アミラーゼが1万超え!!
膵性胸水が診断!
●膵性胸水
・アルコール性慢性膵炎が原因の99%である
・胸部症状:68%、腹部症状:24%と胸部症状が前面に現れる
・膵尾部の仮性膵嚢胞が原因になることが多いが、胸水はどちらに出現しても良い。
・膵性胸水は基本的には膵液の胸腔内への流入が機序
・呼吸困難や胸痛などが前面に現れ、腹部症状を伴わない場合は鑑別が難しい
・慢性膵炎の既往、仮性膵嚢胞、胸水がある場合に、胸水アミラーゼ高値であれば、非常に疑わしい。
・胸水中のAMY高値⇒膵性胸水、食道破裂、悪性腫瘍
・仮性膵嚢胞、横隔膜穿孔、リンパ流路の3つの経路が挙げられる
・縦隔内仮性膵嚢胞は稀に認められ、膵性胸水と関係が深い
・縦隔内仮性膵嚢胞の68%に胸水が認められ、全例が男性で、ほとんどで飲酒歴があり膵炎を繰り返してる
・内瘻を証明するためERCPが用いられてきたが、MRCPでも内瘻が証明されうる。
・ERCPは侵襲的で感染、膵炎のリスクがあるためMRPCが優先されるようになってきている。
治療
・まずは胸腔ドレナージを行う
・膵炎増悪あれば、急性膵炎の治療に準じる
・サンドスタチン製剤が有効という報告もある
・内視鏡的膵管ドレナージも有効
・22例中17例で膵尾側切除が行われており、再発リスクが高ければ手術
文献
Am J Gastroenterol. 1992 Mar;87(3):387-91.
日本消化器病学会雑誌 Vol. 105 (2008) No. 1 P 81-85 膵性胸水をともないMRIにて内瘻が描出できた縦隔内膵仮性嚢胞の1例